コラム
来年10月開始の「新たな処遇改善加算」の仕組みについて確認しておきましょう
「月8万」という言葉が独り歩きした「新たな処遇改善加算」の大枠が決定
「来年10月の増税実行のタイミングに合わせて、10年以上の介護福祉士の給与を月8万円程度引き上げる財源を準備する」そんな言葉が独り歩きして業界を大きく揺るがせた(or揺るがせている)、新たな処遇改善施策(以降、「新加算」と表記)。従来の処遇改善加算とは異なる仕組みをつくり、運用することまでは決定していましたが、2018年12月12日に開催された「第166回社会保障審議会介護給付費分科会」において、その全体像・大枠がようやく見えてまいりました。各社の人材確保・定着にも様々な影響を及ぼしかねない同施策、今回は内容の理解と共に、特に事業者として注視すべき点をポイントとして採り上げ、お届けしてまいります。
「新たな処遇改善加算」の全体像とは
それでは、早速、中身に移ってまいりましょう。先ずは、新加算の大枠のコンセプトについて確認してまいります。
今回の新加算は、「(1)経験・技能のある介護職員に重点化しつつ、介護職員の処遇改善を行う」という当初の趣旨を担保しつつ、「(2)その趣旨を損なわない程度において、その他の職種にも一定程度処遇改善を行う」という特徴を伴っています。(1)を実現するためには「経験・技能のある介護職員を数多く雇用しているサービス・事業所」に多くの額が行き渡るように配分する必要がある訳ですが、その考え方を如何に仕組みの中に反映させることができるか?というのが、先ずは、論点の1点目。その上で「その他の職種にも一定程度処遇改善を行う」にあたり、どのような基準を設けることで(1)の考え方を担保していくか?というのが論点の2点目にあたります。上記説明を図で表すとすると、下記になるでしょうか。
※第166回社会保障審議会介護給付費分科会資料より抜粋
上記を前提に、「論点1」「論点2」の内容を順に確認してまいりましょう。先ずは論点1のポイントをお伝えしていきたいと思います。論点1のポイントとしては大きく3点が挙げられます。
【ポイント1:新加算の対象要件について】
1)これまでの処遇改善加算と同様のサービス種類を対象とする(=訪問看護・居宅等は対象外)。
2)「①現行の処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)を取得している」
「②処遇改善加算の職場環境等要件に関し、職場環境等についての改善の取組を複数行っている」
「③処遇改善加算に基づく取組について、HPへの掲載などを通じた見える化を行っている」
以上3点を満たしている事業者を対象とする。
続いてはいよいよ各論を確認してまいります。先ずは「経験・技能のある介護職員を数多く雇用している“サービス”に多くの額が行き渡るかどうか」については、次のような考え方が示されています。
【ポイント2:サービス種類ごとの加算率について】
介護職員確保に向けた処遇改善を一層進めるとともに、人材定着にもつながるよう、経験・技能のある介護職員が多いサービスを高く評価することとし、サービス種類毎の加算率は、それぞれの勤続10年以上の介護福祉士(※)の数に応じて設定することとしてはどうか。
※ 現在、介護福祉士の資格を有する者であって、同一法人・会社での勤続年数が10年以上の者
上記内容の通り、新加算も従来の加算と同様、各サービス毎の加算率が設定されることになる訳ですが(詳細の加算率は来年早期に発表予定)、例えば介護給付費分科会では、本議論における参考資料として「(A)全サービス毎の介護職員割合(看護師・療法士・栄養士・事務職等を含んだ全職員中)」「(B)全サービス毎の“勤続10年以上介護福祉士”割合(全介護職員中)」というデータが添付されています。下記表の通り、(C)=(A)×(B)を行えば「経験・技能のある介護職員を数多く雇用しているサービス」が大枠で見えてきますので、(C)の値を参考に、加算率のウェイト付けが行われるかもしれない、と考えることも出来るでしょう(あくまで現時点における仮説に過ぎませんこと、ご理解下さい。ただ、この論拠に基づけば、例えば新加算の加算率は訪問介護(17.3%)>通所リハ(13.0%)>老健(12.5%)>特養(12.3%)の順に高くなるかもしれません)。
※厚生労働省資料をもとに弊社作成
然しながら、多くの方がお気づきの通り、例えば訪問介護を例にとった場合、全ての訪問介護事業所が勤続10年以上の介護福祉士を“17.3%”づつ均等に雇用している訳では決してなく、実際には事業所によって大きなバラつきが生まれている事は明らかです。他方、だからといって、事業所ごとに“勤続10年以上介護福祉士の割合”を精緻に把握し、その実値に基づいて各事業所に配分していく仕組みが創れるか?となると、そのようなデータを収集する事は不可能に近く、それはそれで現実的ではありません。そこで今回は、代替策として、下記のような基準が設けられることになるようです。
【ポイント3:サービス種類内の加算率について】
1)同じサービス種類の中であっても、経験・技能のある介護職員の数が多い事業所や、職場環境が良い事業所について、更なる評価を行うこととしてはどうか。その際、現時点で把握可能なデータや、事業所や自治体の事務負担、新しいサービス種類・事業所があることに、一定の留意をする必要。
2)具体的には、介護福祉士の配置が手厚いと考えられる事業所を評価するサービス提供体制強化加算等(※)の取得状況を加味して、加算率を二段階に設定してはどうか。
※ サービス提供体制強化加算のほか、特定事業所加算、日常生活継続支援加算
3)なお、経験・技能のある介護職員が多い事業所や職場環境が良い事業所を的確に把握する方法について、
今後検討を進めることとしてはどうか。
上記方向性が実行されるとなると、サービス提供体制強化加算・特定事業所加算・日常生活継続支援加算といった、いわゆる“体制加算”を「取得しているか」「取得していないか」によって加算率が2段階に分かれてくることになります。各体制加算の詳細説明については割愛しますが、体制加算を取得していない事業所は今後の取得の是非について、早めに検討を進める必要が出てくるかもしれないことを頭に留めておく必要があるでしょう(下記は上記内容のイメージとして、厚生労働省が作成したものです。こちらも含めて内容ご確認下さいませ)。
それでは続いて論点の2点目、事業所内での配分方法についてです。新加算については、「リーダー級の介護職員について。他産業と遜色ない賃金水準を目指し」「経験・技能のある介護職員に重点化しつつ」「介護職員の更なる処遇改善を行うこととし」「その趣旨を損なわない程度において、その他の職種にも一定程度処遇改善を行う」柔軟な運用を認める、という内容が「基本的考え方」として挙げられています。その前提のもと、下記①②③の3種類に職員を定義した上で、
1)「①経験・技能のある介護職員」
勤続年数10年以上の介護福祉士を基本とし、介護福祉士の資格を有することを要件としつつ、「勤続10年」の考え方については、事業所の裁量で設定できることとする。
2)「②他の介護職員」
「①経験・技能のある介護職員」以外の介護職員。
3)「③その他の職種」
介護職員以外の全ての職種の職員
配分の考え方については下記の通り、ポイントとして1点の整理が為された次第です。
【ポイント4:事業所内での配分方法について】
1)他産業と遜色ない賃金水準を目指し、「①経験・技能のある介護職員」の中に、「月額8万円」の処遇改善となる者又は「改善後の賃金が年収440万円(役職者を除く全産業平均賃金)以上」となる者を設定すること。
2)「①経験・技能のある介護職員」は、平均の処遇改善額が「②その他の介護職員」の2倍以上とすること。
3)「③その他の職種」は、平均の処遇改善額が、「②その他の介護職員」の2分の1を上回らない等一定のルールに基づくこと。
※ 小規模な事業所で開設したばかりであるなど(1)を行うことが困難な場合は、合理的な説明を求める。
※ 「①経験・技能のある介護職員」、「②他の介護職員」、「③その他の職種」に配分するに当たり、①②③それぞれの区分の平均の処遇改善額で比較することとし、それぞれの区分内での一人ひとりの処遇改善額は柔軟に設定できるようにする。
※ 「③その他の職種」については、今般の更なる処遇改善でリーダー級の介護職員について他産業と遜色ない賃金水準を目指すものであるため、役職者を除く全産業平均賃金(年収440万円)との整合性に留意し、改善後の賃金額がこれを超えない場合に改善を可能とする等一定のルールを検討。
上記を視覚的にイメージすると、下記のような形になるでしょうか(介護給付費分科会資料より抜粋)。
ポイント4の3)に「等一定のルールに基づくこと」とある通り、上記内容で最終確定と理解するのは早計かもしれませんが、いずれにせよ、上記の様な方向性の基準が来年早期に示される事は間違いないと言えそうです。
早め早めの思考と準備を
以上、介護給付費分科会の資料よりポイントを抜粋してお伝えさせていただきました。既存職員の定着や新たな介護人材の確保にも影響を及ぼしかねない本情報、経営者・幹部の皆様としては「体制加算を取得するべきかどうか?(未取得の場合)」「上記内容が実行された場合、社内にどのような影響が出るだろうか?」「それらに対する対策は?」「何より、攻めの戦略としてどのように有効活用していくか?」等々、早め早めに頭を働かせておく&準備を進めていくことが重要だと言えるでしょう。“人材=財産”、私たちも今後、引き続き、本テーマを含め、より有益な情報や事例を入手出来次第、皆様に向けて発信してまいります。
※上記内容の参照先URLはこちら
↓
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000202420_00011.html
(次号に続く)
福祉施設でみられる人事労務Q&A
『採用選考において不適切とされている質問』
Q:
先日、採用面接をした応募者から内定辞退の電話がありました。理由を考えた
ところ、面接で家族の職業を尋ねた際に、かなり怪訝そうな顔をしていた気がし
ます。面接で尋ねてはいけない質問があるのでしょうか。
A:
業務に直接関係のない質問によって、意図せず応募者が就職差別をされている
ように感じ、それだけを理由に内定を辞退するということがあります。また、公
正な採用が行われるよう、法令でも本人に責任のないことや本来自由であるべき
こと等、禁止されている質問事項があります。
詳細解説:
採用の際には、求職者がどのような人かを施設が見極めるため、面接でさまざまな質
問をしますが、ときに施設が行う質問が応募者に不快な思いをさせ、結果、内定辞退を
招いてしまうということがあります。今回の家族の職業を尋ねる質問は、家族の扶養
義務があるかどうか、育児や介護等で時間の配慮が必要ではないかといった目的で
質問するケースがあり、目的自体には何ら問題がないように思われます。しかし、応
募者によっては答えたくない内容もあり、気分を悪くさせてしまうことが考えられます。
また、国は差別のない採用選考が行われるよう法令で制約を設けており、応募者の適性
や能力のみを基準として選考を行うことを原則としています。法令で具体的に不適切とさ
れている質問事項としては、次の事項が挙げられます。
1.本⼈に責任のない事項
本籍地や出⽣地に関すること(⼾籍謄本等を提出させることもこれに該当)
家族に関すること(職業、続柄、病歴、地位、収⼊、家族構成等)
住宅状況に関すること(住宅の種類、間取り等)
⽣活環境・家族環境に関すること 等
2.本来⾃由であるべき事項
宗教に関すること
⽀持政党に関すること
⼈⽣観、信条に関すること
尊敬する⼈物に関すること
労働組合に関する情報(加⼊状況や活動歴等)
購読新聞、雑誌などに関すること 等
面接では一緒に働くことになる人をなるべく知ろうとして、さまざまな質問をすること
になりますが、中には就職差別につながってしまう質問が含まれていることがあり、それ
によって内定を辞退されてしまうだけでなく、SNS 等で批判的な書き込みをされてしまう
ことも考えられます。不適切とされる質問事項を押さえ、応募者の気分を悪くさせること
のないよう、注意して選考活動を進めることが重要です。
(来月に続く)
医療機関でみられる人事労務Q&A
『採用選考において不適切とされている質問』
Q:
先日、採用面接をした応募者から内定辞退の電話がありました。理由を考えたところ、面接で
家族の職業を尋ねた際に、かなり怪訝そうな顔をしていた気がします。面接で尋ねてはいけない
質問があるのでしょうか。
A:
業務に直接関係のない質問によって、意図せず応募者が就職差別をされているように感じ、
それだけを理由に内定を辞退するということがあります。また、公正な採用が行われるよう、
法令でも本人に責任のないことや本来自由であるべきこと等、禁止されている質問事項が
あります。
詳細解説:
採用の際には、求職者がどのような人かを医院が見極めるため、面接でさまざまな質問を
しますが、ときに医院が行う質問が応募者に不快な思いをさせ、結果、内定辞退を招いてしまう
ということがあります。
今回の家族の職業を尋ねる質問は、家族の扶養義務があるかどうか、育児や介護等で時間の配慮が
必要ではないかといった目的で質問するケースがあり、目的自体には何ら問題がないように
思われます。しかし、応募者によっては答えたくない内容もあり、気分を悪くさせてしまうことが
考えられます。
また、国は差別のない採用選考が行われるよう法令で制約を設けており、応募者の適性や
能力のみを基準として選考を行うことを原則としています。
法令で具体的に不適切とされている質問事項としては、次の事項が挙げられます。
1.本人に責任のない事項
本籍地や出⽣地に関すること(⼾籍謄本等を提出させることもこれに該当)
家族に関すること(職業、続柄、病歴、地位、収⼊、家族構成等)
住宅状況に関すること(住宅の種類、間取り等)
⽣活環境・家族環境に関すること 等
2.本来⾃由であるべき事項
宗教に関すること
⽀持政党に関すること
人⽣観、信条に関すること
尊敬する人物に関すること
労働組合に関する情報(加⼊状況や活動歴等)
購読新聞、雑誌などに関すること 等
面接では一緒に働くことになる人をなるべく知ろうとして、さまざまな質問を
することになりますが、中には就職差別につながってしまう質問が含まれて
いることがあり、それによって内定を辞退されてしまうだけでなく、SNS 等で
批判的な書き込みをされてしまうことも考えられます。不適切とされる質問事
項を押さえ、応募者の気分を悪くさせることのないよう、注意して選考活動を
進めることが重要です。
(次号に続く)
都道府県別 要介護(要支援)認定状況
高齢化が進展する中、要介護や要支援認定を受ける高齢者も増えています。
ここでは2018 年8月に発表された調査結果※から、介護保険第1 号被保険者
(65 歳以上、以下、第1 号被保険者)数や第1 号被保険者における要介護
(要支援)認定者(以下、認定者)数などをみていきます。
全国の認定率は18.0%
都道府県別の第1 号被保険者数と認定者数、認定率をまとめると下表のとおりです。
2016 年度の全国の第1 号被保険者は3441 万人、認定者数は619 万人、認定率は18.0%と
なりました。13 年度が17.8%、14 年度と15 年度は17.9%で、徐々に高くなっています。
9 府県で認定率が20%を超える
都道府県別では、和歌山県や長崎県、島根県、大阪府、愛媛県、熊本県、秋田県、岡山県、
徳島県で認定率が20%を超えました。また29 都道府県で全国平均を超えています。
一方、認定率が最も低いのは埼玉県で、茨城県とともに、15%未満になりました。
ここでは都道府県別の状況を紹介しましたが、市町村別のデータ等も公表されていますので、
貴施設の地域の認定率がどのようになっているか、状況を把握してみてはいかがでしょうか。
※厚生労働省「平成28 年度介護保険事業状況報告(年報)」
介護保険事業の実施状況について、保険者(市町村等)からの報告数値を全国集計したものです。
千人未満を四捨五入しているため、計に一致しない場合があります。
詳細は次のURL のページからご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/16/index.html
(次号に続く)
医療機関等における有給休暇の取得状況
働き方改革関連法の成立により、年次有給休暇(以下、有休)の取得に関する改正が行われます。
ここでは2018 年10 月に発表された調査結果※などから、医療機関等の有休取得の現状などを
みていきます。
有休取得日数は年9 日程度
上記調査結果などから、医療機関等(以下、医療,福祉)の直近3 年間の有休の取得状況を
まとめると、表1 のとおりです。
医療,福祉の労働者1 人平均付与日数は2017年が17.0 日で、直近3 年間はわずかですが、
増加を続けています。労働者1 人平均取得日数は、2017 年は8.9 日となり、微増傾向にありま
す。労働者1 人平均取得率は50~52%台で推移しており、付与された日数の半分程度を取得し
ています。
年間休日は100~109 日が最も多い
医療,福祉の有休取得日数は年間9 日程度でしたが、年間休日はどのくらいなのでしょうか。
2017 年の医療,福祉の年間休日総数をまとめると、表2 のとおりです。
医療,福祉では100~109 日の割合が40.4%で最も高くなりました。次いで110~119 日が
24.7%となりました。
なお、医療,福祉の1 企業平均年間休日数は109.4 日です。年間の有休取得日数が9 日程度
ですから、有休とあわせて平均で、年間120 日程度の休日を取得していることがうかがえま
す。
2019 年4 月から、有休の日数が10 日以上の労働者に対して、有休のうち5 日については、
付与日から1 年以内の期間に、何らかの方法で取得させなければならなくなります。職員の休
日が増えることになる医療機関もあるでしょう。改正への対応はもちろん、業務に支障をき
たさないような体制の構築も必要になります。
※厚生労働省「就労条件総合調査 結果の概況」
常用労働者30 人以上を雇用する民営企業(医療法人、社会福祉法人、各種協同組合等の
会社組織以外の法人を含む)のうちから、産業、企
業規模別に層化して無作為に抽出した企業を対象とした調査です。
詳細は次のURL のページからご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/11-23c.html
(次号に続く)
医療広告、その表現は大丈夫?
平成30(2018)年6 月より医療広告規制が強化され、厚生労働省より「医療広告ガイドライン」
と「Q&A」※が示されています。目を通すと、なかなかに厳しい内容であることが分かります。
今回は、規制内容の一部をご紹介します。
専門外来は広告できる?
「糖尿病外来」、「認知症外来」等の専門外来を設置している場合でも、それを広告すること
は原則禁止です。「○○外来」の表記は、広告可能な診療科名と誤認を与えてしまうためです。
受講した研修を略歴に書いてもよい?
医療従事者の略歴に、受けた研修についての情報を書くことも規制されています。研修の実
施主体やその内容はさまざまで、患者から見て適切な判断が難しいため、原則、広告すること
ができません。
専門性に関する医療広告は?
「広告可能な医師等の専門性に関する資格名等について」(平成25 年5 月31 日付医政総
発0531 第1 号医政局総務課長通知)において広告が可能とされている資格名については、広
告することができます。この場合は、「医師○○○○(××学会認定××専門医)」のように、
資格名とともに認定団体の名称を示す必要があります。
一方で、日本専門医機構認定の専門医である旨は、前記通知に記載されていないため、広告
することができません。
なお、研修を受けた旨や専門性に関する医療広告の取り扱いについては、今後検討される予
定です。
歯科用インプラントによる自由診療は?
国が医薬品医療機器等法上の医療機器として承認しているインプラントを使用する治療
の場合は、「自由診療のうち医薬品医療機器等法の承認又は認証を得た医療機器を用いる検
査、手術、その他の治療の方法」に該当し、広告することができます。但しこの場合は、
公的医療保険が適用されない旨と治療に掛かる標準的な費用が併記されていることが求められ
ます。
外国語も規制対象?
外国語で作成された広告も、規制の対象です。
※厚生労働省「医療広告ガイドラインに関するQ&A」
詳細は次のURL のページからご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000371826.pdf
(次号に続く)
補助金による機器導入で職場改善
福祉施設が活用できる補助金・助成金の中から、人材確保等支援助成金「介護福祉機器助成
コース」をご紹介します。介護福祉機器の導入で最大150 万円、目標達成で更に最大150 万円の
助成を受けることができます。
機器導入+目標達成の2 段階助成
この助成金は、介護事業主が、介護労働者の身体的負担を軽減するために介護福祉機器を
導入し、労働者の離職率の低下が図られた場合に、導入費用の一部が助成されるものです。ま
ずは「機器導入助成」、その上で「目標達成助成」が設けられた2 段階構造の助成金です。
それぞれの支給要件は以下の通りです。
機器導⼊助成
① 導⼊・運⽤計画の認定
介護労働者の労働環境向上のための介護福祉機器の導⼊・運⽤計画を作成し、管轄の労働局
⻑の認定を受けること。
② 介護福祉機器の導⼊等
①の導⼊を実施し、導⼊効果を把握すること。
目標達成助成
「機器導⼊助成」の実施の結果、計画期間の終了から1 年経過までの期間の離職率を、
計画提出前1 年間の離職率よりも、⼀定の目標値以上に低下させること。
対象となる機器は、移動・昇降用リフト(立位補助機、非装着型移乗介助機器を含む)、
装着型移乗介助機器、自動車用車いすリフト 、エアーマット、特殊浴槽、ストレッチャー
です。
また対象となる費用は、機器の導入費用(設置費用等は除く)、保守契約費、機器使用徹底の
研修費です。
導入・運用計画とは?
介護福祉機器を導入する事業所の管轄都道府県労働局に、導入・運用計画の認定を受ける
ことが大前提となります。計画の提出期限は、計画開始日から遡って6 ヶ月~1 ヶ月前の日の
前日まで。計画期間は3 ヶ月以上1 年以内です。
所定の様式で作成し、以下を記載します。
- 導⼊する介護福祉機器の品目、台数、費⽤、メンテナス方法
- 導⼊機器の使⽤を徹底するため研修予定⽇、内容、費⽤
- 導⼊効果を把握するスケジュール
この機会をぜひご活用ください。
(次号に続く)
より適正な選出が求められる従業員の過半数代表者
年度単位(4月から翌年3月)で36協定を締結している企業では、新年度に向けて36協定の準備を
進める頃かと思います。36協定では、従業員の過半数で組織する労働組合がない場合、従業員の
過半数代表者(以下、「過半数代表者」という)を選出する必要がありますが、その適正な
選出の重要性が増しています。
1.過半数代表者の適正な選出
過半数代表者を選出するときは、管理監督者に該当しないこと、どのような労使協定を
締結するかを明確にした上で、投票、挙手、従業員による話し合い等の民主的な手続きが
とられていることといった要件を満たしている必要があります。
現状では、会社側が過半数代表者を指名するといった不適切な取扱いをしていた事例が
見られることから、2019年4月より、「使用者の意向に基づき選出されたものではないこ
と」という要件がさらに追加されます。
2.過半数代表者を必要とする協定
36協定のほかにも、過半数代表者との書面による協定等を必要とするものがあります。
主なものは次のとおりです。
・賃⾦控除に関する労使協定
・1ヶ月単位の変形労働時間制の労使協定(就業規則で規定しない場合)
・1年単位の変形労働時間制の労使協定
・1週間単位の変形労働時間制の労使協定
・専門業務型裁量労働制の労使協定
・事業場外労働の労使協定(みなし時間が8時間を超える場合のみ)
・一⻫休憩の適⽤除外に関する労使協定
・年次有給休暇の時間単位の取得の労使協定
・年次有給休暇の計画的付与の労使協定
・育児・介護休業等の適⽤除外者に関する労使協定
・就業規則の意⾒聴取
協定の種類によって、毎年、締結が必要なものがあるため、有効期限が到来していない
か点検しておきましょう。また、労働基準監督署への届出の要否についても協定ごとに異
なります。
3.就業規則・36協定の本社一括届
労使協定等の労働基準監督署への届出は、複数の事業場がある企業では、原則として事
業場ごとに行うことになっています。
就業規則や36協定については、本社と各事業場の内容が同一である場合等の要件を満た
した場合、本社において一括して届け出ることが可能です。ただし、36協定については、
各事業場の従業員の過半数で組織された労働組合があることが、一括で届け出る要件と
なっているため、過半数代表者を選出する企業では、36協定を本社において一括して届け
出ることができません。
従業員の過半数代表者の選出母数となる従業員には、管理監督者を含み、その事業場で雇
用される従業員全員が対象になります。管理監督者は過半数代表者にはなれませんが、選出
母数には含める必要があります。選出母数となる人数が正確に把握されていないと、適正な
過半数代表であるかどうかの確認ができないことになります。労働基準監督署による監督指
導などで指摘を受けないようにするためにも、適正な選出を行うようにしましょう。
(来月に続く)
より適正な選出が求められる従業員の過半数代表者
年度単位(4月から翌年3月)で36協定を締結している企業では、新年度に向けて36協定の準備を
進める頃かと思います。36協定では、従業員の過半数で組織する労働組合がない場合、従業員の
過半数代表者(以下、「過半数代表者」という)を選出する必要がありますが、その適正な
選出の重要性が増しています。
1.過半数代表者の適正な選出
過半数代表者を選出するときは、管理監督者に該当しないこと、どのような労使協定を
締結するかを明確にした上で、投票、挙手、従業員による話し合い等の民主的な手続きが
とられていることといった要件を満たしている必要があります。
現状では、会社側が過半数代表者を指名するといった不適切な取扱いをしていた事例が
見られることから、2019年4月より、「使用者の意向に基づき選出されたものではないこ
と」という要件がさらに追加されます。
2.過半数代表者を必要とする協定
36協定のほかにも、過半数代表者との書面による協定等を必要とするものがあります。
主なものは次のとおりです。
・賃⾦控除に関する労使協定
・1ヶ月単位の変形労働時間制の労使協定(就業規則で規定しない場合)
・1年単位の変形労働時間制の労使協定
・1週間単位の変形労働時間制の労使協定
・専門業務型裁量労働制の労使協定
・事業場外労働の労使協定(みなし時間が8時間を超える場合のみ)
・一⻫休憩の適⽤除外に関する労使協定
・年次有給休暇の時間単位の取得の労使協定
・年次有給休暇の計画的付与の労使協定
・育児・介護休業等の適⽤除外者に関する労使協定
・就業規則の意⾒聴取
協定の種類によって、毎年、締結が必要なものがあるため、有効期限が到来していない
か点検しておきましょう。また、労働基準監督署への届出の要否についても協定ごとに異
なります。
3.就業規則・36協定の本社一括届
労使協定等の労働基準監督署への届出は、複数の事業場がある企業では、原則として事
業場ごとに行うことになっています。
就業規則や36協定については、本社と各事業場の内容が同一である場合等の要件を満た
した場合、本社において一括して届け出ることが可能です。ただし、36協定については、
各事業場の従業員の過半数で組織された労働組合があることが、一括で届け出る要件と
なっているため、過半数代表者を選出する企業では、36協定を本社において一括して届け
出ることができません。
従業員の過半数代表者の選出母数となる従業員には、管理監督者を含み、その事業場で雇
用される従業員全員が対象になります。管理監督者は過半数代表者にはなれませんが、選出
母数には含める必要があります。選出母数となる人数が正確に把握されていないと、適正な
過半数代表であるかどうかの確認ができないことになります。労働基準監督署による監督指
導などで指摘を受けないようにするためにも、適正な選出を行うようにしましょう。
(来月に続く)
より適正な選出が求められる従業員の過半数代表者
年度単位(4月から翌年3月)で36協定を締結している企業では、新年度に向けて36協定の準備を
進める頃かと思います。36協定では、従業員の過半数で組織する労働組合がない場合、従業員の
過半数代表者(以下、「過半数代表者」という)を選出する必要がありますが、その適正な
選出の重要性が増しています。
1.過半数代表者の適正な選出
過半数代表者を選出するときは、管理監督者に該当しないこと、どのような労使協定を
締結するかを明確にした上で、投票、挙手、従業員による話し合い等の民主的な手続きが
とられていることといった要件を満たしている必要があります。
現状では、会社側が過半数代表者を指名するといった不適切な取扱いをしていた事例が
見られることから、2019年4月より、「使用者の意向に基づき選出されたものではないこ
と」という要件がさらに追加されます。
2.過半数代表者を必要とする協定
36協定のほかにも、過半数代表者との書面による協定等を必要とするものがあります。
主なものは次のとおりです。
・賃⾦控除に関する労使協定
・1ヶ月単位の変形労働時間制の労使協定(就業規則で規定しない場合)
・1年単位の変形労働時間制の労使協定
・1週間単位の変形労働時間制の労使協定
・専門業務型裁量労働制の労使協定
・事業場外労働の労使協定(みなし時間が8時間を超える場合のみ)
・一⻫休憩の適⽤除外に関する労使協定
・年次有給休暇の時間単位の取得の労使協定
・年次有給休暇の計画的付与の労使協定
・育児・介護休業等の適⽤除外者に関する労使協定
・就業規則の意⾒聴取
協定の種類によって、毎年、締結が必要なものがあるため、有効期限が到来していない
か点検しておきましょう。また、労働基準監督署への届出の要否についても協定ごとに異
なります。
3.就業規則・36協定の本社一括届
労使協定等の労働基準監督署への届出は、複数の事業場がある企業では、原則として事
業場ごとに行うことになっています。
就業規則や36協定については、本社と各事業場の内容が同一である場合等の要件を満た
した場合、本社において一括して届け出ることが可能です。ただし、36協定については、
各事業場の従業員の過半数で組織された労働組合があることが、一括で届け出る要件と
なっているため、過半数代表者を選出する企業では、36協定を本社において一括して届け
出ることができません。
従業員の過半数代表者の選出母数となる従業員には、管理監督者を含み、その事業場で雇
用される従業員全員が対象になります。管理監督者は過半数代表者にはなれませんが、選出
母数には含める必要があります。選出母数となる人数が正確に把握されていないと、適正な
過半数代表であるかどうかの確認ができないことになります。労働基準監督署による監督指
導などで指摘を受けないようにするためにも、適正な選出を行うようにしましょう。
(来月に続く)












