次期医療保険制度改革に関する議論に着手、年末にとりまとめ―医療保険部会

 

社会保障審議会医療保険部会は、次期医療保険制度改革に向けた議論を開始しました。目指すのは「全世代型社会保障」の構築であり、まず中長期的な政策や理念を整理し、年末までに意見を取りまとめる予定です。厚生労働省は、日本の医療制度の現状や環境変化、将来像についての考察を求めています。高齢者人口の増加や医療費の上昇が見込まれる一方で、現役世代の保険料負担が限界に達しているため、自己負担の引き上げや保険給付の縮小が選択肢となる可能性があります。国民の理解と納得を得ることが改革の鍵とされています。委員からは、給付と負担のバランスを国民に分かりやすく説明する必要性や、高額医療費に対する負担のあり方、医療機関の経営安定の重要性についての意見が寄せられました。

 

社会保障審議会医療保険部会は9月18日、次期医療保険制度改革に向けた議論を開始した。

能力に応じた負担を通じて全世代が支え合う「全世代型社会保障」の構築を目指し、まずは中長期的にあるべき姿から逆算した必要な政策、理念、全体像を固めた上で論点を整理、個別課題の議論を進めていく方針を確認した。

年末をメドに部会としての意見をとりまとめる。

 

厚生労働省は同日の部会に議論の視点として、①日本の医療・医療保険制度の現状について、どのように考えるか、②医療保険制度が直面する環境変化(人口構造の変化による担い手の減少、医療需要の変化、物価・賃金の上昇、医療費の動向、保険料・所得の変化)についてどのように考えるか、③日本の医療・医療保険制度のあるべき将来像についてどのように考えるか。

その実現のためにどのような観点から必要な制度改正を検討すべきと考えるか―の3項目を提示した。

 委員からは、制度改革に当たって国民の理解や納得を得ることが必須という意見が相次いだ。

 

今後、高齢者人口の増加や医療の高度化などによる医療費のさらなる増加は避けられず、現役世代の保険料負担は限界に来ているとされる。

もう1つの医療費財源である公費負担を増やすころも難しく、残る選択肢は患者自己負担の引上げまたは、保険給付範囲の縮小のいずれかとなる。

このため委員からは、制度改革に当たって国民の理解や納得を得ることが必須という意見が相次いだ。

 

佐野雅宏委員(健康保険組合連合会会長代理)は、「支える側と支えられる側の考え方を変える必要がある。財政面の裏づけも含めて給付と負担をどうバランスするか、国民の納得を得なければならない」と指摘。

城守国斗委員(日本医師会常任理事)も、「保険料負担や自己負担は限界にあり、公費も投入できないとなれば保険給付を縮小することになるのだろう。国民がどこまで許容・納得できるのか、都度、国にしっかり説明いただきながら議論を進めていく必要がある」と述べた。

 

このほか、「保険料は所得に応じた負担でいいが、高額な医療は資産に応じた負担とすべき」(中村さやか委員・上智大学経済学部教授)、「医療機関の経営が安定しないと良質な医療を国民に提供する使命が果たせないということをしっかり認識してほしい」(島弘志委員・日本病院会副会長)といった意見もあった。

 

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