介護事業所様向け情報(労務)3月号④

子の看護休暇・介護休暇2021年1月より時間単位での取得へ改正

育児・介護休業法では、子どもが病気になったりケガをしたときに世話をしたり、子どもに予防接種や健康診断を受けさせるために、従業員が請求することで取得できる子の看護休暇があります。また、要介護状態にある家族の介護やその他の世話をするために、介護休暇が用意されています。今回、育児・介護休業法施行規則が改正され、これらの休暇を時間単位で取得させる制度が導入されることになりました(施行:2021年1月1日)。

1.改正内容

子の看護休暇・介護休暇は、制度創設当時は1日単位での取得に限られていましたが、その後、取得する従業員の利便性を考慮し、半日単位でも取得できるように改正され、さらに今回、時間単位での取得ができるように改正されます。

この「時間」とは1時間の整数倍の時間(1時間、2時間、3時間等)をいい、1日の所定労働時間よりも短い時間のことを指します。会社は従業員から時間単位での取得の希望があったときは、その希望する時間について取得させなければなりません。

取得は始業時刻から連続する時間または終業時刻まで連続する時間となっており、労働時間の間で休暇を取得するいわゆる「中抜け」を認めることを求めるものではありません。

2.変更が必要となる就業規則

今回の改正により、現在、子の看護休暇および介護休暇を規定している就業規則(育児・介護休業規程等)を変更することが必要になります。

変更後の規定例は、次のとおりであり、時間単位での規定を盛り込みます。

<就業規則の規定例(子の看護休暇の場合)>

第○条
1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、負傷し、又は疾病にかかった当該子の世話をするために、又は当該子に予防接種や健康診断を受けさせるために、就業規則第◯条に規定する年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、子の看護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。
2 子の看護休暇は、時間単位で始業時刻から連続又は終業時刻まで連続して取得することができる。

※介護休暇も同様の変更が必要になります

3.労使協定の見直し

就業規則の変更とともに、子の看護休暇や介護休暇を時間単位で取得することが困難な業務がある場合は、労使協定を締結することにより、時間単位の休暇の対象からその業務に従事する従業員を除外することができます。

必要に応じ、労使協定の内容を見直し、再締結しておきましょう。

子の看護休暇や介護休暇を取得した時間は、無給として扱って問題ありませんが、有給の制度を導入し、休暇を取得した従業員が生じたとき等、一定の要件を満たしたときには、両立支援等助成金が支給されます。この機会に併せて検討してもよいかもしれません。

(来月に続く)

社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人

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