ケアプラン有料化、再び制度改正の焦点に 審議会で現場から慎重論相次ぐ

厚生労働省は29日、次の2027年度の制度改正に向けた協議を重ねている社会保障審議会・介護保険部会で、長年の懸案を俎上に載せた

 

給付と負担のあり方をめぐる論点の1つとして、居宅介護支援に利用者負担を新たに導入するか否か(*)を取り上げた。現場の関係者からは、導入による弊害の大きさを考慮した反対意見が相次いだ。

* 現行、居宅介護支援は10割給付。利用者は、他のサービスにある1割、2割、3割の利用者負担を支払わずに居宅介護支援を利用できる。

日本介護支援専門員協会の小林広美副会長は、「利用者負担の導入は慎重に検討すべき」と主張した。


「居宅介護支援は、多様なサービスや制度が総合的かつ効率的に提供されるためのセーフティネットとして、全ての利用者が公平に、過不足なく支援を受けられる環境を維持していくことが重要」と指摘。「自己負担を導入することで、過不足のない公正中立な支援を展開している介護支援専門員のサービス調整に支障をきたすことになる」と問題を提起した。

小林副会長は続けて、「負担増で介護サービスの利用控えにつながり、介護状態が重度化するリスクや、ケアマネジメントを経ずに介護サービスを利用する動きにつながり、逆に給付費が増加するリスクがある」と警鐘を鳴らした。

このほか、認知症の人と家族の会の和田誠代表理事は、「ケアマネジメントは介護が必要な高齢者を支える最も大切な給付の1つ。その役割を維持するため、現行の10割給付の堅持を強く求める」と訴えた。


また、民間介護事業推進委員会の山際淳代表委員は、「利用者負担の導入によって、ケアマネジメントに求められる客観性、公平性・中立性の確保が難しくなることを懸念している。現行の仕組みを維持する方向が妥当」と述べた。

一方で、健康保険組合連合会の伊藤悦郎常務理事は、「現役世代の負担は既に限界に達している。ケアマネジメントの給付のあり方も検討すべき」と要請。日本経団連の井上隆専務理事は、「現役世代の負担を抑えるために何ができるのか、よく考えなければいけない」と促した。

判断は、今年末に下される見通し


今後、厚労省は審議会などで更に議論を深めていく方針。ケアマネジャーの処遇改善や負担軽減が急がれるなか、ケアプラン有料化の是非をどう決着させるのか。居宅介護支援の現場に大きな影響を与える重要な判断は、今年末に下される見通しだ。

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