医療経営「なおし支える報酬改定を」診療側 中医協
物価や人件費の高騰などで全国の病院の約 7 割が赤字に陥るほど危機的な状況を踏まえた要望。
中央社会保険医療協議会・総会が7月23日開かれ、診療側の江澤和彦委員(日本医師会常任
理事)は病院や診療所の経営を「なおし支える」という観点での2026年度診療報酬改定が必要
だと主張した。物価や人件費の高騰などで全国の病院の約 7 割が赤字に陥るほど危機的な状況
を踏まえた要望。今の状態が続けば入院患者を抱えたまま経営破綻する病院が出てくる可能性
もあると危機感を示している。
江澤氏は、医療機関の経営が厳しい要因として診療報酬が今の時代にそぐわず大変低く設定
されていることを挙げた上で、「大変由々しき問題だ」と訴えた。また、医療提供体制に支障を
来たすことがないよう医療機関が存続し、地域に貢献できる視点で議論していくべきだと指摘
した。
この日の総会では、26 年度の診療報酬改定に向けて入院医療の議論を始め、診療側が医療機関の経営危機への対応を求めた。
太田圭洋委員(日本医療法人協会副会長)は、診療報酬改定
を巡るこれまでの議論では医療経営の持続可能性の視点が欠けていたと指摘。病院や診療所が
適切に医療を提供するために必要なコストが軽視され、「機能分化するためだけの要件の見直し
が行われてきたことも医療機関の経営状況が悪化している一因でもある」と強調した。その上
で、26 年度改定では特に包括期機能を担う医療機関の入院料の適切な設定が非常に重要だと主
張した。ほかには、医療機関が突然経営破綻するという事態を避けるために即効性のある入院
基本料の引き上げと人員基準の緩和を求める意見も出た。
一方、支払側の鈴木順三委員(全日本海員組合組合長代行)は、「医療機能の分化・連携を推
進するのは当然だ」とし、その観点から引き続き検討を進めていくべきだと主張。また、新た
な地域医療構想での医療機関機能に着目した診療報酬の全体像が分かるデータの提示を求める
委員もいた。