コラム

令和3年度介護報酬改定のQ&Aの内容を確認しておきましょう

2021年3月26日、「令和3年度介護報酬改定」のQ&A(第三弾)が公表

いよいよ新年度(第8期)が始まり、介護保険法改正・報酬改定の実施行が開始となる2021年4月。本改正・報酬改定の全体像は既に見えているものの、未だ詳細の解釈通知が完全に出そろっている訳でではない中、3月19日に第一弾、23日に第二弾、26日に第三弾、そして29日に第四弾のQ&Aが発出されました。以降も第5弾、第6弾と続くことになろうかと思いますが、今回のニュースレターでは現時点で開示されているQ&Aの中から特に多くの皆様にあてはまるかもしれない内容「認知症介護基礎研修の義務付け」に関するQ&A内容を抜粋し、確認してまいります。

「認知症介護基礎研修の義務付け」に関連するQ&A(全8問)の内容について

それでは早速、中身に移ってまいりましょう。先ずはQ&Aの問3についてです(=後ほど照合しやすくするため、敢えてQ&A第三弾に記載されている設問Noを流用しておりますこと、予めご容赦ください)。
【問3】
養成施設及び福祉系高校で認知症に係る科目を受講したが介護福祉士資格は有していない者は、義務づけの対象外とすることが可能か。
【答】
養成施設については卒業証明書及び履修科目証明書により、事業所及び自治体が認知症に係る科目を受講していることが確認できることを条件として対象外とする。なお、福祉系高校の卒業者については、認知症に係る教育内容が必修となっているため、卒業証明書により単に卒業が証明できれば対象外として差し支えない。

続いて、Q&Aの問4についてです。
問4】
認知症介護実践者研修の修了者については、義務づけの対象外とすることが可能か。
【答】
認知症介護実践者研修、認知症介護実践リーダー研修、認知症介護指導者研修等の認知症の介護等に係る研修を修了した者については、義務づけの対象外として差し支えない。

続いて、Q&Aの問5についてです。

【問5】
認知症サポーター等養成講座の修了者については、義務づけの対象外とすることが可能か。
【答】
認知症サポーター等養成講座は、認知症について正しく理解し、認知症の人や家族を温かく見守り、支援する応援者を養成するものであるが、一方で、認知症介護基礎研修は認知症介護に携わる者が認知症の人や家族の視点を重視しながら、本人主体の介護を実施する上での、基礎的な知識・技術及び理念を身につけるための研修であり、その目的・内容が異なるため、認知症サポーター等養成講座修了者は、義務付けの対象外とはならない。

続いて、Q&Aの問6についてです。
【問6】
人員配置基準上、従業者の員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わる可能性がない者についても、義務付けの対象となるのか。
【答】
人員配置基準上、従業者の員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わる可能性がない者については、義務付けの対象外である。一方で、義務付けの趣旨を踏まえ、認知症介護に携わる者が認知症の人や家族の視点を重視しながら、本人主体の介護を実施するためには、人員配置基準上、従業者の員数として算定される従業者以外の者や、直接介護に携わらない者であっても、当該研修を受講することを妨げるものではなく、各施設において積極的に判断いただきたい。

続いて、Q&Aの問7についてです。
【問7】
外国人介護職員についても、受講が義務づけられるのか。
【答】
EPA介護福祉士、在留資格「介護」等の医療・福祉関係の有資格者を除き、従業員の員数として算定される従業者であって直接介護に携わる可能性がある者については、在留資格にかかわらず、義務づけの対象となる。

続いて、Q&Aの問8についてです。
【問8】
外国人技能実習生が認知症介護基礎研修を受講する場合、技能実習計画には記載する必要があるのか。
【答】
認知症介護基礎研修は、法令等に基づき受講が義務づけられるものであることから、技能実習制度運用要領第4章第2節第3(2)を踏まえ、技能実習計画への記載は不要である(令和6年3月までの間、努力義務として行う場合も同様。)。なお、受講に係る給与や時間管理が通常の技能実習と同様に行われることや、研修の受講状況について、技能実習指導員が適切に管理することが必要である。
続いて、Q&Aの問9についてです。
【問9】
事業所が外国人技能実習生に認知症介護基礎研修を受講させる場合、入国後講習中や新型コロナウイルス感染症対策のための入国後 14 日間の自宅等待機期間中に受講させてもよいか。
【答】
・入国後講習中の外国人技能実習生については、入国後講習の期間中は業務に従事させないこととされていることから、認知症介護基礎研修を受講させることはできない。一方、新型コロナウイルス感染症対策のための入国後 14 日間の自宅等待機期間中であって入国後講習中ではない外国人技能実習生については、受入企業との間に雇用関係がある場合に限り、認知症介護基礎研修(オンラインで実施されるものに限る。)を受講させることができる。
・なお、実際の研修受講にあたっての取扱い等(※)については、実施主体である都道府県等により異なる場合があることにご留意いただきたい。(※)研修の受講方法(eラーニング、Zoom 等による双方向型のオンライン研修、集合研修)、料金(補助の有無等)、受講枠など

最後に、Q&Aの問10についてです。

【問10】
外国人介護職員が研修内容を理解して受講できるように、多言語化された研修教材は提供されるのか。
【答】
令和3年度中に、日本語能力試験のN4レベルを基準としたeラーニング教材の作成を行うとともに、介護分野の在留資格「特定技能」に係る試験を実施している言語(フィリピン、インドネシア、モンゴル、ネパール、カンボジア、ベトナム、中国、タイ、ミャンマーの言語)を基本として外国人介護職員向けのeラーニング補助教材を作成することを予定している。

以上、第三弾のQ&Aの中から、多くの介護事業者の皆様にあてはまるであろう内容の一つである「認知症介護基礎研修の義務付け」の部分を抜粋・確認させていただきました。自事業に関連深い内容を特定・抜粋し、読み込むのはそれなりに骨の折れる作業かもしれませんが、是非、「3年に1回の出来事」として割り切って(?)いただき、一定の時間を確保してしっかりと熟読~運営に落とし込んでいただければと思う次第です。その上で理解しがたい内容があった場合には是非、自治体担当者は勿論、場合によっては厚生労働省に直接確認されてみることをおススメします(気持ち的に臆してしまう方もいらっしゃるようですが、筆者の経験上、懇切丁寧に回答してくれる場合の方が多いと感じます)。私たちも今後、引き続きの情報収集を含め、新たな視点が得られ次第、皆様に向けて発信してまいります。

※上記内容の参照先URLはこちら

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000760502.pdf

続いて第4弾! 厚労省 介護報酬改定新たなQ&Aを発表

3月29日に新たに公表された

“Q&A第4弾”。

訪問介護に対する内容などが多く含まれているようです。

下記をご確認下さいませ。


https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000761356.pdf

医療事業所様向け情報(経営)3月号③

医療機関でみられる人事労務Q&A
『退職代行業者から「職員が退職する」という申出の連絡』

Q:

退職代行業者※と名乗るところから、当院の無断欠勤している職員について「〇月〇日付けで退職する」という郵便が届きました。その職員とは現在、連絡がとれない状況にあります。どのようにすればよいのでしょうか?
(※)弁護士や労働組合ではない退職代行業者

A:

退職代行業者は「使者」という位置づけになるため、その退職の意思表示が本人のものなのかを職員に確認する必要があります。電話やメールがつながらず職員と連絡がとれない状況にあれば、退職代行業者から届いた書面が本人のものか、自筆や捺印などで確認します。それでも本人の意思か確認がとれない場合には、退職代行業者を通じて本人の意思を確認しましょう。

詳細解説:

1.退職代行業者とは

職員が退職するにあたり、自ら申出をすることで、使用者から引き留めなどを受け、退職のトラブルに発展することを懸念する傾向が強まっています。

このような状況を受けて職員の代わりに退職の申出をする退職代行業者が出現し、更に使用者に報告せず気軽に辞めることができると考える人の間で利用が広まっています。

2.退職代行業者の法的な位置づけ

この退職代行業者の法的な位置づけとして「代理」と「使者」が考えられますが、弁護士法により弁護士でなければ職員の「代理」をすることができないことから、「使者」という立場となります。使者としての退職代行業者は、職員本人が行う退職の意思表示を、使用者に届けることになり、交渉などを行うことはできません。

3.退職代行業者から連絡がきた場合の対応

退職代行業者から連絡がきたときは、一般的にはその退職の意思表示が職員本人の意思によるものかを確認する必要があります。確認の方法としては、通常、直接本人に連絡をすることになります。退職代行業者から届いた文書の中に、本人への直接の連絡を禁止するような文言や、退職代行業者あてに連絡してほしい旨の文言が入っていることがありますが、この内容に強制力はありません。

本人と連絡がとれない場合は、退職代行業者から届いた書面が本人のものか、自筆や捺印などで確認します。そして、確認したものの、本人のものなのか確認できない場合は、本人からどのような依頼があったのか退職代行業者に確認したり、本人の意思を確認できる資料の送付を依頼したりなどするとよいでしょう。

退職代行業者からの連絡が、職員本人の意思である場合、退職の申出は認めざるをえません。ただし、何の対応もせずに認めてしまうことで、職員間で情報が共有され、今後も退職代行業者を通じた申出が行われる可能性があります。そのため、退職の申出のルールを労使で確認しておきましょう。

(次号に続く)

続いて第3弾! 厚労省 介護報酬改定の新たなQ&Aを発表

先週末にQ&Aの第3弾が発出されました。

様々なサービスに関する情報が盛り込まれています

まだ、私も全て読み込んでいるわけではありませんが・・・・

 

取り急ぎ、皆様に共有させて頂きます。

関心をお持ちの皆様は、下記をご確認下さいませ。

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000760502.pdf

 

医療事業所様向け情報(経営)3月号②

医療機関等における都道府県別の入・離職率

ここでは、医療機関等における従業員の移動状況について、昨年12 月に公表されたデータ※から、2019 年の入職率と離職率(常用労働者数に対する入(離)職者数の割合)をみていきます。

全国的には入職超過の状況に

上記データから、2019 年の医療機関等(以下、医療,福祉)の入・離職率を都道府県別にまとめると、下表のとおりです。

全国の入職率は16.2%、離職率は14.4%です。入職超過率(入職率から離職率を引いたもの)は1.8 ポイントとなり、入職超過の状況にあります。なお2018 年も0.7 ポイントの入職超過だったことから、医療,福祉では入職超過の状況が続いています。

都道府県別の入・離職率

都道府県別の入職率をみると、香川県が57.9%で最も高く、次いで福岡県が 34.4%となりました。その他、青森県、岐阜県、長崎県、広島県、三重県、愛知県、山梨県、千葉県も20%を超える状況です。離職率は長崎県が29.2%で最も高くなりました。次いで三重県が 27.8%、広島県が 26.0%となったほか、香川県、栃木県、沖縄県、奈良県、青森県も20%を超えています。

入職超過率の状況

入職超過率については、24 道府県が入職超過になりました。中でも香川県が34.2 ポイント、福岡県が22.6 ポイントと大幅な入職超過の状況にあります。一方、離職超過の状況にあるのは23 都府県で、中でも鳥取県がマイナス12.3 ポイントと最も高くなっています。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、医療機関を取り巻く環境は厳しさを増しています。2020 年以降の結果は、どのようになっているでしょうか。

※厚生労働省「2019 年(令和元年)雇用動向調査」
5 人以上の常用労働者を雇用する事業所から抽出した、約15,000 事業所を対象にした調査です。入(離)職率の算式は次のとおりです。
入(離)職率 = 入(離)職者数÷1 月1 日現在の常用労働者数×100(%)
詳細は次のURL のページから確認いただけます。

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450073&tstat=000001012468&cycle=7&year=20190&month=0&tclass1=000001012469&tclass2=000001063686&tclass3=000001063688&result_back=1&tclass4val=0

(次号に続く)

医療事業所様向け情報(経営)3月号①

第 3 次補正予算による医療機関追加支援

令和2 年度第3 次補正予算では、医療提供体制確保と医療機関等支援として、新たに1 兆6,447 億円が計上されました。ここでは多くの医療機関等が補助の対象となる「医療機関・薬局等の感染拡大防止等の支援」に注目します。

診療所・歯科診療所・薬局等、幅広く対象

医療機関における感染拡大防止等の支援が、追加で実施されることになりました。既に第2次補正予算にて同様の補助を受けた医療機関等も対象です。

・対象となる医療機関等

院内等での感染拡大を防ぐための取組を行う
⚫ 保険医療機関
⚫ 保険薬局
⚫ 指定訪問看護事業者
⚫ 助産所

  •  後述の「診療・検査医療機関」の感染拡大防止等の支援と、重複して受けることはできません。
  •  「インフルエンザ流行期における新型コロナウイルス感染症疑い患者を受け入れる救急・周産期・小児医療機関体制確保事業」(令和2 年9 月15 日の予備費)の感染拡大防止等の補助を受けた医療機関については、今回の補助上限額が高い場合、差額分が補助されます。

・ 補助基準額

次の額を上限として実費が補助されます。

病院・有床診療所(医科・歯科) 25 万円+5 万円×許可病床数
無床診療所(医科・歯科) 25 万円
薬局、訪問看護事業者、助産所 20 万円

 

・対象となる経費

令和2 年12 月15 日から令和3 年3 月31 日までにかかる感染拡大防止対策や診療体制確保等に要する費用が対象です。感染拡大防止と地域における診療体制確保等に要する費用について、幅広く対象となります。

例:消毒・清掃・リネン交換等の委託、感染性廃棄物処理、個人防護具の購入、寝具リース、CT リース等

なお、従前から勤務している者や通常の医療提供を行う者に係る人件費は、対象外です。

上記の支援の他、都道府県の指定を受けて発熱外来体制をとる「診療・検査医療機関」の支援策(上限100 万円)も、第3 次補正予算に計上されました。最新情報にご留意ください。

参考:
厚生労働省「令和2 年度厚生労働省第三次補正予算案の概要」
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/20hosei/03index.html

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(経営)3月号③

福祉施設でみられる人事労務Q&A
『退職代行業者から「職員が退職する」という申出の連絡』

Q:

退職代行業者※と名乗るところから、当施設の無断欠勤している職員について「〇月〇日付けで退職する」という郵便が届きました。その職員とは現在、連絡がとれない状況にあります。どのようにすればよいのでしょうか?

A:

退職代行業者は「使者」という位置づけになるため、その退職の意思表示が本人のものなのかを職員に確認する必要があります。電話やメールがつながらず職員と連絡がとれない状況にあれば、退職代行業者から届いた書面が本人のものか、自筆や捺印などで確認します。それでも本人の意思か確認がとれない場合には、退職代行業者を通じて本人の意思を確認しましょう。

詳細解説:

1.退職代行業者とは

職員が退職するにあたり、自ら申出をすることで、使用者から引き留めなどを受け、退職のトラブルに発展することを懸念する傾向が強まっています。

このような状況を受けて職員の代わりに退職の申出をする退職代行業者が出現し、更に使用者に報告せず気軽に辞めることができると考える人の間で利用が広まっています。

2.退職代行業者の法的な位置づけ

この退職代行業者の法的な位置づけとして「代理」と「使者」が考えられますが、弁護士法により弁護士でなければ職員の「代理」をすることができないことから、「使者」という立場となります。使者としての退職代行業者は、職員本人が行う退職の意思表示を、使用者に届けることになり、交渉などを行うことはできません。

3.退職代行業者から連絡がきた場合の対応

退職代行業者から連絡がきたときは、一般的にはその退職の意思表示が職員本人の意思によるものかを確認する必要があります。確認の方法としては、通常、直接本人に連絡をすることになります。退職代行業者から届いた文書の中に、本人への直接の連絡を禁止するような文言や、退職代行業者あてに連絡してほしい旨の文言が入っていることがありますが、この内容に強制力はありません。

本人と連絡がとれない場合は、退職代行業者から届いた書面が本人のものか、自筆や捺印などで確認します。そして、確認したものの、本人のものなのか確認できない場合は、本人からどのような依頼があったのか退職代行業者に確認したり、本人の意思を確認できる資料の送付を依頼したりなどするとよいでしょう。

退職代行業者からの連絡が、職員本人の意思である場合、退職の申出は認めざるをえません。ただし、何の対応もせずに認めてしまうことで、職員間で情報が共有され、今後も退職代行業者を通じた申出が行われる可能性があります。そのため、退職の申出のルールを労使で確認しておきましょう。

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(経営)3月号②

介護サービス事業所の増減

ここでは2021 年1 月に発表された調査結果※から、介護サービスごとの施設数や事業所数の増減をみていきます。

居宅介護支援事業所が最も多い

上記調査結果から、2019 年10 月1 日時点の介護サービス(以下、サービス)ごとの施設数や事業所数と、2018 年からの増減率をまとめると、下表のとおりです。

事業所数が最も多いのは、居宅介護支援事業所で40,118 事業所となりました。次いで、訪問介護が34,825 事業所、通所介護も24,035 事業所となっています。反対に最も少ないのは、夜間対応型訪問介護の228 事業所です。次いで、介護医療院が245 施設、地域密着型特定施設入居者生活介護も352 施設となりました。

増加したサービスが半数以上を占める

2018 年からの増減率をみると、36 サービス中、22 のサービスが2018 年から増加しました。増減率が最も高いのは、介護医療院の295.2%です。複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)も14.8%の増加で、この2 サービスが10%以上の増加となっています。その他、5%以上の増加となったのは、地域密着型特定施設入居者生活介護、訪問看護ステーション、介護予防訪問看護ステーションでした。

一方で、14 のサービスが2018 年から減少しています。最も減少幅が大きいのは、介護療養型医療施設のマイナス18.8%です。唯一の二けた減少となりました。次いで、介護予防訪問入浴介護がマイナス5.2%、訪問入浴介護もマイナス5.0%となりました。訪問入浴系サービスの減少が目立ちます。

全国の状況はこのようになりましたが、貴施設の周辺の状況はいかがでしょうか。

※厚生労働省「令和元年介護サービス施設・事業所調査」
2019 年10 月1 日現在で活動中の施設・事業所について集計したものです。詳細は次のURL のページからご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service19/index.html

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(経営)3月号①

どうなる? 令和3 年度介護報酬改定

感染症への不安が色濃く残る中、4 月に施行される介護報酬改定は0.70%のプラス改定に落ち着きました。今改定では、人材不足や自立支援強化等の従来の視点に加え、感染症や災害への対応力強化も重視されています。

9 月末までは0.05%の上乗せ

改定率の決定に併せ、新型コロナウイルス感染症への対応に配慮し、令和3 年4 月から令和3 年9 月末までの半年間、特例的な評価として0.05%が上乗せされることも合意されました。

令和3 年度改定で追加された新しい柱

今回の改定では、昨今の感染症や大規模災害等の経験から、緊急時でも必要なサービス提供が途切れることなく継続できる対応力の強化が、新たな柱として加わりました。

感染症対策と事業継続の取組を義務化

3 年間の経過措置が設けられた上で、次の2つが義務づけられます。

① 感染症対策の強化
委員会の開催、指針の整備、研修の実施、訓練(シミュレーションの実施)等
② 業務継続に向けた取組の強化
感染症や災害発生時に必要な介護サービスが継続的に提供できる体制のための、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施

通所介護等の報酬の見直し

感染症等で利用者減となった場合の通所介護等の報酬について、次の見直しが行われます。

① 事業所規模別の報酬区分の決定にあたって、より小さい規模区分がある大規模型について、前年度の平均延べ利用者数ではなく、感染症や災害の影響により延べ利用者数の減が生じた月の実績を基礎とすることを可能に。
② 通所介護等について、感染症や災害の影響により延べ利用者数の減が生じた月の実績が前年度の平均延べ利用者数から一定割合以上減少している場合、一定期間、臨時的な利用者の減少による利用者一人あたりの経費の増加に対応するための評価を行う。

昨年6 月以来、新型コロナウイルス感染拡大の深刻な影響を受けた通所介護サービス事業者に対し、毎月一定回数まで2 区分上位の報酬を算定することを認めた特例が設けられ、半数以上の事業所の利用がありましたが、上記の改定に伴い、これが廃止される見込みです。今後の発表にも引き続きご注目ください。

参考:厚生労働省「令和3 年度介護報酬改定に関する審議報告」
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000188370_00002.html

(次号に続く)

医療事業所様向け情報(労務)3月号④

業務災害にもなりうる新型コロナへの感染と労働者死傷病報告の提出

新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の感染拡大が続く中、業務中に新型コロナに感染する事例が見受けられます。このようなときは、業務災害として労災保険の給付の対象となります。ここでは労災認定の事例を取り上げるとともに、業務災害として休業が発生したときに提出が必要な労働者死傷病報告について確認します。

1.労災請求件

厚生労働省が公表している新型コロナに関する労災請求件数は、2021年1月29日現在で3,836件となり、そのうち1,912件について支給決定が行われています。

これを業種別で確認すると、8割近くが医療従事者等の請求となっているものの、その他の業種でも請求が行われ、支給決定されています。

厚生労働省が挙げている労災認定事例では、飲食店店員について以下のような判断により支給決定がされています。

飲食店店員のAさんは、店内での業務に従事していたが、新型コロナウイルス感染者が店舗に来店していたことが確認されたことから、PCR検査を受けたところ新型コロナウイルス感染陽性と判定された。

労働基準監督署における調査の結果、Aさん以外にも同時期に複数の同僚労働者の感染が確認され、クラスターが発生したと認められた。

以上の経過から、Aさんは新型コロナウイルスに感染しており、感染経路が特定され、感染源が業務に内在していたことが明らかであると判断されたことから、支給決定された。

このように、状況によっては医療従事者等以外であっても、業務災害として認められることがあります。

2.労働者死傷病報告の提出

業務災害により休業した場合には、労働者死傷病報告の提出が必要です。業務中に新型コロナに感染・発症して休業した場合でも同様であり、遅滞なく、事業場を所轄する労働基準監督署に提出する必要があります。

この際、労働者死傷病報告(様式第23号)の傷病名には「新型コロナウイルス感染による肺炎」と記入し、「災害の発生状況及び原因」欄には、感染から発症までの経緯を簡潔に記入します。また、発生日時は陽性判定日ではなく、傷病の症状が現れた日付を記入します。

会社で感染対策を十分に行っていても、特に不特定多数の人と関わるような業務では、新型コロナに感染する可能性があります。新型コロナの感染者が発生した際には、会社としても感染原因、感染経路、発症日、症状等を明確に把握するとともに、必要に応じ業務災害としての申請を行う必要があります。

(次号に続く)

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