「人間が持つ最高の能力」

 
みなさん、こんにちは!

ご存じのように、今回発表された

介護保険法改正の大きな論点の

一つに「生活行為力向上訓練機能」

というキーワードが入ってきましたよね。

今までの機能訓練を、さらに一歩進めて

その方の在宅における生活行為力、

例えば、一人でお風呂にはいれる

トイレに行ける、等の生活機能を

回復させることに重点がおかれる

べき、という国の方針が明確になりました。

そんな中、重度の障害を持つ方に

「驚異のリハビリ」をおこなっている

リハビリ医である、酒向正春氏の記事を

見つけましたの、皆様に

ご紹介したいと思います。


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「人間が持つ最高の能力」


 酒向正春(世田谷記念病院副院長)


  ※『致知』2015年3月号より  

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――酒向先生のリハビリ治療の特徴はどのようなものですか。


私が脳外科医、脳治療のプロとしてこれまでに
診断してきた脳の画像は10万例に及びます。


患者さんが入院されると、最初に麻痺や感覚障害の重さ、
言語・嚥下障害、視力・視野障害、精神障害の有無や
高次脳機能障害の程度などを細かく評価し、機能予後
予測を行います。


そこからスタッフとともに回復に向けた目標を立てて、
患者さんが能力を最大限向上させられるよう、
リハビリチームで全力を尽くすんです。


私のリハビリを見て奇跡だとかマジックだとかおっしゃる方

もいますが、

しっかりとした病態生理学的な根拠があるわけです。


――脳の状態を正しく知れば可能性が開けることも多いわけですね。


例えば、重症で動けないという方が入院してこられますね。
だけど、画像を見ると脳にはあまり損傷がない。


「何でこれで動けないんだろうか」

というのが私の感覚なんです。


現役で仕事をされていた61歳の男性の患者さんもそうでした。


単身赴任先で脳出血で倒れ、手術後は右の片麻痺と失語症が

残って、私たちの病院に入院された時は既に3か月間

寝たきりの状態が続いていたんです。


脳の画像を見て思ったのは「なぜ寝たきりなのか」という

疑問でした。

確かに脳の損傷はあるが、寝たきりになるほどでは
ないだろう、と。


そこで、まずは歩行自立という目標を定めて、
皆で戦略を錬り、入院日から立たせました。


すると2週間ほどで踵がつきはじめ、下肢装具を装着しての
100メートルの介助歩行が可能になりました。


2か月を超えた頃には短い下肢装具をつけて
屋外の坂道を歩けるようになられたんです。


つまり、廃用症候群による医原的な寝たきりだったわけです。
しかし、それを治せない現実があります。


――驚くような効果ですね。


例えば、お年寄りが転倒して動けなくなったような場合は、
脳に損傷がない場合は骨折を適切に治療すれば、
よくなるのが当たり前です。


すなわち、手術翌日から立たせて動かすという時間感覚、
スピード感でリハビリできれば、簡単に回復します。


――年をとって転倒したらおしまい、というのは
  勝手な思い込みということなのでしょうか。


そうです。ただ、90代の方だと2週間寝たままに
しておいたら厳しいと思います。


でも、実際には無理に動かして悪くなるのを恐れて、
医者も家族もじっと寝かせたままにしておくケースが
一般的なんです。


これだと負のサイクルがどんどん回り始めることになります。


それをいかに元に戻していくかというのが、
私たちの攻めのリハビリでもあるわけです。


そういえば、私たちがリハビリで歩かせるようになった
患者さんの中には、102歳のおばあちゃんも
いらっしゃいますよ。


これはリハビリにも人材育成にも、
すべてに共通して言えることだと思うのですが、

諦めない力、これは人間が持つ最高の能力だと思うんです。



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いかがでしょうか。

大切なのは、その方の可能性を信じた 「諦めない力」

という酒向先生。

おそらく、そこには「執念」にも似た戦いがあるのでは

ないかと推察いたします。

「人間の持つ力」を信じる、これは全てに共通した

最も大切な力なんですね。改めて、そんなことを

感じさせて頂きました。


何かのご参考になれば幸いです。

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