介護事業所の週休3日制のメリット・デメリットとは
結論:週休3日制は「魔法の制度」ではないが、正しく設計すれば定着率を高める有効策
介護業界では慢性的な人材不足が続く中、「週休3日制」を導入する事業所が徐々に増えています。
結論から言えば、週休3日制は万能ではありません。しかし、勤務時間設計・給与制度・シフト管理を適切に行えば、
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採用力の向上
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職員の定着率アップ
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離職防止・燃え尽き防止
といった効果が期待できる制度です。
一方で、制度設計を誤ると
「職員の不満が増える」「現場が回らない」「人件費が逆に増える」
といったリスクもあります。
本コラムでは、介護事業所における週休3日制の導入時の注意点を社労士視点で解説します。
週休3日制の成否は、就業規則でも給与制度でもなく、シフトと人員配置の再設計が重要
週休3日制で現場が苦しくなる事業所の共通点
これまで多くの介護事業所を支援してきましたが、
週休3日制がうまくいかないケースには、はっきりした共通点があります。
それは、
**「従来の人員配置のまま、休みだけを増やそうとしている」**ことです。
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1人あたりの勤務時間は長くなった
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しかし、時間帯ごとの配置は見直していない
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結果、忙しい時間帯がスカスカになる
この状態では、どれだけ理念が良くても、現場は確実に疲弊します。
介護の仕事は「人数」ではなく「時間帯」で考えるべき
介護保険制度上、人員配置基準は「常勤換算」で語られることが多く、
つい「トータル人数」で考えがちです。
しかし、現場で起きているのは、
時間帯ごとの負荷の偏りです。
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朝の起床・排泄・送迎
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昼の入浴・記録
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夕方から夜の食事・就寝介助
この“山”の時間に人が足りないと、
事故リスク、職員の苛立ち、利用者満足度の低下が一気に表面化します。
そこで重要になるのが、
**勤務時間が重なる「オーバーラップ時間」**です。
なぜ「重なる時間」がないと、週休3日制は破綻するのか
週休3日制(給与維持型)の多くは、
1日10時間勤務が前提になります。
このとき、
「誰かが来たら、誰かが帰る」
というシフトを組んでしまうと、現場はこうなります。
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申し送りは紙だけ
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忙しい時間を1人で回す
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トラブルが起きても応援がない
これは、**制度以前に“無理な現場”**です。
私が支援に入ったある事業所では、
重なる時間を設けていなかったため、
「休みは増えたのに、勤務中は前よりきつい」
という声が続出しました。
重なる時間が生む「3つの余白」
重なる時間を意図的に作ると、現場に余白が生まれます。
① 業務の余白
一番忙しい時間に人がいることで、
介助・対応の質を落とさずに済みます。
② 判断の余白
「これ、どう対応する?」
とその場で相談できる相手がいることは、
職員の心理的負担を大きく下げます。
③ 人間関係の余白
忙しさを分かち合えることで、
「自分だけ大変」という不公平感が生まれにくくなります。
これは、離職防止の観点でも非常に大きい効果です。
社労士として必ず勧める人員配置の考え方
私が週休3日制の支援で必ず提案するのは、
次のような設計です。
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1日10時間勤務を前提に
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開始・終了時刻をずらす
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2〜3時間以上の重なりを作る
たとえばデイサービスであれば、
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早番:7:30〜18:30
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遅番:9:00〜20:00
こうすることで、
**9:00〜18:30という“人を厚くする時間帯”**が生まれます。
ここに入浴・記録・家族対応などを集中させることで、
現場は驚くほど安定します。
週休3日制は「人を減らす制度」ではない
誤解されがちですが、
週休3日制は人件費削減の制度ではありません。
むしろ私は、
**「人を守るための配置転換制度」**だと考えています。
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ずっと張り付かなくていい
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1人で抱え込まなくていい
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無理な我慢をしなくていい
この環境を作れなければ、
どんなに先進的な制度も、現場には根付きません。
まとめ:週休3日制は“設計図”で決まる
介護事業所の週休3日制は、
「導入するかどうか」よりも、
**「どう設計するか」**がすべてです。
特に人員配置では、
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時間帯別に業務量を見る
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重なる時間を意図的に作る
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忙しさを分け合える構造にする
この視点が欠かせません。
週休3日制を、
現場を壊す制度にするか、守る制度にするか。
その分かれ道は、
この「人員配置の再設計」にあります。






