遠隔診療の推進に向けた基本方針案を大筋で了承―社保審医療部会

社会保障審議会の医療部会は5月12日、「オンライン診療その他の遠隔医療の推進に向けた基本方針(案)」を大筋で了承した。遠隔診療を推進するため都道府県や市町村に積極的な関与を求め、対応の方向性を記載した。厚生労働省は今後、必要な修文を加えた上で、医療機関向けの事例集とともに来月にも事務連絡を発出し、関係者に周知する考え。

  

基本方針案は、遠隔医療を「オンライン診療等(医師と患者間での遠隔医療)」と「医師等医療従事者間での遠隔医療」の2つの類型に大別し、現状の課題や各関係者が取り組むべき施策を整理。

  

このうちオンライン診療等は、「患者向けに診療、診断、診断結果の伝達、処方、医療機関への受診勧奨などをリアルタイムで行う行為」と定義。現状の課題には、(1)オンライン診療に関する医療機関の職員のリテラシーの向上、(2)オンライン診療等に用いるシステムの導入・運用、(3)オンライン診療等に関する患者の理解促進―などを挙げた。

     

■都道府県・市町村に住民がオンライン診療対応施設を把握しやすい工夫を要請

   

これら課題への対応策では、国に対して、医療機関が導入時に参考にできるよう、①事例集(利用した医師や患者の意見、利用した情報通信機器等)、②手引き書(オンライン診療等の利用手順、処方薬の受渡し方法等)③チェックリスト(オンライン診療指針遵守の確認、オンライン診療の実施の際に患者に対して説明すべき内容等)―の作成を要請。都道府県と市町村に対しては、地域でオンライン診療を実施している医療機関を住民が把握しやすいように工夫することなどを求めた。

  

一方、医師等医療従事者間の遠隔医療には、遠隔放射線画像診断、遠隔病理画像診断、遠隔コンサルテーション、遠隔カンファレンス、遠隔救急支援、12誘導心電図伝送、遠隔ICU、遠隔手術指導などが含まれることを示した。その推進にあたっては、遠隔にいる医師(医療従事者等)の役割と責任の範囲の明確化や、個人情報保護法制に沿った患者の医療情報の共有などが課題になることを指摘。

   

対応策ではオンライン診療等と同様、国に対し、医療機関向けの事例集や手引きの作成を要請するとともに、都道府県・市町村には、地域における遠隔医療の先行事例を把握し、導入検討中の医療機関に導入済み医療機関を紹介するなど、医療機関間の連携関係構築を支援することを求めた。(WEB医事新報)

 

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