保育士不足、復職で補う こども家庭庁~「補助者」支援金、有資格者も対象 就労アドバイザー新設
日本経済新聞 朝刊 総合3(5ページ)2023/9/24
こども家庭庁は2024年度から、保育士不足の緩和へ保育士資格を持つ人の復職支援を拡大する。業務を手伝う「保育補助者」として保育所などが有資格者を雇う際に支援金を出す。就職希望者の職場見学に同行する専門アドバイザーの新設も検討する。
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>> 保育補助者はクラス担任や保護者への対応はしない。子どもの着替えや食事の世話など保育士の手伝いが中心となる。一般的に保育士より業務負担は少ない。保育士資格もいらない。
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>> 政府は保育士の負担を軽くするため、施設が補助者を雇用する支援金の制度を16年から始めた。21年には331の地方自治体を通じて交付した。支援金は現在、資格のない人だけを対象とする。
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>> 支援金の交付対象に「潜在保育士」と呼ぶ有資格者も加える。現在は有資格者は保育士として働くことを前提とするが、まず補助者として職場復帰したいとの要望があった。
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>> こども家庭庁が24年度の概算要求に支援金の支給要件の緩和を盛り込んだ。国が4分の3、自治体が4分の1を拠出し施設に給付する。定員が121人未満の施設は年に233万円ほど、121人以上だと467万円程度を支援する。
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>> 政府は「こども未来戦略方針」で保育の質の向上を今後3年間の計画に位置づけた。1人の保育士が担当する子どもの数を減らし目を行き届きやすくする。少子化で子どもの数は減るが、保育の質を向上させるため人員は必要となる。
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>> 政府は復職先を円滑に決めるため、保育所の就労環境や処遇の情報を提供する「保育士キャリアアドバイザー」を24年度に新設する。
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>> アドバイザーは就職希望者の職場見学に同行し、本人に代わり事業者に給与や勤務時間などを質問する。本人が直接聞きにくいことを引き出し納得のいく就職にしてもらう。早期の離職を防ぐ目的もある。
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>> こども家庭庁はアドバイザーを配置する自治体への月20万円の補助を概算要求に計上した。
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>> 保育士の資格を持つ登録者数(160万人超)のうち、実際は保育士として働いていない人は20年時点で102万8000人だった。10年間でおよそ1.6倍に増えた。東京都の調査によると、退職理由として職場の人間関係や給与、労働時間が多かった。
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>> 保育士の有効求人倍率は22年度で2.46倍と、全体の平均(1.31倍)に比べて高い。潜在保育士の復帰で現場の人手不足の解消を促す。