処遇改善に対する心構え
2015年2月6日の介護給付費分科会において、
遂に2015年4月の報酬改定情報が開示されました。
病院・診療所からの訪問看護以外のサービスは実施的に
減収。中でも小規模デイは約10%、特養の多床室はそれ以上
の基礎報酬がダウンする等、事業者によっては経営の根幹
から見直しを迫られる状況になっています。
先ずは現時点においてどれぐらいの減収になるかを冷静に
分析し、具体的な数値としてとらえることが何より重要です。
その上で、それらをリカバリーするための対策をキッチリ
と練らなければなりません。厳しい状況ですが、しっかり
と向き合っていくしか道はありません。
是非、乗り越えていただきたいと思います。
今日は、今回の報酬改定の中でも大きな変化となった
「処遇改善加算」についてみておきたいと思います。
今回は新たに加算(1)が新設され、従来の加算(1)は
(2)に位置づけられましたが、注目すべきはその加算率です。
従来の加算(1)(=今回の加算(2))のままでも
加算率は20%程度上昇していますが、新設された加算(1)
は、従来の加算(1)と比較すると、なんと、倍以上の
加算率設定となっています。
加算(1)を取得するための要件は、キャリアパス要件
(=キャリアパスと賃金規定の策定)と
(=よりがたい場合として、研修計画の策定や
資格取得の支援を行うこと)の両方を同時に満たすこと、
です。今までは そのいずれかを
満たせば最も高い加算率を選択することが出来、
結果、大半の事業者が従来の加算(1)を取得することで、
いわゆる「横並び(=事業者によって賃金格差が生まれない)」
の状況となっていました。
しかし、これからは、そうは行きません。
新設された加算(1)を取得する事業者と、
現状のままのスライドとして加算(2)
(=従来の加算(1))を取得する事業者とでは
加算報酬に大きな差が生まれ、職員の待遇にも
大きな違いが出てくる可能性があります。
それらは人材募集の広告記事の中で「時給の違い」
「基本給の違い」として表れてくることも十分に
考えられるでしょう。そうなると、新設の加算(1)を
取る事業者にとって有利な環境が生まれてくることは
言うまでもありません。
以前からお話させていただいてきた通り、
正に国の意向を理解して「頑張る会社」と
「頑張らない(or頑張れない)会社」との間で差を
つけていくことにより、「もっと頑張らなければ」
というインセンティブを高める事、逆に言うと
「頑張らない(頑張れない)会社」は報酬ダウンだけでは
なく人員確保の面においてもますます厳しい環境に
置かれる可能性が高い、ということを、この段階に
おいて事業経営者は冷静に認識しておく必要があると
言えるでしょう。
ただ、キャリアパスや賃金規定は、組織の根幹である
大切仕組みであることを考えれば、拙速に、加算を
取る為に、仕組みを作るというのではなく、現状の課題を
良く分析されたうえで、その対応として、やはり
必要と考えるならば、
早めに動き出されることをお勧めいたします。