介護事業所様向け情報(経営)6月号②

福祉施設等における人材育成に関する問題点

企業が人材育成を行う上では、さまざまな問題があります。ここでは、2019 年3 月に公表された調査結果※などから、福祉施設等における人材育成に関する問題点について、みていきます。

人材育成に問題がある割合は88.4%

上記の最新調査結果と同調査の10 年前の結果から、福祉施設等(以下、医療,福祉)の事業所における、人材育成に関する問題の有無についての割合をまとめると、表1 のとおりです。

人材育成に関する問題がある割合は、2017 年度では88.4%となりました。2007 年度も86.3%と高水準ですが、2017 年はさらに2.1 ポイント高くなりました。

なお、調査対象全体の結果では、人材育成に関する問題がある割合は2007 年度が72.1%、2017 年度で76.8%であり、医療,福祉はいずれも10 ポイント以上も高くなっています。医療,福祉での人材育成は、全体よりも難しい状況になっているようです。

最大の問題は育成しても辞めてしまうこと

次に、医療,福祉の事業所における、人材育成に関する問題の内訳をまとめると表2 のとおりです。

2017 年度は、「人材を育成しても辞めてしまう」割合が64.1%で最も高くなりました。2007年度も同様に、この問題の割合が71.4%で最も高くなっており、人材を育成しても辞めてしまうことが、医療,福祉の人材育成における最大の問題点であることがわかります。

それ以外の問題点で割合が高いものをみると、2017 年度は「指導する人材が不足している」が56.0%、「人材育成を行う時間がない」が47.5%でした。2007 年度も同じ問題の割合が高くなっており、10 年前も現在も、人材育成に関する問題点に、大きな違いはないようです。

2007 年度と2017 年度の各問題点の割合の増減をみると、「指導する人材が不足している」以外は、2007 年度よりも割合が低くなっていることがわかります。それぞれの問題点について、医療,福祉の事業所で、解決するための取組が行われていることがうかがえます。

医療,福祉では、人材育成を実施していく上で、人材の定着率を高める取組も実施していく必要があります。
貴施設の状況はいかがでしょうか。

※厚生労働省「能力開発基本調査」
一定の基準に基づいて抽出した企業および事業所と、抽出した事業所に属する常用労働者を対象とした調査です。2019(平成31)年3 月に
発表された平成30(2018)年度調査と平成20(2008)年度調査の結果を比較しています。データはそれぞれ29(2017)年度と19(2007)年
度になります。詳細は次のURL のページからご確認ください。
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450451&tstat=000001031190

(次号に続く)

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