介護職員等処遇改善加算(以下「処遇改善加算」)について、政府・行政側の最近の動向と対応のポイント
「介護職員等処遇改善加算(以下「処遇改善加算」)について、政府・行政側の最近の動向および最新の制度変更・要件等を整理します。
最近の動向
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厚生労働省が「処遇改善加算の見直しに向けた議論」を本格化させています。例えば、2025年11月現在、来年度の期中改定を視野に、「賃上げを本当に実施できるのか」「規模や幅、財源のあり方」などが審議会で意見聴取されています。 介護ニュースJoint+1
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2026年度分(もしくは2026年4月実施の期中改定)への準備とも言える動きが出ています。たとえば、2024年度の賃上げ効果や補正予算の使途を検証して、2026年度予算編成・報酬改定過程で加算の在り方を議論する可能性があります。 GemMed | データが拓く新時代医療+1
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書類・様式の整備も進んでおり、例えば実績報告書の様式に誤りがあったため修正・差し替えが出ています。事業所側での事務負担にも配慮されつつあります」
介護事業所が「処遇改善加算」を取得・運用する際に押さえるべき具体的な対応ポイントとチェックリストを整理します。最新の一本化後制度(2024年度以降)を前提にしています。
1️⃣ 事前準備:賃金・制度の整備
| 項目 | ポイント | 注意点 |
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賃金規程・給与体系
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処遇改善加算で上げる額を、職員ごとに明確に設定 | 加算取得だけでなく、賃上げが現場に実際に反映されるようにする |
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キャリアパス要件
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「経験・技能」等に応じたキャリア段階を設定 | 文書化して社内規程に反映、評価・昇給の根拠とする |
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配分ルール
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職種ごとの加算配分方法を明確化 | 一本化後は柔軟化されているが、記録は必須 |
3️⃣ 加算運用・賃上げ実施
| 項目 | ポイント | 注意点 |
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職員への説明
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加算の目的、配分方法、今後の賃金への影響を丁寧に周知 | 不公平感を避けるため、文書+説明会で明示 |
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賃金反映
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加算分を給与に反映し、月次給与明細に明示 | 「加算として支給」なのか「基本給に組み込む」かを明確化 |
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記録保管
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配分表、給与明細、会議資料などを3年程度保管 | 監査・調査時に提示できるようにする |
2️⃣ 加算の申請・届出
| 項目 | ポイント | 注意点 |
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処遇改善計画書の提出
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各区分(Ⅰ〜Ⅳ)に応じた計画書を提出 | 提出期限は算定月の前々月(例外あり) |
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実績報告書
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賃金改善額、対象職員、支給方法を報告 | 様式ミスが多いため、厚労省の最新様式を確認 |
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算定開始月
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計画書承認後、加算が算定可能 |
遡及適用は原則不可。期をまたぐ場合は経過措置を確認 |
4️⃣ 書類・制度運用のチェックポイント
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処遇改善計画書・実績報告書は最新様式か
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職員への説明・周知は文書と口頭の両方で実施しているか
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加算金額・配分額は規程通り、かつ全員に公平に支給されているか
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賃上げ実績は給与明細や会議記録で証明可能か
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経過措置の活用は必要か(新旧加算の切替期)
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キャリアパス評価は最新の運用に合わせて更新済みか
5️⃣ 今後の対応・留意点
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2026年度改定に向け、賃金改善や加算取得の実績を正確に把握しておく
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職場環境改善(負担軽減、研修制度など)と併せて加算を活用する
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補助金との併用を検討し、1人あたりの支援額を最大化する






