介護事業所様向け情報(経営)9月号③

福祉施設でみられる人事労務Q&A
『懲戒処分を行う際の注意点』

Q

当施設の資料を外へ持ち出して紛失した職員がいます。本人は自宅に資料が置いてあるはずと言っていますが、無断で資料を外に持ち出すことは、当施設や利用者の情報漏洩のリスクもあるため、懲戒処分を考えています。今まで懲戒処分を行ったことがないのですが、どのように進めたらよいでしょうか?

A

まずは、就業規則で規定する服務規律等において、外へ資料を持ち出すことを禁止しているか確認しましょう。もし禁止行為に該当するときは、どのような懲戒処分が妥当であるかを検討し、懲戒処分を行う流れになります。

詳細解説

1.懲戒処分の根拠

懲戒処分の内容や基準に関する法令の定めはありませんが、懲戒処分を行う場合は、処分の対象となる行為、処分の内容をあらかじめ就業規則に規定し、職員に周知する必要があります。例えば、服務規律で、施設の資料を外へ持ち出すことを禁止していて、この内容に違反した職員を懲戒処分することが定められているのであれば、懲戒処分を行うことができます。その際、処分の対象となった行為が、どの懲戒処分の内容に当てはまるかを確認します。

2.懲戒処分の手続き

たとえ、懲戒処分の内容に当てはまる場合であっても、その行為が起きた経緯、酌量の余地等の事情に照らし、処分の対象となった行為と処分の度合いが妥当であるかどうかを考える必要があります。今回の事例であれば、次の項目をもとに状況を整理し、軽い処分から当てはめて検討していきます。
[職員本人]
 ・ 外へ持ち出した資料を、紛失したかどうか
 ・ 持ち出した資料はどのような内容のものか
 ・ なぜ、外へ資料を持ち出したのか
 ・ 外への持ち出しは、何回目か
 ・ 紛失していた場合、何回目か
 ・ 紛失していた場合、どのような影響があるのか
[職場]
 ・外への資料の持ち出しについて、普段から施設長や上司はどのように指導していたか
 ・ 外への資料の持ち出しについて、どのようなルールがあるのか
 ・ 誰でも無断で外へ資料の持ち出しができる状況にあったのか
懲戒処分は、就業規則に規定する内容に当てはまり、処分の内容が妥当であれば行うことができますが、それ以前にこのような事態を発生させないために、職員に遵守してもらいたい事項を規定し周知するなど、労務管理を徹底することが重要です。

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