コラム
日本介護クラフトユニオン(NCCU)は、結成当初より組合員の就業意識や実態を把握するために介護職員の『就業意識実態調査』を行っており、調査結果は産業(介護)政策や労働政策に反映されます。
今回の結果で主なものを下記に記します。
年次有給休暇について
「2019年4月、有給休暇5日取得義務が施行されたが、介護現場では有給休暇取得日数が5日未満の職種が複数あり、特に訪問系サービスに偏っていた。人材不足が深刻な訪問介護の有効求人倍率は15倍を超えており、休みたくても休めない状況がある。また、介護サービスにおいては介護保険法上の人員配置基準を遵守しなければならない。有給休暇を取得すると人員配置基準が守られず、人員配置基準を守れば労基法の違反になってしまう。有給休暇を取得できない原因は人材不足であり、これらの問題を解決するための最も有効な方法は処遇改善であると考える」
賃金・一時金について
「昨年の組合員の平均年収は359.8万円という結果になった。毎年少しずつ改善してきているが、全産業平均年収463.4万円に比べると、まだ100万円程度の差がある。さらに、勤続10年を超えると賃金がなかなか上がらない結果が出ている。職種によっては入社時の賃金は高いがその後の賃金が上がらない傾向がある。これではモチベーションが上がらない。これは今後の課題だと考える」
介護職員等特定処遇改善加算について
「特定加算(Ⅰ)取得率は全国平均で34.7%とのことだが、NCCUにおける取得率はそれを大きく上回り72.5%だった。事業者の裁量に委ねられている配分ルールについては、実務経験年数や役職、法人内の等級、時給制の場合は勤務時間を考慮した配分方法を設定している場合が多い。また、特定加算を基本給に組み込まず一時金や手当で支払う法人が多いことから、賃金への影響は来年実施する調査で明らかにしたい」
⇒
https://nccu.meclib.jp/2020shuugyouisiki/book/#target/page_no=1
Q,子の看護休暇・介護休暇について、来年(2021 年)1 月1 日からは、全ての職員が時間単位で取得が可能になると聞きました。その改正の内容と留意点を教えてください。
A,これまで子の看護休暇・介護休暇は、半日単位での取得が可能でしたが、育児や介護を行う職員が、より柔軟に取得することができるよう育児・介護休業法施行規則が改正され、2021 年1 月1 日から全ての職員が時間単位で取得できるようになります。これにあわせて就業規則などの変更が必要です。
1.子の看護休暇・介護休暇に関する法改正
そもそも子の看護休暇は、小学校就学までの子を養育する職員、介護休暇は、2 週間以上常時介護を必要とする対象家族の世話をする職員が、年次有給休暇とは別に、1 年間につき5 日、対象者が2 人以上の場合は10 日を限度として取得できる休暇です。これらの休暇に対して賃金を支払う必要はありません。
これまでは1 日単位での取得の他、半日単位での取得も可能でしたが、2021 年1 月1 日から時間単位で取得することが可能になります。「時間」については、1 時間の整数倍の時間をいい、分単位での取得を認める必要はありません。
なお、就業時間の途中から取得し、就業時間の途中に再び戻る、いわゆる「中抜け」による時間単位での取得を認める必要はありませんが、状況により法令を上回る「中抜け」ありの休暇取得を認めてもよいでしょう。
2.必要な手続きと留意点
改正にあわせて、就業規則など子の看護休暇・介護休暇が規定されている部分について、時間単位で取得することができるという変更が必要になります。なお、業務の性質や実施体制に照らし、時間単位で休暇取得することが困難な業務に従事する職員については、労使協定を締結することで除外することができますが、その業務の範囲については、労使で十分に話し合った上で決定します。
また、時間単位での取得となると、これまで以上に取得日数や時間数の管理が煩雑になることが予想されます。勤怠システムが時間単位での取得の運用に対応しているのかなど、管理方法を事前に確認しておく必要があるでしょう。
子の世話や介護などは、1 日や半日よりも短い時間で用件が終わることもあり、複数回に分けて取得できるほうが使いやすいというケースもあります。今回の子の看護休暇・介護休暇の時間単位での取得という改正を通して、育児や介護と仕事の両立支援について改めて考え、職員がより働きやすく長く勤務できる環境を整備することが求められます。
【介護・保育】人材定着ブログ10月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは⑰」
の続きです。
今月号も先月号に引き続き、人事制度(キャリアパス)の運用に関して
Q&A形式にてお伝えします。
Q7、処遇改善加算の給付は、全員一律、一定割合で一時金として支給しているが、職員のモチベーションにはつながっていない
A7 全員一律ではなく、評価結果の処遇反映に対する財源としたり、「採用」「定着」に貢献出来るような各種手当を工夫することで、モチベーションを高めている。
【処遇改善加算金の支給方法実例】
- 賞与・昇給の支給額決定に際し評価結果を反映させる財源として、処遇改善加算の一部を充当している。
- 住宅手当に活用。アパート暮らしの人は可処分所得が少ないので、処遇改善を財源に月額5万円に引き上げる(採用効果)。
- キャリア加算手当を新設。キャリアアップのモチベーションに活用。
- リーダー、管理者手当の増額。負担が増える管理者に報いるために活用。
- 「シングルマザー手当」の新設。シングルマザーの生活を支援する手当新設。
Q8 評価者であるリーダーや管理者が、評価や面談に不安感を感じ、職場での実践ができない。
A8評価者研修やフィードバック面談研修を受講し、方法論を学び実践で活用している。
人事評価を行うことは、上司にとってかなりの負担で、ましてやその結果を部下に説明するフィードバック面談等は大変重荷、などと言うご意見は、評価者の方々からよく伺います。ただ、それは、「評価」という言葉の印象にとらわれている結果であって、実際には評価の仕方を具体的に理解していないがゆえに誤解されているケースがとても多いのです。
評価者として「やるべきこと」と「やってはいけないこと」を理解し、それを実践すれば、だれでも評価を行うことができます。
Q9キャリアパス・評価制度を作っても、総務担当が変わったことで、継続性がなくなってしまった
A9,「キャリアパス規定」もしくは「人事評価規定」として、社内規定として文書化したり、また全職員へのキャリアパスの「見える化」にも工夫をしている。
社内規定の一つとして「人事評価規定」を文書化されることをお勧めしています。「評価制度が、いつの間にか運用しなくなってしまった」などということが無いように、キャリアパスや人事評価の運用は、社内監査等の対象として定期的にその運用が適切になされているかどうかチェックされなければなりません。つまり法人のガバナンス機能として、運用を継続していくためにも、それが文書化されルールに従った運用がなされているかが確認されなくてはなりません。下記の文書化の事例(抜粋)をご紹介いたします。
- 規程趣旨
この規程は、法人職員に対するキャリアパスの実施を通じて職員の資質向上を図り、もって人事管理の適正化、組織の活性化、地域貢献に資することを目的とする。
2 キャリアパスの定義
この規程においてキャリアパスとは、法人が職員に対し職業人として必要な能力と処遇について具体的な内容を職能等級、職位、職層、求められる能力を示すことにより、職員が自らの目標を設定し努力するための道筋を示したものと定義する。
3 キャリアパスの意義
キャリアパスを整備する意義は、法人が人材育成を何よりも重要であると認識し、働く人の成長を願い目標を設定し努力を重ねることができる環境整備の一つとすることにある。運用にあたって、資格等級制度、人事評価制度、研修制度との連動を図ることによりキャリアパスを法人経営の重要なツールとして定着させる。これにより、職員が自らの将来像を描きながら日々の業務に邁進できる環境を実現させる。
4 主管部門・担当部門・監査部門
キャリアパスを実施するにあたり、以下の通り、主管部門・担当部門・監査部門を定める。
主管部門 法人本部に「法人本部キャリアパス運営委員会」を組織する。
担当部門 各事業所に、事業所責任者を中心とした「○○事業所キャリアパス運営委員会」を組織する。
監査部門 「キャリアパス制度運営監査委員会」を第三者委員会として組織する。委員会は、人事考課制度等に専門知識を有した者、被評価者代表、評価者代表、法人本部代表者などから構成する。
・・・・・
また、キャリアパスの「見える化」ですが、本来の「見える化」とは「問題点の可視化」という意味ですが、ここでは「理解を深めるためのビジュアル表現」という意味で使用しています。つまり、キャリアパスをよりわかりやすく表現することで、求職者に対してアピールできるほか、在職している職員のモチベーションを高める効果もあります。さらに言うと、「退職したくなったが、少し我慢すれば次のステップに進めるので、もう少しだけ辛抱しよう」という、離職防止効果までを期待できます。
- キャリアパスの「見える化」の事例
医療機関でみられる人事労務Q&A
『子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得』
Q:
子の看護休暇・介護休暇について、来年(2021 年)1 月1 日からは、全ての職員が時間単位で取得が可能になると聞きました。その改正の内容と留意点を教えてください。
A:
これまで子の看護休暇・介護休暇は、半日単位での取得が可能でしたが、育児や介護を行う職員が、より柔軟に取得することができるよう育児・介護休業法施行規則が改正され、2021 年1 月1 日から全ての職員が時間単位で取得できるようになります。これにあわせて就業規則などの変更が必要です。
詳細解説:
1.子の看護休暇・介護休暇に関する法改正
そもそも子の看護休暇は、小学校就学までの子を養育する職員、介護休暇は、2 週間以上常時介護を必要とする対象家族の世話をする職員が、年次有給休暇とは別に、1 年間につき5 日、対象者が2 人以上の場合は10 日を限度として取得できる休暇です。これらの休暇に対して賃金を支払う必要はありません。
これまでは1 日単位での取得の他、半日単位での取得も可能でしたが、2021 年1 月1 日から時間単位で取得することが可能になります。「時間」については、1 時間の整数倍の時間をいい、分単位での取得を認める必要はありません。
なお、就業時間の途中から取得し、就業時間の途中に再び戻る、いわゆる「中抜け」による時間単位での取得を認める必要はありませんが、状況により法令を上回る「中抜け」ありの休暇取得を認めてもよいでしょう。
2.必要な手続きと留意点
改正にあわせて、就業規則など子の看護休暇・介護休暇が規定されている部分について、時間単位で取得することができるという変更が必要になります。なお、業務の性質や実施体制に照らし、時間単位で休暇取得することが困難な業務に従事する職員については、労使協定を締結することで除外することができますが、その業務の範囲については、労使で十分に話し合った上で決定します。
また、時間単位での取得となると、これまで以上に取得日数や時間数の管理が煩雑になることが予想されます。勤怠システムが時間単位での取得の運用に対応しているのかなど、管理方法を事前に確認しておく必要があるでしょう。
子の世話や介護などは、1 日や半日よりも短い時間で用件が終わることもあり、複数回に分けて取得できるほうが使いやすいというケースもあります。今回の子の看護休暇・介護休暇の時間単位での取得という改正を通して、育児や介護と仕事の両立支援について改めて考え、職員がより働きやすく長く勤務できる環境を整備することが求められます。
(来月に続く)
福祉施設でみられる人事労務Q&A
『子の看護休暇・介護休暇の時間単位取得』
Q:
子の看護休暇・介護休暇について、来年(2021 年)1 月1 日からは、全ての職員が時間単位で取得が可能になると聞きました。その改正の内容と留意点を教えてください。
A:
これまで子の看護休暇・介護休暇は、半日単位での取得が可能でしたが、育児や介護を行う職員が、より柔軟に取得することができるよう育児・介護休業法施行規則が改正され、2021 年1 月1 日から全ての職員が時間単位で取得できるようになります。これにあわせて就業規則などの変更が必要です。
詳細解説:
1.子の看護休暇・介護休暇に関する法改正
そもそも子の看護休暇は、小学校就学までの子を養育する職員、介護休暇は、2 週間以上常時介護を必要とする対象家族の世話をする職員が、年次有給休暇とは別に、1 年間につき5 日、対象者が2 人以上の場合は10 日を限度として取得できる休暇です。これらの休暇に対して賃金を支払う必要はありません。
これまでは1 日単位での取得の他、半日単位での取得も可能でしたが、2021 年1 月1 日から時間単位で取得することが可能になります。「時間」については、1 時間の整数倍の時間をいい、分単位での取得を認める必要はありません。
なお、就業時間の途中から取得し、就業時間の途中に再び戻る、いわゆる「中抜け」による時間単位での取得を認める必要はありませんが、状況により法令を上回る「中抜け」ありの休暇取得を認めてもよいでしょう。
2.必要な手続きと留意点
改正にあわせて、就業規則など子の看護休暇・介護休暇が規定されている部分について、時間単位で取得することができるという変更が必要になります。なお、業務の性質や実施体制に照らし、時間単位で休暇取得することが困難な業務に従事する職員については、労使協定を締結することで除外することができますが、その業務の範囲については、労使で十分に話し合った上で決定します。
また、時間単位での取得となると、これまで以上に取得日数や時間数の管理が煩雑になることが予想されます。勤怠システムが時間単位での取得の運用に対応しているのかなど、管理方法を事前に確認しておく必要があるでしょう。
子の世話や介護などは、1 日や半日よりも短い時間で用件が終わることもあり、複数回に分けて取得できるほうが使いやすいというケースもあります。今回の子の看護休暇・介護休暇の時間単位での取得という改正を通して、育児や介護と仕事の両立支援について改めて考え、職員がより働きやすく長く勤務できる環境を整備することが求められます。
(来月に続く)
都道府県別の通院者率(2019 年)
高齢化の進展によって、医療機関を受診する人が増える傾向にあります。ここでは今年7 月に発表された厚生労働省の調査結果※などから、都道府県別の通院者率をみていきます。
全国の通院者率は高まる傾向に
上記調査結果などから、2016 年と2019 年の通院者率をまとめると右表のとおりです。
2019 年の全国の通院者率(人口千人に対する通院者数)は、男性が388.1 で2016 年に比べて4.2%増加しました。女性は418.8 で3.0%の増加です。なお、男女とも2016 年も2013 年より増加しています。
ちなみに、通院者率が最も高い傷病は男女ともに高血圧症でした。
北日本で高い通院者率
都道府県別の通院者率について、男性の通院者率が最も高いのは、秋田県の435.3 です。岩手県と北海道も430 を超えています。最も低いのは沖縄県の330.6 で、秋田県とは100以上の差があります。
増減率では山口県が13.5%の増加となった一方、大分県は5.1%減少しました。
女性の通院者率が最も高いのは、岩手県の486.9 です。島根県と秋田県、山形県も460 を超えました。最も低いのは沖縄県の347.7 です。増減率では北海道が9.5%増加しましたが、三重県は6.4%減少しています。
沖縄県は男女ともに通院者率が最も低いという結果になりました。
都道府県別でも通院者率が高くなっているところが多くなっていますが、貴院の所在地の状況はいかがでしょうか。
※厚生労働省「2019 年 国民生活基礎調査の概況」
一定の条件のもと抽出した全国の世帯および世帯員に対する調査です。ここで紹介したデータは3 年ごとに調査が行われるものです。詳細は次のURL のページから確認いただけます。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html
(次号に続く)
医療機関における緊急事態への備え
地域住民の生命をつなぐ重要任務を担う医療機関は、その医療活動を安定して継続させることも責務の一つです。一方でこの国は、自然災害のリスクとも常に背中合わせです。今回は緊急事態への備えについて考えます。
計画策定済みは、病院でも3 割を下回る
厚生労働省の資料※より、病院における災害対応の備えの状況を下グラフにまとめました。台風や地震による長期の停電・断水、新型コロナウイルス感染症の院内感染等により、病院が診療を継続できない事態が生じたことを鑑みると、診療所も可能な部分から積極的に備えていくことが期待されます。
災害等緊急事態発生時に損害を最小限にとどめ、事業継続・早期復旧するための計画を「BCP(Business Continuity Plan)」といいます。その策定率は、病院でも28.3%と低い割合です。現在、中小企業庁や厚生労働省が策定の支援をしています。診療所でも検討しましょう。
(次号に続く)
都道府県別の介護保険第1 号被保険者1 人あたり給付費
今年7 月に発表された調査結果※によると、介護保険第1 号被保険者(65 歳以上)数は、2018 年度末時点で3500 万人を突破しました。また、介護保険給付費も増加しています。ここでは上記
調査結果から、都道府県別に介護保険第1 号被保険者1 人あたり給付費をみていきます。
全国の1 人あたり給付費は257.0 千円
上記調査結果から、2018 年度の都道府県別の介護保険第1 号被保険者1 人あたり給付費(以下、給付費)をまとめると、下表のとおりです。
全国の結果は257.0 千円でした。2016 年度が252.0 千円、2017 年度が254.8 千円ですから、給付費は増加傾向にあります。
サービス別では、居宅サービスの給付費が最も高く、給付費全体の50%程度を占めています。
給付費が最も高いのは島根県
都道府県別の給付費の合計をみると、最も高いのは島根県の310.8 千円でした。最も低いのは埼玉県の209.6 千円で、島根県と埼玉県では100 千円以上の差があります。なお、2017 年度も島根県が最高額、埼玉県が最低額でした。
サービスごとにみると、居宅サービスの給付費では、沖縄県の170.1 千円が最も高く、茨城県の98.6 千円が最も低い状況です。
地域密着型サービスは鹿児島県が70 千円を超えて最も高くなりました。最も低いのは埼玉県の25.3 千円でした。
施設サービスは新潟県が116.5 千円で最も高く、大阪府の70.9 千円が最も低くなりました。
居宅サービスの割合が50%を超えるところもありますが、貴施設の所在地は、どのような特徴があるでしょうか。
※厚生労働省「平成30 年度 介護保険事業状況報告(年報)」介護保険事業の実施状況について、保険者(市町村等)からの報告数値を全国集計したものです。1 人あたり給付費には高額介護サービス費、高額医療合算介護サービス費、特定入所者介護サービス費は含みません。数値は千円未満を四捨五入しており、合計に一致しない場合があります。詳細は次のURL のページからご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/18/index.html
(次号に続く)
「感染症対策」と「事業再開」の支援策
令和2 年度第2 次補正予算「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(介護分)」より、今回は、感染症対策支援事業と介護サービス再開に向けた支援事業をご案内します(慰労金については前月号をご参照ください)。
感染症対策の支援
令和2 年4 月1 日から令和3 年3 月31 日までに発生した「感染症対策に要するかかり増し経費」が対象。概算額での申請も可能です。
対象経費の例
- 衛生用品等の感染症対策に要する物品購入
- 外部専門家等による研修実施
- (研修受講等の)旅費・宿泊費、受講費用等
- 多機能型簡易居室の設置等
- 消毒費用・清掃費用
- 感染防止のための増員のため発生する追加的人件費や職業紹介手数料
- 自動車・自転車の購入又はリース費用
- ICT 機器の購入又はリース費用(通信費用を除く)
- 普段と異なる場所でのサービスを実施する際の賃料・物品の使用料、職員の交通費、利用者の送迎に係る費用
助成の上限額は、サービス類型ごとに設定されていますので、ご注意ください。
例: 通所介護(通常規模型): 89.2 万円
訪問介護: 53.4 万円
介護老人福祉施設: 3.8 万円×定員数
在宅介護サービスの再開支援
利用者への再開支援への助成
令和2 年4 月1 日以降、利用休止中の利用者(過去1 ヶ月間に1 回も利用のない利用者)に対し、健康状態の確認やサービスの調整等、利用再開のための支援を行った場合に、1 利用者あたり1,500 円~6,000 円が助成されます。
訪問系サービス事業所、通所系サービス事業所、短期入所系サービス事業所及び多機能型サービス事業所が対象です。
環境整備への助成
令和2 年4 月1 日以降、長机、飛沫防止パネル、換気設備、自転車、ICT 機器、内装改修費等、3 密を避ける環境整備に要した費用について、20 万円を上限に助成されます。
いずれの支援も、詳細は都道府県にご確認ください。
参考:厚生労働省「「介護サービス事業所・施設等における感染症対策支援事業等及び職員に対する慰労金の支給事業」について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00144.html
(次号に続く)
健康保険の被扶養者の範囲と収入の基準
このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。
総務部長:
健康保険における被扶養者の範囲について従業員の理解が進んでいないようですので、ポイントを教えていただけませんでしょうか。
社労士:
承知しました。被扶養者の範囲と収入の基準という2点について、ポイントを確認しておきましょう。まずは被扶養者の範囲ですが、原則として、三親等以内の親族であることが求められます。
総務部長:
確か被扶養者の範囲は、従業員から見て曾祖父母や曾孫、甥や姪まででしたよね。
社労士:
そうですね。これに加え、配偶者は事実上の婚姻関係も含み、その配偶者の父母や子も含まれます。被扶養者は、従業員(被保険者)に生計維持をされている必要があり、同一世帯(同居して生計を共にしている状態)が求められる人もいます。
総務部長:
生計維持の確認における収入の基準について「配偶者が会社を辞めたから扶養に入れたい」という相談で迷うことがあります。
社労士:
所得税の扶養親族は1月1日~12月31日までの所得額により判断しますが、健康保険の被扶養者は年間収入で判断します。そのため、被扶養者になる日より前の収入は関係ありません。したがって、配偶者が退職をしてその後の収入がなくなるのであれば、すぐに認定を受けて被扶養者になることができます。
総務部長:
その際ですが、基本手当(いわゆる失業手当)も年間収入に含まれるのですよね?
社労士:
そうですね。被扶養者の収入の基準は年間収入が130万円(被保険者になる家族が60歳以上または一定の障害者の場合は180万円)未満ですので、1日当たりに換算すると、130万円÷360日(30日×12ヶ月)で計算し、3,612円未満となります。例え90日分(年間収入換算で130万円未満)であっても、1日あたり3,612円以上の失業手当を受給している間は被扶養者にはなれません。
総務部長:
なるほど。年間の合計額で判断するわけではないのですね。
社労士:
はい。また、自己都合で退職したとき等の場合には、2~3ヶ月間、失業手当が受給できない給付制限期間が設けられますが、この給付制限期間に収入がなければ被扶養者となることができます。ただし、1日あたり3,612円以上の失業手当を受給し始めた時点で、被扶養者から外す必要が出てきます。
総務部長:
家族の退職理由とその後の収入の状況は、細かく確認が必要になりそうですね。今後、被扶養者にしたいという申し出があったときには注意するようにします。
【ワンポイントアドバイス】
1. 原則として三親等以内の親族が、健康保険の被扶養者となることができる。
2. 1日あたり3,612円未満の失業手当であれば、健康保険の被扶養者となることができる。
(次号に続く)