「子供主体の保育」理想と現実に乖離…実現できている園は2割
全国の幼稚園・保育園・こども園のうち、「子供主体が重要」と考える園が99.7%にのぼるのに対し、実際に実現できている園は22.2%にとどまることが、2023年7月4日にベネッセコーポレーションが公表した調査結果から明らかになった。7月19日には、調査結果をもとにした保育サミットが開かれる。
ベネッセは1月から2月にかけて、玉川大学教育学部教授の大豆生田啓友先生、岩田恵子先生と共に、幼児教育における「子供主体」の現状を把握するべく実態調査を実施。全国の幼稚園・保育園・こども園、合計1,062園から有効回答を得た。
保育が「子供主体」であることが重要、と考える園は全体の99.7%にのぼり、幼稚園・保育園・こども園の種別を問わず園種を超えて「子供主体」の重要性が認知されていた。今後「もっと子供主体を実現したい」と考える園は約9割で、幼稚園はほかと比べるとやや低い傾向にある。
「子供主体」の実現度を、「変化への柔軟性」と「保育内容が大人主導か子供の姿ベースか」の2点を評価指標として測り、4つのグループに分類したところ、「子供主体(変化への柔軟性が高く、子供の姿ベース)」を実現している園は全体の22.2%となった。「集団としての自主性を尊重(変化への柔軟性が高く、大人主導)」する園は26.6%、「子供主体へ試行錯誤中(変化への柔軟性が低く、子供の姿ベース)」する園は30.6%、「集団としての指導を重視(変化への柔軟性が低く、大人主導)」の園は20.6%だった。
調査結果をもとにした分析によると、「子供主体」を実現している園には、「子供の姿にあわせて柔軟に計画を変更している」「保育のエピソードをさまざまな形で記録し、多様な活用をしている」「先生同士が子供の姿を語りあい、安心できる雰囲気の中で保育をしている」といった特徴がみられたという。また、「子供主体」を実現している園の76.4%が、活動のようすを写真とコメントで記録する「ドキュメンテーション」をすでに活用していることも明らかになった。
このほか、「子供主体」ではない園は、職員の採用や離職の課題を抱えやすいといった傾向もみられた。
ベネッセでは7月19日に、調査結果を踏まえたセミナー「園種を超えて『子ども主体』を語る~未来を生きる子どもに、わたしたちができること~保育サミット」を開催。前日の7月18日午後5時までWebサイトにて申込みを受け付ける。