上司や同僚に誹謗中傷や暴言を繰り返す職員がいます。その影響で、すでに3人の職員が辞め、その職員を「辞めさせてほしい」との現場の声が上がっています。どうすればスムーズの辞めさせることができますか。
解雇回避努力
まずは会社側には、雇用した責任があり、本人に注意するだけではなく、改善してもらうために努力する必要があります。たとえ就業規則に誹謗中傷を禁止する旨の定めがあっても、そしてそれに該当しても、いきなり解雇することはできず、仮に解雇した場合、無効と判断される可能性が高いといえます。
会社側には解雇回避努力が求められるため、まずはこのような行為を繰り返す職員に対して、しっかりと指導・警告を行い、改善しない場合には懲戒処分を段階的に課しながら、改善を促していくことが必要です。それでも難しい場合には、できれば解雇ではなく退職勧奨に応じてもらって、合意退職してもらう努力も必要になります。つまり解雇は最終の手段であり、安易にできることではありません。
ちなみに
「入社から14日以内であれば、解雇はできる」
という誤った認識を持たれている方もいらっしゃいますが、それは解雇に関する労基法の理解を欠いているといわざるを得ません。
客観的に合理的な理由が必要
労働契約法には「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない限りは、その権利を濫用したものとして、無効とする」という定めがあり、解雇するにあたっては就業規則上の解雇事由に該当するか、そしてだれが見ても解雇されても仕方がないということを繰り返し行ったことを客観的に証明できるようにしないといけません。
例えば、能力不足や協調性不足という主観的な理由ですと裁判上では解雇は認められにくいということも言えます。
一方、客観的にみてあきらかに、指示されたことに従わない、遅刻や欠勤を繰り返すといった場合、比較的認められやすいといえます。
「退職勧奨」が現実的
仮に解雇して、「不当解雇」と訴えられ、裁判で解雇が無効になると、解雇された日から無効が確定した日までを給与相当分として支払い、正職員として雇用を継続しなければならないということになります。
今の日本では解雇はかなり厳しく制限させていますので、解雇は最後の手段として考え、まずは「退職勧奨」を行うといった対処のほうがより現実的な方法ではないでしょうか。