【介護・保育】人材定着ブログ7月号~介護・保育 「福祉事業に必要なキャリアパスとは⑬」

【介護・保育】人材定着ブログ6月号~ 「福祉事業所のキャリアパスとは⑫」
の続きです。

今回はキャリアパスの大きな柱となる「賃金制度」に関してお伝えしていきます。

賃金制度は各施設の考え方がもっとも強く反映されるために、施設ごとにその制度や仕組みは大きく異なります。したがって、賃金制度の見直しを行う場合でも、実際にはすべて事業所毎個別の対応が必要になります。従って、今回は賃金制度の基本的な考え方とキャリアパス制度を前提にした賃金制度の概論についてお伝えしていきます。

1、賃金に関する基本的な考え方

(1)人件費をコントロールする手段としての賃金制度の考え方

(2)職員にとっての生活を確保する生活費としての考え方

(3)職員をやる気にさせるための機能としての賃金制度の考え方

この3つの考え方をどう融合させるかを検討することが賃金制度を設計するうえで最大のポイントなります。コストとしてだけで賃金を捉えた時に、それがどのような結果

につながるのかはご承知の通りと思います。

2、福祉サービス事業の人件費管理

  また、福祉サービス事業は、基本的には利用者定員と単価の掛け算で事業収入の

ほとんどが決定されます。つまり利用者定員に対して、利用率が100%で、かつ

合理性のある加算を全て付与したときに得られる収入が、収入上限ということに

なります。上限はおのずと決まってくることを考えれば、人件費にあてられる

原資、つまり総収入から人件費以外の経費や内部留保等を引いた資金ということ

になります。

   そこでの最大の課題は、その原資をどのように分配するかということになります。

  例えば、人材確保のための分配、職員のモチベーションを高める為の分配などを

  総合的に勘案し、バランスの取れた人件費管理が必要になります。

 

3、介護業界における賃金制度に関する課題

(1)ベースアップと昇給の混同による昇給額の一律管理

 事業の継続的な業績変動によって、職員の基本給を一律で変動させるものがベースアップです(ベースダウンもあり得る)。一方で、一年単位での業績変動に対する職員の貢献度合い手で変動するものが昇給ということになります。したがって、昇給は職員各自の評価によって変動するものということになります。しかしながら、いまだに一律的な管理で昇給を行っている介護施設はとても多いのが現実です。

(2)賞与支給を月数で固定化(保証化)している。

 多くの事業が、賞与支給を本給〇か月といった決定方式をとっています。この方式は、職員にとってのわかりやすさや計算の簡便さからシンプルでわかりやすいものですが、ご承知のとおり、この考え方には限られた財源での分配という考え方ではありません。また、法人の業績反映による変動や個人の成績による変動という要素は一切考慮されていないものです。今後のような仕組みは減少傾向になっていくもの思われます。

(3)中途入職者に対し、前職の給与保証という考え方で採用を行うため、現職者とのアンバランスが多く発生している。

(4)介護保険発足当時の高い報酬であった時代に入職されたた職員と最近入職された若年層では水準自体が大きく異なっており「中だるみ減少が職員の不満要因につながっている。

(5)給与制度自体の説明が行われていないことから、職員が給与の仕組みをまったく理解していない。それがモチベーションにも影響している。

上記の通り介護業界には多くの課題を抱えた賃金制度が多い為、これからはキャリアパス制度構築を契機に仕組みの見直を検討していくときに来ているのではないかと考えています。

 

4、現状の賃金制度の分析

具体的な給与体系の設計に入る前に、現状の賃金実態を分析的な視点で眺めてみることも大切です。この分析により、今後の改善の方向性や留意点が明らかになり、新しい賃金制度の意義も理解しやすくなるはずです。

 また分析には、分析用のプロット図を作ってみることが必要です。全体の賃金バラつきがどのような傾向があるのか、またその中で個人はどのような位置にいるかを把握するにはプロット図が必要になります。

職場における賃金バランスプロットサンプルの事例(年齢別の事例)

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