待機児童は過去最少 東京都内で定員割れも 専門家「量から質へ」

保育所などの空きを待つ「待機児童」はことし4月時点で全国で2900人余りと去年の半数近くに減り、調査開始以降で最も少なくなったことがわかりました。
厚生労働省は保育の受け皿が拡大したことや新型コロナの影響で利用を控える保護者が相次いだことなどが要因だとしています。
1都3県の状況など、現状と課題をまとめました。

待機児童 5年前の10分の1近くに

厚生労働省によりますと、保育所などの空きを待つ「待機児童」はことし4月の時点で全国で2944人でした。

去年と比べると2690人減少して半数近くとなり、調査を開始した平成6年以降で、最も少なくなりました。
待機児童が前の年より減ったのは5年連続です。

待機児童 各県の状況は?

都道府県別でみますと沖縄が439人で最も多く、次いで兵庫が311人、東京が300人などでした。
埼玉県が296人、千葉県が250人、神奈川県が220人などとなっています。
また、ことしと去年の比較でみてみますと、1都3県ではいずれも減少し、次の通りとなっています。

一方、待機児童がいなかったのは青森、山形、新潟、富山、石川、福井、山梨、岐阜、鳥取、島根、徳島、長崎、大分、宮崎の14の県でした。

待機児童減少 要因は?

今回の調査結果、厚生労働省は要因について、次のようなことをあげています。

・保育の受け皿が拡大
・子どもの数の減少
・新型コロナの影響による利用控え
・在宅勤務の増加 など

ただ、25歳から44歳までの女性の就業率が上昇傾向であることや共働きの世帯の割合も増えていることなどから待機児童は再び増える可能性があるということで、引き続き地域の保育のニーズを把握しながら対策を進める方針です。

一方、地域によっては「定員割れ」が起きている保育所などもあり、厚生労働省は保護者の仕事の状況で保育所への入所が認められていない子どもなどを定員に空きがある施設で定期的に預かるなど、地域の特性に応じた多様な保育サービスを提供できる仕組みを検討していくことにしています。

加藤厚生労働相(閣議後の会見)
「厚生労働省として、各自治体で必要な受け皿の確保や待機児童の解消が進むよう引き続き支援していく。こうした取り組みとあわせて、保育所、保育士が持つノウハウをいかし、地域で子育て支援を実施するなどして保育所の多機能化を進めていく」

定員割れの保育園も

東京都内の保育園でも定員割れとなっている保育園もあります。

東京・港区の「みつばち保育園」は、0歳児から2歳児までの定員30人の保育園ですが、現在1歳児のクラスで2人の空きがある状態です。

1歳児のクラスでは、9人の子どもに対し国の配置基準より多い3人の保育士が担当していますが、業務量が多く、けっして余裕がある状態ではないといいます。

理由の1つが新型コロナの感染対策に伴う業務で、この日も保育士たちが子どもたちの昼寝の時間におもちゃの消毒をしていました。
また、子どもの人数が減っても事務作業の手間は変わらず、保育士が園の見学説明会のチラシや保育計画の作成作業にあたっていました。
 

「みつばち保育園」 吉澤マドナ園長
「子どもが減ってもコロナの影響などで保育士や職員の負担は減らず、むしろ増えている状況で、その一方で去年やおととしから定員の空きが続いているので、財政的にはかなり厳しくなっていて、行政の支援が必要な状況だと思います。

〇定員割れについて
この園がある港区ではいろんな園で空きが出ていますが、他の区の話を聞くとまだ保育園が足りない地域があり、特に0歳、1歳、2歳までの保育園が足りないというのは聞いています。
親御さんたちにとっては入れればどこでもいいということではないので、まだすべての園で入りやすい状態だというわけではない」

専門家「量より質に目を向けて」

待機児童数が過去最少となったことについて幼児教育や保育に詳しい専門家は次のように指摘しています。

慶應義塾大 中室牧子教授
「予想より速いスピードで待機児童が減少し、保育所を利用したくてもできない人が少なくなったのは非常に歓迎すべきことだが、コロナの影響が落ち着いたあとどう推移するか注視する必要がある。
〇定員割れについて
預かる子どもの数が減ると保育所の経営は厳しくなると思うが、専業主婦世帯が利用できるようにしたり、地域の集いの場として保育所を開放するなど、園が独自の収入を増やして安定して運営できるような施策も必要ではないか。
幼児期の保育の質が低下すると将来にわたって子どもたちの成長に悪影響を及ぼすことが国内外の研究でわかっている。これからは「量」の拡充だけではなく保育の「質」に目を向ける必要があり、まずは、質を評価するための基準を整備するべきだ」(NHKニュースより)

 

 

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