コラム

介護事業所様向け情報(経営)7月号①

キャッシュレス・消費者還元事業と介護

今秋の消費税率引上げとともに始まるキャッシュレス・消費者還元事業。消費者のみならず、導入する中小・小規模事業者にもメリットがあります。介護事業との関連はどうでしょうか。確認してみましょう。

キャッシュレス・消費者還元事業とは

この事業は、消費税率引上げ後の9 ヶ月間、中小・小規模事業者によるキャッシュレス手段(クレジットカード等)を使ったポイント還元等を支援する事業です。
消費者が5%の還元を受けられることは報道等でも広く周知されていますが、キャッシュレス決済を採用する事業者も、この事業により自己負担なしで決済端末の導入ができる他、期間中の決済手数料について3 分の1 を国が補助する制度など、メリットがあります。
このメリットを享受するには登録が必要ですが、介護サービスや社会福祉事業等を行う事業者は、この登録の対象外に設定されています。

医療・介護分野は基本的に対象外

医療・介護分野では、以下の事業者は、原則として登録対象外となります。

  1. 健康保険法、国⺠健康保険法、労災保険、⾃賠責保険の対象となる医療等の社会保険医療の給付等を⾏う保険医療機関及び保険薬局
  2. 介護保険法に基づく保険給付の対象となる居宅サービスや施設サービスを提供する介護サービス事業者
  3. 社会福祉法に規定する第⼀種社会福祉事業、第⼆種社会福祉事業及び更⽣保護事業法に規定する更⽣保護事業を⾏う事業者

ただし、上記の事業者が行う事業であっても、例えば特定福祉用具販売事業所が行う特定福祉用具販売等、一部補助対象となる場合もあります。下表でご確認ください。

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(経営)7月号①

キャッシュレス・消費者還元事業と医療

今秋の消費税率引上げとともに始まるキャッシュレス・消費者還元事業。引上げ後の9 ヶ月間、中小・小規模事業者のキャッシュレス手段を使ったポイント還元等を支援する事業ですが、医療機関との関連はどうでしょうか。

診療は全て補助対象外

消費者への還元が広く周知されているこの事業ですが、自己負担なしでの決済端末の導入や、決済手数料の一部補助が受けられるなど、事業者側にもメリットがあります。
このメリットを享受するには登録が必要ですが、保険医療機関は登録対象外です。また、要領※1 によれば、保険医療機関であるか否かに関わらず、保険適用外のいわゆる自由診療(自費診療)についても補助が受けられません。つまり、全ての医療機関が行う診療は、保険・自費に関わらず補助の対象外となります。

売店は MS法人の運営なら対象に?

その他、FAQ※2 によれば、運営者が保険医療機関の院内売店は登録対象外ですが、たとえばMS(メディカルサービス)法人であれば、当該法
人の規模で判断します。

なお、保険薬局や介護福祉事業者は原則として登録対象外ですが、補助の対象となる事業もあります(下表参照)。ご留意ください。

(※1)一般社団法人キャッシュレス推進協議会「加盟店登録要領」
https://cashless.go.jp/assets/doc/kameiten_tourokuyouryou.pdf
(※2)一般社団法人キャッシュレス推進協議会「キャッシュレス・消費者還元事業 決済事業者向けFAQ」
http://cashless.go.jp/assets/doc/cashless_kessai_FAQ.pdf

(次号に続く)

医療事業所様向け情報(労務)7月号④

いよいよ9月に発効となる日・中社会保障協定

諸外国の中で、日本と人的交流がもっとも多い中国との社会保障協定ですが、2018年5月9日に署名が行われ、今年9月に発効となることが正式に決定しました。
そこで、この社会保障協定の概要と、現在締結されている各国との社会保障協定についてとり上げます。

1.社会保障協定の前提にある課題

①年金制度への二重加入の課題

従業員を海外勤務させ、勤務している相手国の年金制度の加入要件を満たした場合には、海外で勤務している期間について日本と相手国の年金制度に二重で加入することが必要となります。
その結果、両方の制度で二重に保険料を負担することになります。これは、外国人労働者を雇入れた場合にも同様のことがいえます。

②年金受給資格と保険料負担の課題

老齢年金を受給するためには、通常、日本においても海外の年金制度においても一定期間、該当する年金制度に加入する必要があり
ます。
しかし、短期間海外勤務をさせた場合や外国人労働者を短期間雇用した場合には、その期間だけ年金制度に加入することになり、老齢年金を受給するためには加入期間が不足します。その結果、支払った保険料が掛け捨てになるという問題が生じます。

2.現在締結されている社会保障協定

これらの課題を解決するため、日本と相手国との間で社会保障協定を締結し、いずれかの国の年金制度の加入を免除したり、年金の加入期間を通算して、将来年金を受給できるようにするなどの対応が行われています。この社会保障協定の内容は、国ごとに内容が異なり、年金のみの場合と、年金と医療保険の両方の場合があるため、個別に内容を確認す
る必要があります。
2019年6月1日時点における、日本の社会保障協定の締結状況は下表のとおりとなります。

すでに社会保障協定が締結されている国は現在18ヶ国あり、中国についてもこの9月1日に発効予定となりました。

今回の中国との社会保障協定の実施にあたり、事務手続きの詳細や注意事項等について、6月下旬に日本年金機構のホームページに掲載されることになっています。また日本年金機構(年金事務所および事務センター)では、中国の年金制度への加入が免除されるために必要な書類である「適用証明書」の交付申請を、協定発効日の1ヶ月前(2019年8月1日)より受け付ける予定です。

(来月に続く)

保育事業所様向け情報(労務)7月号④

いよいよ9月に発効となる日・中社会保障協定

諸外国の中で、日本と人的交流がもっとも多い中国との社会保障協定ですが、2018年5月9日に署名が行われ、今年9月に発効となることが正式に決定しました。
そこで、この社会保障協定の概要と、現在締結されている各国との社会保障協定についてとり上げます。

1.社会保障協定の前提にある課題

①年金制度への二重加入の課題

従業員を海外勤務させ、勤務している相手国の年金制度の加入要件を満たした場合には、海外で勤務している期間について日本と相手国の年金制度に二重で加入することが必要となります。
その結果、両方の制度で二重に保険料を負担することになります。これは、外国人労働者を雇入れた場合にも同様のことがいえます。

②年金受給資格と保険料負担の課題

老齢年金を受給するためには、通常、日本においても海外の年金制度においても一定期間、該当する年金制度に加入する必要があり
ます。
しかし、短期間海外勤務をさせた場合や外国人労働者を短期間雇用した場合には、その期間だけ年金制度に加入することになり、老齢年金を受給するためには加入期間が不足します。その結果、支払った保険料が掛け捨てになるという問題が生じます。

2.現在締結されている社会保障協定

これらの課題を解決するため、日本と相手国との間で社会保障協定を締結し、いずれかの国の年金制度の加入を免除したり、年金の加入期間を通算して、将来年金を受給できるようにするなどの対応が行われています。この社会保障協定の内容は、国ごとに内容が異なり、年金のみの場合と、年金と医療保険の両方の場合があるため、個別に内容を確認す
る必要があります。
2019年6月1日時点における、日本の社会保障協定の締結状況は下表のとおりとなります。

すでに社会保障協定が締結されている国は現在18ヶ国あり、中国についてもこの9月1日に発効予定となりました。

今回の中国との社会保障協定の実施にあたり、事務手続きの詳細や注意事項等について、6月下旬に日本年金機構のホームページに掲載されることになっています。また日本年金機構(年金事務所および事務センター)では、中国の年金制度への加入が免除されるために必要な書類である「適用証明書」の交付申請を、協定発効日の1ヶ月前(2019年8月1日)より受け付ける予定です。

(来月に続く)

介護事業所様向け情報(労務)7月号④

いよいよ9月に発効となる日・中社会保障協定

諸外国の中で、日本と人的交流がもっとも多い中国との社会保障協定ですが、2018年5月9日に署名が行われ、今年9月に発効となることが正式に決定しました。
そこで、この社会保障協定の概要と、現在締結されている各国との社会保障協定についてとり上げます。

1.社会保障協定の前提にある課題

①年金制度への二重加入の課題

従業員を海外勤務させ、勤務している相手国の年金制度の加入要件を満たした場合には、海外で勤務している期間について日本と相手国の年金制度に二重で加入することが必要となります。
その結果、両方の制度で二重に保険料を負担することになります。これは、外国人労働者を雇入れた場合にも同様のことがいえます。

②年金受給資格と保険料負担の課題

老齢年金を受給するためには、通常、日本においても海外の年金制度においても一定期間、該当する年金制度に加入する必要があり
ます。
しかし、短期間海外勤務をさせた場合や外国人労働者を短期間雇用した場合には、その期間だけ年金制度に加入することになり、老齢年金を受給するためには加入期間が不足します。その結果、支払った保険料が掛け捨てになるという問題が生じます。

2.現在締結されている社会保障協定

これらの課題を解決するため、日本と相手国との間で社会保障協定を締結し、いずれかの国の年金制度の加入を免除したり、年金の加入期間を通算して、将来年金を受給できるようにするなどの対応が行われています。この社会保障協定の内容は、国ごとに内容が異なり、年金のみの場合と、年金と医療保険の両方の場合があるため、個別に内容を確認す
る必要があります。
2019年6月1日時点における、日本の社会保障協定の締結状況は下表のとおりとなります。

すでに社会保障協定が締結されている国は現在18ヶ国あり、中国についてもこの9月1日に発効予定となりました。

今回の中国との社会保障協定の実施にあたり、事務手続きの詳細や注意事項等について、6月下旬に日本年金機構のホームページに掲載されることになっています。また日本年金機構(年金事務所および事務センター)では、中国の年金制度への加入が免除されるために必要な書類である「適用証明書」の交付申請を、協定発効日の1ヶ月前(2019年8月1日)より受け付ける予定です。

(来月に続く)

 

医療事業所様向け情報(労務)7月号③

育児休業中に一時的に勤務した場合の育児休業給付金の取扱い

このコーナーでは、人事労務管理で頻繁に問題になるポイントを、社労士とその顧問先の
総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長:現在、経理部門が決算業務で、とても忙しくしています。経理部門の従業員が昨年
     12月から育児休業を取っているので、短期間でもいいので一時的に出勤してもらお
     うと考えています。特に問題はないのですよね?

社労士 :繁忙期を乗り切るための一つの対策ですね。育児休業中のご本人はどのように考え
     ているのでしょうか。

総務部長:育児にも慣れてきて、短時間の勤務であれば問題ないとのことでした。ただし、雇
     用保険の育児休業給付金がもらえなくなってしまうのではないかと心配しています。

社労士 :確かに支給単位期間(※)に10日を超えて働き、かつ、80時間を超えて働いている
     ときは、育児休業給付金が支給されなくなるというルールがあります。

総務部長:ということは、引続き育児休業給付金が支給されるようにするためには、この基準
     を下回るような出勤日数や出勤時間にする必要があるということですね。

社労士 :育児休業給付金の受給ができるかという観点では、おっしゃるとおりです。もう一
     つは、勤務したときに支給される給与の額が関係してきます。

総務部長:一時的に出勤してもらうので、給与については休む前の月給を時給換算し、その時
     給額に勤務した時間数を掛けた額を支払う予定です。

社労士 :承知しました。育児休業給付金は、支給単位期間に、育児休業を開始したときに算
     出する賃金月額の13%を超える給与が支給されると調整の対象となり、80%以上の
     給与が支給されると支給されなくなります。

総務部長:休業している従業員が、休業する前にどの程度の給与の額をもらっていたかという
     ことが関係してくるのですね。今のところ、決算が終わるまでの2ヶ月弱の間、週2
     ~3回で1日当たり4時間程度の勤務を考えていましたが、育児休業給付金の支給額と
     の調整も含めて、どの程度、働いてもらうかを考えることにします。ありがとうご
     ざいました。

※育児休業を開始した日から1ヶ月ごとの期間(育児休業終了日を含む場合は、その育児休
業終了日までの期間)。

【ワンポイントアドバイス】
1. 会社の業務の繁忙等のため、育児休業中の従業員について、休業者本人の同意を得て一時的に労務の提供を受けることは可能である。
2. 育児休業中に、一定の出勤日数・出勤時間を超えて働くと育児休業給付金は支給されなくなる。
3. 育児休業中に一定額以上の給与が支給されたときは、育児休業給付金の一部が減額されたり、支給されなくなったりする。

(次号に続く)

保育事業所様向け情報(労務)7月号③

育児休業中に一時的に勤務した場合の育児休業給付金の取扱い

このコーナーでは、人事労務管理で頻繁に問題になるポイントを、社労士とその顧問先の
総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長:現在、経理部門が決算業務で、とても忙しくしています。経理部門の従業員が昨年
     12月から育児休業を取っているので、短期間でもいいので一時的に出勤してもらお
     うと考えています。特に問題はないのですよね?

社労士 :繁忙期を乗り切るための一つの対策ですね。育児休業中のご本人はどのように考え
     ているのでしょうか。

総務部長:育児にも慣れてきて、短時間の勤務であれば問題ないとのことでした。ただし、雇
     用保険の育児休業給付金がもらえなくなってしまうのではないかと心配しています。

社労士 :確かに支給単位期間(※)に10日を超えて働き、かつ、80時間を超えて働いている
     ときは、育児休業給付金が支給されなくなるというルールがあります。

総務部長:ということは、引続き育児休業給付金が支給されるようにするためには、この基準
     を下回るような出勤日数や出勤時間にする必要があるということですね。

社労士 :育児休業給付金の受給ができるかという観点では、おっしゃるとおりです。もう一
     つは、勤務したときに支給される給与の額が関係してきます。

総務部長:一時的に出勤してもらうので、給与については休む前の月給を時給換算し、その時
     給額に勤務した時間数を掛けた額を支払う予定です。

社労士 :承知しました。育児休業給付金は、支給単位期間に、育児休業を開始したときに算
     出する賃金月額の13%を超える給与が支給されると調整の対象となり、80%以上の
     給与が支給されると支給されなくなります。

総務部長:休業している従業員が、休業する前にどの程度の給与の額をもらっていたかという
     ことが関係してくるのですね。今のところ、決算が終わるまでの2ヶ月弱の間、週2
     ~3回で1日当たり4時間程度の勤務を考えていましたが、育児休業給付金の支給額と
     の調整も含めて、どの程度、働いてもらうかを考えることにします。ありがとうご
     ざいました。

※育児休業を開始した日から1ヶ月ごとの期間(育児休業終了日を含む場合は、その育児休
業終了日までの期間)。

【ワンポイントアドバイス】
1. 会社の業務の繁忙等のため、育児休業中の従業員について、休業者本人の同意を得て一時的に労務の提供を受けることは可能である。
2. 育児休業中に、一定の出勤日数・出勤時間を超えて働くと育児休業給付金は支給されなくなる。
3. 育児休業中に一定額以上の給与が支給されたときは、育児休業給付金の一部が減額されたり、支給されなくなったりする。

(次号に続く)

介護事業所様向け情報(労務)7月号③

育児休業中に一時的に勤務した場合の育児休業給付金の取扱い

このコーナーでは、人事労務管理で頻繁に問題になるポイントを、社労士とその顧問先の
総務部長との会話形式で、分かりやすくお伝えします。

総務部長:現在、経理部門が決算業務で、とても忙しくしています。経理部門の従業員が昨年
     12月から育児休業を取っているので、短期間でもいいので一時的に出勤してもらお
     うと考えています。特に問題はないのですよね?

社労士 :繁忙期を乗り切るための一つの対策ですね。育児休業中のご本人はどのように考え
     ているのでしょうか。

総務部長:育児にも慣れてきて、短時間の勤務であれば問題ないとのことでした。ただし、雇
     用保険の育児休業給付金がもらえなくなってしまうのではないかと心配しています。

社労士 :確かに支給単位期間(※)に10日を超えて働き、かつ、80時間を超えて働いている
     ときは、育児休業給付金が支給されなくなるというルールがあります。

総務部長:ということは、引続き育児休業給付金が支給されるようにするためには、この基準
     を下回るような出勤日数や出勤時間にする必要があるということですね。

社労士 :育児休業給付金の受給ができるかという観点では、おっしゃるとおりです。もう一
     つは、勤務したときに支給される給与の額が関係してきます。

総務部長:一時的に出勤してもらうので、給与については休む前の月給を時給換算し、その時
     給額に勤務した時間数を掛けた額を支払う予定です。

社労士 :承知しました。育児休業給付金は、支給単位期間に、育児休業を開始したときに算
     出する賃金月額の13%を超える給与が支給されると調整の対象となり、80%以上の
     給与が支給されると支給されなくなります。

総務部長:休業している従業員が、休業する前にどの程度の給与の額をもらっていたかという
     ことが関係してくるのですね。今のところ、決算が終わるまでの2ヶ月弱の間、週2
     ~3回で1日当たり4時間程度の勤務を考えていましたが、育児休業給付金の支給額と
     の調整も含めて、どの程度、働いてもらうかを考えることにします。ありがとうご
     ざいました。

※育児休業を開始した日から1ヶ月ごとの期間(育児休業終了日を含む場合は、その育児休
業終了日までの期間)。

【ワンポイントアドバイス】
1. 会社の業務の繁忙等のため、育児休業中の従業員について、休業者本人の同意を得て一時的に労務の提供を受けることは可能である。
2. 育児休業中に、一定の出勤日数・出勤時間を超えて働くと育児休業給付金は支給されなくなる。
3. 育児休業中に一定額以上の給与が支給されたときは、育児休業給付金の一部が減額されたり、支給されなくなったりする。

(次号に続く)

医療事業所様向け情報(労務)7月号②

年次有給休暇の時季指定に関する実務上の注意点

4月より年10日以上の年次有給休暇(以下、「年休」という)が付与される従業員に対し、年休日数のうち少なくとも5日を取得させることが義務となりました。確実な取得に向けて、使用者(会社)が取得時季を指定して運用するケースもあることから、今回は、この使用者による時季指定に関する実務上の注意点をとり上げます。

1.就業規則の記載

今回の法改正では、従業員自らが年休を取得するなどして、5日の年休を取得すれば、改めて時季指定を行う必要はありません。しかし、取得日数が5日に満たない場合には、最終的には使用者が時季指定を行うことにより、確実に5日の年休を取得させる必要があります。
そもそも使用者による時季指定とは、会社が従業員の希望を聞いた上で、年休を取得する日をあらかじめ決めることをいいますが、これを行う際には、就業規則に時季指定を行う旨の規定が必要とされています。必ず記載しなければならない項目は、時季指定の対象となる労働者の範囲、時季指定の方法等です。

2.指定日までに退職した場合の対応

時季指定をしたものの、その指定した日までに従業員が退職するというケースが考えられます。このような場合には、従業員の希望を再度聞いた上で、退職日までに5日の年休を取得させることが原則的な取扱いになります。現実的には退職日までの期間が短いケースもありますが、このような場合も同様の取扱いとなります。
なお、実際に突然の退職により5日の年休を取得させることができなかったときは、労働基準監督署から個別の事情を踏まえた上で、会社に対して助言等が行われることになっています。

3.望ましくないとされる取扱い

この年休取得義務化の取扱いに関し、厚生労働省のリーフレット「年次有給休暇の時季指定を正しく取扱いましょう」において、以下のような取扱いは望ましくないとされています。

①法定休⽇ではない所定休⽇を労働⽇に変更し、その労働⽇について、使⽤者が年休として時季指定すること。
②会社が独自に設けている有給の特別休暇を労働⽇に変更し、その労働⽇について、使⽤者が年休として時季指定すること。

①は、実質的に年休の取得につながっていないことから、望ましくないとされています。
②は、今回の法改正をきっかけに特別休暇を廃止し、年休に振り替えることは、法改正の趣旨に沿わないとされています。特別休暇などの労働条件の変更は、従業員と会社が合意して行うことが原則になります。

年休の取得単位としては1日、半日、時間単位がありますが、この時季指定を行う際、従業員の意見を聴いた際に半日単位の年休の取得の希望があった場合、半日単位で行うことは差し支えないとされています。時間単位については時季指定を行うことはできず、また取得義務対象の5日の年休のカウントにも入れることはできないことから、誤った取扱いをしないようにしましょう。

(次号に続く)

保育事業者様向け情報(労務)7月号②

年次有給休暇の時季指定に関する実務上の注意点

4月より年10日以上の年次有給休暇(以下、「年休」という)が付与される従業員に対し、年休日数のうち少なくとも5日を取得させることが義務となりました。確実な取得に向けて、使用者(会社)が取得時季を指定して運用するケースもあることから、今回は、この使用者による時季指定に関する実務上の注意点をとり上げます。

1.就業規則の記載

今回の法改正では、従業員自らが年休を取得するなどして、5日の年休を取得すれば、改めて時季指定を行う必要はありません。しかし、取得日数が5日に満たない場合には、最終的には使用者が時季指定を行うことにより、確実に5日の年休を取得させる必要があります。
そもそも使用者による時季指定とは、会社が従業員の希望を聞いた上で、年休を取得する日をあらかじめ決めることをいいますが、これを行う際には、就業規則に時季指定を行う旨の規定が必要とされています。必ず記載しなければならない項目は、時季指定の対象となる労働者の範囲、時季指定の方法等です。

2.指定日までに退職した場合の対応

時季指定をしたものの、その指定した日までに従業員が退職するというケースが考えられます。このような場合には、従業員の希望を再度聞いた上で、退職日までに5日の年休を取得させることが原則的な取扱いになります。現実的には退職日までの期間が短いケースもありますが、このような場合も同様の取扱いとなります。
なお、実際に突然の退職により5日の年休を取得させることができなかったときは、労働基準監督署から個別の事情を踏まえた上で、会社に対して助言等が行われることになっています。

3.望ましくないとされる取扱い

この年休取得義務化の取扱いに関し、厚生労働省のリーフレット「年次有給休暇の時季指定を正しく取扱いましょう」において、以下のような取扱いは望ましくないとされています。

①法定休⽇ではない所定休⽇を労働⽇に変更し、その労働⽇について、使⽤者が年休として時季指定すること。
②会社が独自に設けている有給の特別休暇を労働⽇に変更し、その労働⽇について、使⽤者が年休として時季指定すること。

①は、実質的に年休の取得につながっていないことから、望ましくないとされています。
②は、今回の法改正をきっかけに特別休暇を廃止し、年休に振り替えることは、法改正の趣旨に沿わないとされています。特別休暇などの労働条件の変更は、従業員と会社が合意して行うことが原則になります。

年休の取得単位としては1日、半日、時間単位がありますが、この時季指定を行う際、従業員の意見を聴いた際に半日単位の年休の取得の希望があった場合、半日単位で行うことは差し支えないとされています。時間単位については時季指定を行うことはできず、また取得義務対象の5日の年休のカウントにも入れることはできないことから、誤った取扱いをしないようにしましょう。

(次号に続く)

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