【介護報酬改定】一本化する処遇改善加算、要件に一定のベースアップ 厚労省提案 移行期間の設定も
厚生労働省は6日、来年度の介護報酬改定をめぐる協議を重ねている審議会(社会保障審議会・介護給付費分科会)で、介護職員の処遇改善を目的とする既存の3加算(*)を取り上げた。
* 処遇改善加算、特定処遇改善加算、ベースアップ加算を指す。
事務負担の軽減などに向けた一本化のアウトラインを明らかにした。
一定割合のベースアップをルールとして明確化することを提案。職場環境の改善(職場環境等要件)を引き続きセットで求めていく意向も示した。
介護施設・事業所内の職種間で加算額をどう配分するかについては、事業者の判断を縛る厳格な規定は設けない。「介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員へ重点的に配分することとするが、事業所内での柔軟な配分を認める」に統一してはどうかとした。
このほか、一本化後の新加算にもいくつかの段階をつける案を提示。上位区分の要件として、資格やキャリアに応じた昇給の仕組みを整備していたり、経験・技能のある職員を多く配置していたりすることを例示した。
制度の複雑さ、分かりにくさ、事務の煩雑さをできる限り解消しつつ、既存の3加算の大切な要素は残す − 。
厚労省はそうしたバランスを意識した。会合では、「これまでも介護職員の賃上げ・ベースアップ、資質向上を図るキャリアパスの構築などを推進してきたが、一本化にあたってもこうした考え方を踏襲する」と説明した。
このほか、一本化に伴って事業者が多くの対応を求められることを念頭に、一定の移行期間を設ける考えも打ち出した。改定初期の混乱を回避するため、この間は新旧の加算を選択できるようにしてはどうかという。
厚労省は今後、具体的な要件などの詰めの議論を進めていく。年内にも大枠の方針を固めた後、詳細な決まりを通知などで順次示していく構えだ。肝心の加算率がどうなるかは、確保できる財源の規模次第。ここは政権の決断によるところが大きい。
この日の会合では、委員から一本化に賛同する声が相次いだ。
全国知事会を代表して参加した長崎県の担当者(知事に代わり参考人出席)は、「事業者から自治体へ多くの問い合わせが来ると予想される。可能な限り早期に分かりやすい周知をお願いしたい」と要請。全国老人保健施設協会の東憲太郎会長は、「介護現場にとってできるだけ分かりやすい仕組みにして欲しい。説明会の開催や相談窓口の設置なども必要」と述べた。(介護ニュースより)