保育
A まず検討したいのは付与要件です。ある施設では、お悔やみ休暇を付与する期間は、一番多い付与日数が5日であり、従来の規定では、「連続5日」としているだけだったので、それを死亡日の翌日から5日以内などで設定します。例えば、配偶者が9月3日(金)に亡くなった場合の連続5日のお悔やみ休暇は9月8日(水)までの期間で、付与することにしました。
結婚休暇の従来規定は、これも連続5日と規定していただけでした。ただ、実際には入籍後、落ち着いてからお披露目や旅行に行くケースが増えていることから、入籍後6か月以内に取得すること、としました。
また、特別休暇の申請時には、きちんと確認してから付与したいので、証明書も提出してもらうことにしました。公的なものでなくても、お悔やみ休暇なら葬儀案内などでも可としました。以上のような変更を行い、就業規則もその内容で改定しました。
このルール変更を導入後、お悔やみ休暇については、付与要件が明確になり、証明書の提出をしてもらうようになったからか、申請件数が減りました。職員からも「わかりやすいし納得できる内容になった」という声も聞かれたようです。
国の制度としての幼児教育・保育の無償化は2019年からスタートし、幼稚園や保育所などを利用する3歳から5歳児クラスの子どもの保育料が無償化されています。しかし、0歳~2歳児クラスの保育料の無償化は限定的です。 そこで、子育て支援として第2子や第1子から保育料無償化を実施する地方自治体もあり、東京都も2025年9月から第1子の保育料などを無償化することを検討しています。 本記事では第1子から保育料無償化になると、どの程度の保育料が節約できるのかを年収400万円、600万円、800万円のケースで紹介・解説します。 ▼「3人目3万円」に思わぬ落とし穴! 2024年12月に前倒しになった「児童手当拡充」の注意点
保育料無償化制度の概要
国の制度としての保育の無償化は、幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する子ども(3歳~5歳児クラス)が対象であり、幼稚園については、月額上限2万5700円となっています。 保育料以外の通園送迎費、食材料費、行事費などは無償化の対象ではなく、保護者の負担になります(年収360万円未満相当世帯の子どもと全ての世帯の第3子以降の子どもについては副食費用が免除)。 また、0~2歳児クラスで無償化となるのは、住民税非課税世帯の子どもか、第3子以降の子どものみとなっています。
年収600万円でも保育料の節約は総額100万円以上になる場合も
世帯年収600万円の場合、保育料はどの程度になるのでしょうか? 保育料は、住民税の一部である市区町村民税の所得割額に基づいて市町村ごとに設定されており、年収600万円の人の市区町村民税の所得割は約16万2000円です(配偶者控除あり、その他の扶養親族なし)。 0~2歳児の保育標準時間での保育料は、目黒区では月額2万1900円(年間約26万円)、世田谷区では2万9700円(同約36万円)、墨田区では3万4900円(約42万円)となっています。 仮に0歳の4月に入園した場合、0~2歳児クラスの3年間の保育料が無償化されることとなり、総額で約78万円~126万円(上記の3つの区の場合)の保育料を節約できることになります。
年収400万円と800万円の世帯における無償化の影響は?
それでは年収400万円と800万円の人の保育料節約効果は、どの程度なのでしょうか? 年収400万円の人の市区町村民税の所得割は8万4000円(配偶者控除あり、その他の扶養親族なし)となり、目黒区では月額9400円(年間約11万円)、世田谷区では2万3000円(同約28万円)、墨田区では2万4300円(約29万円)の保育料が節約できます。 年収800万円の人の市区町村民税の所得割は24万8400円(配偶者控除あり、その他の扶養親族なし)となり、目黒区で月額2万9400円(年間約35万円)、世田谷区では3万8300円(同約46万円)、墨田区では4万6600円(約56万円)の保育料が節約できます。 保育料は、同じ世帯年収でも配偶者の所得や扶養親族の有無で変わるだけでなく、上記のように居住している地域でも変わります。 ただし、どの地域でも年収に比例して保育料は高くなるので、一般的には年収が高い人ほど保育の無償化による節約効果は高くなります。
まとめ
2019年から国の制度として保育の無償化が実施されていますが、加えて東京都では2025年9月以降より、第1子からの保育無償化が検討されています。 仮に第1子からの無償化が実現すれば、世帯年収400万円から世帯年収600万円の場合、数十万円の節約となり、場合によっては100万円以上の節約になるケースもあります。
出典 こども家庭庁 幼児教育・保育の無償化概要 東京都 東京都の少子化対策2025
不適切保育のニュースをきっかけに92.7%の保護者が「保育現場の対応を以前よりも気にするようになった」と回答した。
明日香が運営する保育研究プロジェクト「子ねくとラボ」は2025年5月16日、「2025年版不適切保育と社会的水準に関する定点調査」の結果を公表した。不適切保育のニュースをきっかけに92.7%の保護者が「保育現場の対応を以前よりも気にするようになった」と回答した。
「2025年版不適切保育と社会的水準に関する定点調査」は、2025年4月23日から24日にかけて、保育園に子供を預けている親109名を対象にインターネットで実施された。調査結果によれば、92.7%の保護者が不適切保育のニュースをきっかけに「保育現場の対応を以前よりも気にするようになった」と回答しており、2023年から7.4ポイント増加した。
具体的には、69.3%の保護者が「子供への普段の接し方を気にするようになった」と答えており、2023年から17.7ポイントの増加がみられる。また、保育士に対して「子供ひとりひとりの人格の尊重」を求める理由として、「自尊感情や自信の向上につながるから」が70.7%でもっとも多く、2023年から10.3ポイント増加した。
調査では、保護者が子供との接し方において社会的水準が高まっていると感じる具体的な部分についても質問が行われた。「優しい口調の声掛け」が56.6%で最多となり、ついで「子供への傾聴」が50.5%、「ひとりひとりを尊重した声掛け」が46.5%と続いた。
保育現場の対応
また、保育現場の対応に関して「気にするようになったこと」については、「子供への普段の接し方を気にするようになった」が69.3%で最多となり、ついで「保育現場の雰囲気を気にするようになった」が45.5%、「保育士が子供にどのような保育をしているのか気にするようになった」が41.6%と続いた。
保育園や保育士に対して求めることについては、「子供への笑顔や優しさ」が47.7%で最多となり、ついで「物事を強要しない配慮」が42.2%、「適度な声掛け」が39.4%と続いた。
今回の調査結果から
今回の調査結果から、保護者の間で保育の質に対する意識が高まっていることが明らかになった。特に、子供ひとりひとりの人格を尊重することが求められており、保育者には専門性の向上と倫理観の醸成が求められている。行政による適切な監督体制の整備や、保護者と保育者の円滑なコミュニケーション環境の構築も不可欠である。保育の質向上は社会全体の責任であることをあらめて認識する必要があるとしている。
A、時間単位年休は残日数、時間の管理が煩雑になりやすいのですが、部署ごとに現場で管理する方法を決めておくといいでしょう。総務担当の負担も軽減されます。全部署一括ではなく、看護部やリハ部門から試験的にどうする方法がいでしょう。
時間単位年休は平成22年4月1日から施行され、半日有休と時間単位有休を併用しているケースもありますが、時間単位有休を導入する際に、半日有休をなくすのが一般的です。
時間単位有休は、労使協定を締結することで、一年間の有休休暇日数のうち繰り越しも含めて5日を限度に時間単位で付与することが出来るものです。ただ以下4項目について使用者と労働者が協定で合意しなければなりません。
①対象労働者の範囲
②時間単位年休日数(5日以内)
③時間単位年休の1日の時間数
④1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数
また、有給休暇の事後振替を認めるかどうかについて、法律上特に定めはありません。認めることも、認めないことも医院で決めることができます。ただ、欠勤の理由が体調不良を交通事情というならまだしも、寝坊を理由に欠勤遅刻した職員が安易に申請することを避けるため、事後の振り替えを認めない病院もあります。
また、時間単位年休は1時間単位で採用できますが、遅刻など安易な利用を極力避けるため、30分程度の遅刻には利用しずらい「2時間単位」で認めている病院も実際にあります。
北上市の民間保育施設で男児が昼食中にバナナを誤嚥(ごえん)し、低酸素脳症で重い障害を負った事故で、市は6月に第三者による検証委員会を立ち上げる。3、4カ月かけて原因や背景を分析し、再発防止策を盛り込んだ報告書を取りまとめる。
検証委メンバーは学識経験者、医師、弁護士、栄養士、保育関係者の5人で全6回の会議を予定する。関連書類や事故経過の記録などを収集し、施設関係者や保護者にヒアリングする。市の対応も検証する。
事故は2023年6月、男児が1歳3カ月になる時に発生。救急搬送されたが脳へのダメージが大きく、運動機能回復が難しい状態となった。事業者から今年3月に事故報告書が出され、市の要因分析に関するコメントを付して国に提出している。
検証委の報告書は市ホームページなどで公表する見通し。市健康こども部の高橋晋部長は「事故の再発防止が一番の目的。幼稚園や保育園に情報を周知する方法を考えたい」とする。(岩手日報)
A 職員から産前産後休業(産休)・育児休業(育休)の申し出があれば、医院は、 原則として、その取得を認める必要があります。ただし、労使協定を締結するこ とで、勤続 1 年未満の職員の育児休業の申し出を拒むことができます。 (※以下では、今回の正職員の取扱いをとり上げます。)
詳細解説
妊娠・育児に係る休業制度 職員が妊娠した場合、出産予定 日前 6 週間(多胎妊娠の場合は 14 週間)、出産後 8 週間、産休を取 得できます。出産前は職員の請求 により休業を与えることになり、 出産後は、原則、就業させることはできません。 また、1 歳に達する日までの子どもを養育する 職員は、医院に申し出をすることで育休を取 得することができ、子どもが保育園に入園で きないなど一定要件を満たす場合、最長で子 どもが 2 歳に達するまで育休を延長すること ができます。 2.育休を取得できる人の例外 育休は、原則としてすべての正職員が申し 出可能ですが、医院は労使協定を締結するこ とにより、次に該当する職員からの申し出を 拒むことができます。 ① 入職 1 年未満の職員 ② 申し出の日から 1 年以内に雇用期間が終了 する職員 ③ 1 週間の所定労働日数が 2 日以下の職員 今回の職員は、産休が終了する時点では、入 職 9 ヶ月となるため①に該当し、労使協定を 締結している場合には、その育休の申し出を 拒むことができます。そのため、産休終了後は 育休を取得せずに復帰することとなります。 なお、①の判断は、育休の申し出の時点で行 うため、産休から復帰後の入職 1 年に達した 時点で、改めて育休の申し出をすることがで きます。育休を取得する際は、育休開始予定日 の 1 ヶ月前までに申し出ることになっている ことから、実際の育休の取得開始は入職後 1 年 1 ヶ月以降となります。 そもそも、育休は企業規模 に関わらず、法律で定められ ているため、就業規則等に定 めがなくても、職員が申し出 た場合には取得できます。今 回のケースのように、労使協定を締結するこ とにより申し出を拒む職員を定めることもで きるため、この機会に就業規則等の定めが適 切にされているか、また、労使協定を締結する かを確認しましょう。
ゴールデンウィークも終わり、7日からは日常の生活がまたスタートします。これからの仕事はもちろん、子どもたちの保育園への送り迎えもおっくうだという方も少なくないかもしれません。
こちらは4月のある朝の風景です。保育園へ園児を預ける母親の左肩には、重さ5キロの大きなバッグと体重11キロの2歳の男の子。バッグの中には、朝から準備をした子どものおむつや、食具、バスタオルなどが入っているといいます。
保護者の中には、2人の園児を連れながら大きなバッグ2つを抱えて通園する人たちもいて、園につながる坂道をのぼる様子は、まるで筋トレをしているようにも見えます。
こうした保護者の負担を減らそうと「手ぶら登園」と呼ばれる制度を取り入れた保育園が、長崎県佐世保市にあります。
保護者の荷物なし「手ぶら登園」の仕組みは…佐世保市の住宅街にある天竜保育園。
これまで保護者が準備していたおむつやスプーン、フォーク、スタイなどを園で備えておくことで、保護者が毎日持ってくる荷物を減らすことができるというものです。
この「手ぶら登園」の取り組みを可能にしたのが、おむつのサブスクです。

園では「おむつ」や「おしりふき」を定額制で保育施設に送り届ける「おむつのサブスク」をこの春から導入。保護者は月額2400円を別途支払うことで、このサービスを受けることができます。

2歳の男の子を初めて保育園に預けるため下見に来ていた母親は「手ぶら登園は、こどもを預けるための準備が減って、登園のハードルが下がるので安心する」と話していました。
保護者だけでなく保育士の負担も減らす「手ぶら登園」
少子化で新入園児の数が減っている中、他の園との差別化を図るために「手ぶら登園」を導入したという天竜保育園。
森ひとみ園長によると「手ぶら登園」の狙いは、保護者だけでなく保育士の負担も減らすこと。
これまで園では保護者に対しおむつに子どもの名前を書いてもらい、使用済みのものも分別して返却していましたが、おむつの分別・返却作業をなくすことで、保育士の作業やストレスの軽減にもつなげているといいます。
また森園長は「保護者がおむつなどの登園準備に使っていた時間を、子どもと触れ合う時間に使ってもらうことで、子育て支援になれば」と話しています。(NBC長崎放送記事より)
Q 当施設では、中途採用にも試用期間を設けています。過去の経験を見込んで採用した職員でも結果として適正に欠いていたという経験がある為ですが、能力に問題のある職員の本採用を拒否する際にどんな点に注意すべきでしょうか。
A 経験のある職員を中途採用したはいいが、予想外に能力が低くて困ったという話はよく聞きます。複数の施設を渡り歩く問題児でも転職したばかりのころはおとなしく、職場の水に慣れてきたところに少しづつ牙をむき出してくるようなケースもよくあります。
中途採用に関しては、新卒学卒者に比べれば期待値が高いため、そのものの能力や勤務態度等の評価をめぐるトラブルは多いものです。したがって中途採用者であっても、使用期間を設けることは大切です。ただし、トラブル防止のためにも就業規則の規定に基づいて規定を設けること、本採用を拒否する場合があることなどを雇用契約締結の際にきちんと説明しておくべきでしょう。
試用期間満了での本採用拒否は解雇に相当する
試用期間途中の解雇については、採用後14日間を超えて就労した職員には解雇予告が必要です。この場合、少なくとも30日前に解雇を予告するか、即日解雇の場合には30日以上の平均賃金を解雇予告手当として支払う必要があります。
また、試用期間中はいつでも「解雇」が許されると思い込んでいる経営者の方もいらっしゃいます。これは誤りで、試用期間であろうと解雇については一般の職員と同様、入職後14日を超えれば予告手当が必要ですし、安易に解雇が認められないのは一般職員と同様です。ただ、本採用に拒否(事実上の解雇)事由が就業規則に明記されていて、採用時の「面接などでは予見できなかった事実」として該当すれば、それは認められるケースもあります。ここで大切な事は、「本採用拒否」の事由を就業規則に記載しておくことです。本採用拒否が認められる具体的な基準については、裁判例などから、「勤務態度不良」「勤務成績不良」「業務遂行能力の不足」「協調性にかける」「経歴詐称」などは具体的な理由として挙げられます。問題は、能力が不足しているということをどのように説明するかということです。
「本採用拒否」に関する就業規則の記載例
一 遅刻、早退、欠勤が複数回あり、出勤状況が不良の場合
二 上司の指示に従わない、同僚との協調性が乏しい、誠実に勤務する姿勢が乏しい等の勤務態度が不良の場合
三 必要な教育を施したものの法人が求める能力に足りず、改善の見込みが薄い場合
四 経歴を偽り、その他不正な方法を用いて採用された場合
五 反社会的勢力若しくはそれに準ずる団体や個人と関係があることが判明した場合
六 督促しても必要書類を提出しない場合
七 健康状態が思わしくなく、今後の業務に耐えられないと認められる場合
八 法人の事業に職員として採用することがふさわしくないと認められる場合
九 懲戒解雇などの解雇事由に該当する場合
問われるのは注意指導したプロセスと記録
試用期間の解約権にもとづく解雇であっても、本採用拒否が有効と求められるための重要なポイントは、能力と適性が欠如している職員に対して「繰り返し注意・指導をしたけども改善の見込みがなかった」という事実とプロセスです。これは、通常の解雇の有効性が問われるプロセスと同様です。また、このような注意・指導を行ったという記録を残しておく必要もあります。
実務上は「退職勧奨」が一般的
本採用を拒否する場合、実務上は就業規則に基づいて退職勧奨をおこなうのが一般的です。試用期間中の評価をきちんと説明すれば、本人も「試用期間だからしかたない」と退職勧奨に応じるケースが多いように思います。そのためにも、就業規則には具体的な本採用基準を規定しておくことで、退職勧奨の説得材料にもなるわけです。
神奈川県の保育施設がコロナ禍で遠足や施設外での体験がしづらくなった自施設の園児に農業体験をしてもらおうと、自ら『イチゴ農園』を始めました。
今後はこういった保育施設が運営する事業の多角化が保育業界のトレンドになっていく可能性があります。
なぜなら保育施設の事業の多角化は、サービスの拡大や売上の向上などの様々なメリットを得られるためです。
保育施設が保育サービス以外の事業を実施する具体的なメリットとしては以下の事項があげられるでしょう。
① 自施設に通う園児向けの保育サービスや教育サービスの拡大ができる
② 遠足や遠出をしなくても園児が特別な体験をすることができる
③ 他の保育施設との差別化ができる
④ 事業の内容によっては地域の方々との触れ合いができる
⑤ 地域の方々との触れ合いを通じて、園児が多世代交流や他文化交流をすることができる
⑥ 事業の内容に応じて、保育業界以外の特定の事業に興味関心がある人材を採用できる可能性がある
⑦ 保育サービス以外で売上が上がる可能性がある
実際にイチゴ農園を運営している保育施設では、イチゴの販売をきっかけに地域住民や地元企業との交流ができているそうです。
地域住民との交流ができると子どもの教育に良いとされている多世代交流ができたり、地域人材の採用につなげたりすることができるようになるでしょう。
保育業界の経営者・人事担当者の皆様はぜひ保育施設で運営する事業の多角化について一度検討をいただければと思います。
保育施設がある地域や場所によって事業の内容については様々な選択肢が考えられることでしょう。
【イチゴ農園を始めた保育事業所の取材記事は】https://www.tokyo-np.co.jp/article/223750?rct=kanagawa
(参考:東京新聞記事・福祉業界コラムより)
形骸化とは「実質的な意味を失い、中身のない形式だけ残ること」です。
価制度の運用の改善やサポート業務で、ご相談を頂きますが、何にお悩みかというと
いわゆる形骸化です。
まさしく、「ただ やっているだけ」という状態と言っていいかもしれません。評価制度を導入して3年ぐらい経過するとこのような状況に陥るケースはとても多いように感じています。
なぜ、このようなことになってしまうのか。管理者やTOPの方にやる気が無いからでしょうか?それもあるかもしれませんが、それを考えてもなかなか改善にはつながらないのでもう少し構造的に考えてみたいと思います。
人事評価のポジションは「重要度は高い」が「緊急度は低い」と
その視点で「重要度、緊急度のマトリックス」で考えてみると、人事評価のポジションは「重要度は高い」が「緊急度は低い」ということになります。つまり、今やらなくても問題はない仕事となり、この結果「先延ばし」となり「緊急度の高い仕事」が終わったら取り組もうと思っているうちに、気が付いたら期末になってしまう。このようなことを繰り返しているうちに、評価制度は「形骸化」へまっしぐらとなります。誰が悪いわけではなく、そのような構造になっているのが評価制度の運用というわけです。
そのうえで、評価制度の形骸化にどうすれば歯止めがかけられるか
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評価制度の評価内容を毎年見直す
評価項目のブラッシュアップ、とりわけ評価項目が今の時代に即しているか、人の成長に合わせてよりレベルアップしていく項目に変わってきているかを毎年実施する重要なイベントごととして、必ず行っていただきたいと思います。もちろん、見直した結果として、前年と同じでいこう、という結論であればそれもOKです。
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本人評価と上司評価(一次評価)を別々に行う
良き聞く声で、「どうしても本人評価に引っ張られてしまう」という相談があります。
その場合のアドバイスは、本人評価とは別シートで一次評価を行うことです。そのメリットとして、今まで以上に評価への真剣度が変わります。そもそも本人評価は評価エラーも多く、スキルを持っている人は少ないので、あまりアテにしない方がいいと思いおます。いずれにしてもこの変更は評価者にとっては大きな変更なので、異論はありますが、実際におこなった事業所に例を見ると、評価に対する真剣度は変わり、形骸化にはなりません
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運用委員会などを作り機能させる
人事制度は構造上、「緊急度は低い」業務であることは、事業所のTOPや管理者でも同じです。そこでTOPも含めて、評価制度全体をマネジメントする「担当者」や委員会をつくることをお勧めしています。年間のスケジュールを決めたり、いつまでに●●を実施してくださいというように指示手配する役割と責任をもった委員会などがあることで全体が機能するようになります。
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期初に、一年間のスケジュールに付を入れて決めておく
事業計画の発表日や、社内的なイベントの日付を決めるのと同じように、評価制度の運用を重要なイベントとして、評価実施期間、評価者ミーティング、フィードバック面談等をあらかじめ1年間の日付を確定させておきます。そして、これは会社の最重要イベントということで、他の予定が入っても、この予定を最優先すると決めて通知をするぐらい徹底したいものです。
以上、過去の事例に基づき、代表的な方法を挙げましたが、対策の必要があれば、出来ることから始めて行くことをお勧めします。