介護事業所様向け情報(経営❷)11月号

ケアマネ事業所における「管理者要件厳格化」の決定内容、及び議論の流れを確認しておきましょう。

「居宅介護支援事業所の管理者要件の見直し」実効期限が明らかに

2019年 12 月上旬~中旬頃に 上梓される 「 介護保険制度の見直しに関する意見 」 の最終とりまとめに向け 、一気に 議論が加速し た感を覚えた 2019 年 11 月。 そんな中、 前回の法改正時に「 人材確保の状況について検証するべき 」という名目で積み残された課題「居宅介護支援事業所の管理者要件の見直し(=居宅介護支援事業所における人材育成の取組を推進するため、主任 介護支援専門員 であることを管理者の要件とする)」について、当初予定されていた実効開始タイミング(当初の予定では 2021 年 4 月~) の 延長 案 が 示されました(恐らく 年内中に 正式決定 となる見通し 。本ニュースレターではその 案の中身について あらためて確認すると共に、その理由・背景についても解説してまいります。

「居宅介護支援事業所の管理者要件厳格化のタイムリミット」決定内容とその理由・背景とは

では、早速、案の 中身 を確認してまいりましょう。 2019 年 11 月 15 日開催 に開催刺された「 第 172 回介護給付費分科会 」の中では 同テーマについて、 以下のような整理が為されておりました。

【居宅介護支援の管理者要件に係る経過措置に 関する対応 案 】

  • 令和元年度の「居宅介護支援及び介護予防支援における平成 30 年度介護報酬改定の影響に関する調査「管理者要件に関する調査」」の結果を踏まえ、 令和3年 2021 年) 3月 31 日時点で主任ケアマネジャーでない者が管理者の事業所は、当該管理者が管理者である限り 、管理者が主任ケアマネジャーとする要件の適用を令和9年 2027 年) 3月 31 日まで猶予することとしてはどうか 。結果として、令和3年4月1日以降に新たに管理者となる者は、いずれの事業所であっても主任ケアマネジャーであることが求められることとなる。
  • ただし、特別地域居宅介護支援加算又は中山間地域等における小規模事業所加算を取得している事業所については、管理者を主任ケアマネジャーとしない 取扱いも可能としてはどうか。
  • また、令和3年(=2021 年)4月1日以降、 不測の事態により、主任ケアマネジャーを管理者とできなくなってしまった事業所については、当該事業所がその理由と「改善計画書」(仮称)を保険者に届出た場合は、管理者が主任ケアマネジャーとする要件の適用を1年間猶予する こととしてはどうか。

「令和3年(= 2021 年)3月 31 日時点で主任ケアマネジャーでない者が管理者 を担っている 事業所 に限る」という条件 は 付 いているものの 、 これは即ち、現時点において居宅介護支援事業所を運営している事業者全員が当てはまる訳ですから、単純に「 当初の設定(=令和 3 年(= 2021 年) 3 月 31 日まで) が 6 年間、後ろ倒し されることになる 」と理解して差し支えない ものと思われます 。
加えて、その背景・理由についても見ておきたいと思います。大きくは2 点のポイントに絞られるのではないでしょうか。

【延長理由その1 】

そもそも、主任介護支援専門員研修の資格取得要件を満たすことが難しいケアマネ事業所が相当数存在しているため。

平成30 年度に行われた「 居宅介護支援及び介護予防支援における平成 30 年度介護報酬改定の影響に関する調査研究事業 」によると、 令和元年 7 月末日現時点において 主任介護支援専門員ではない管理者 のうち、 「経歴4年未満」の管理者は 10.1% 、加えて「経歴1年未満」の管理者も 1.6% 存在することが分かっています( 下表参照 )。

※第 172 回介護給付費分科会 資料より抜粋

そもそも主任介護支援専門員の資格取得要件の1つとして「専任の介護支援専門員として従事した期間が通算して 5 年( 60 ヶ月)以上 」が 定め られている以上、 その要件を満たすことが「 物理的に不可能」な 事業所が存在する中で管理者要件の厳格化を行 われるとするならば、それは確かに 「横暴」「非現実的」 な判断だ、 と言う批判が起こるのも尤もな話 です 無理矢理 でも ケアマネ事業所数を淘汰させたい、という のなら話は別かもしれませんが) 。また、 前述の状況を勘案したか らこそ「 6 年の延長(=ケアマネ実務経験5 年+研修受講のための 1 年 」という判断 に は 納得感を覚える次第です 。
他方、 主任介護支援専門員研修 の資格取得要件 を 満たしているにも関わらず、 「経過措置期間中に修了できる見込みがない」 という方の 割合 が 13.4% も存在している、というデータも前述の調査事業報告書には掲げられています (下表 。「見込みがない」理由が本人の意欲というのであれば 考慮 の余地はありませんが、 仮に 業務過多等が その 理由 として 挙げられるのであれば、その点も同時に改善 を進める必要があるのではないでしょうか 。

続いて、2 つ目の理由を見てまいりましょう。

【延長理由その2 】

主任介護支援専門員研修について、資格 取得のための 研修受講費 、及び更新のための研修受講費 のバラつきが都道府県で大きいため 。

2017年度の実績をみると、主任ケアマネ研修で最も高かったのは広島県の 6 万 2000 円。次は大阪府と和歌山県で 6 万円、岐阜県が 5 万 8000 円と続く一方、逆に安い順でみると、秋田県が 2 万 996 円、福島県が 2 万 3000 円、島根県が 2 万 4320 円 、という状況にあります(厚生労働省老健局振興課調べ)。同時に、主任ケアマネの更新研修受講費のバラつきも問題となっており、 最高は愛知県の 5 万 2000 円で、 続いて 山口県の 5 万円、青森県、埼玉県、愛媛県の 4 万 6000 円 。一方、 最安は栃木県の 1 万円 、続いて 岩手県の 1 万 5900 円、 3 位は福島県の 2 万円 、となっています 。地域医療介護総合確保基金の活用の有無等が背景にあると思われますが、いずれにせよ、上記状況の中で「管理者を主任ケアマネに限る」と厳格化 を実効させる のは不適切、と言わざるを得ないの ではないでしょうか。

早め早めの時間調整・スケジューリングを

以上、介護給付費分科会資料より抜粋しながら「ケアマネ事業所の管理者要件の厳格化」の状況について確認してまいりました。猶予期間が延びた、ということでホッと胸を撫で下ろしている方も中にはいらっしゃるかもしれませんが、とはいえ、日常業務に奔走しているとあっという間に時間が過ぎ去ってしまい、「気が付けば研修申込期限が過ぎてしまった(或いは定員に達してしまった)」などと言うケースが発生することも十分に考えられます。該当の皆様としては自身の研修受講要件が満 たされるのはいつなのかを しっかり 確認しつつ、早め早めに 時間調整・ スケジューリングを 行って おくことをお勧めする次第です。
私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。

※上記内容の参照先
URL はこちら

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07850.html

社会保険労務士法人
ヒューマンスキルコンサルティング
林正人 

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