水遊び、最近は6月から?前倒しが進む“夏の遊び”と保育園の現状

こんにちは!保育士のはるです(@hr_hoiku)
「7月に入ってから始まるもの」というイメージの強かった保育園での水遊び。
ところが最近では、「えっ、もう始まってるの?」「まだ6月なのに水着の準備?」と、驚く声が保護者から聞かれるようになっています。
実際、全国の多くの保育園や小学校などで水遊びの「前倒し」が進んでいます。
その背景には、気候変動や保育環境の変化、そして子どもたちの“今”に向き合う保育士たちの思いがありました。
今回は、保育現場の声も交えながら、「なぜ水遊びが早まっているのか」「その裏でどんな配慮がされているのか」を詳しくお伝えします。
6月でも30度超え?変わる気候と子どもの体温調整
年々、季節の感覚が変化していると感じる方も多いのではないでしょうか。
実際に気象庁の観測データでも、近年は6月中旬から30度近くまで気温が上がる地域が増え、湿度も高くなることで子どもたちの“汗の量”や“体温上昇”がより顕著になっています。
保育園ではこうした気候変化に応じて、無理に外遊びをさせるよりも、水を使った遊びに切り替えることで、子どもたちの体調管理をしやすくしている園が増えています。
「プール開き」ではなく「水遊び」から始める理由
多くの園では、6月はまだプールそのものの使用は控え、以下のような“簡易的な水遊び”から始めています。
- タライやバケツを使った足湯のような遊び
- スポンジ・霧吹き・水鉄砲などを使った感触遊び
- 園庭での「打ち水ごっこ」や「雨ごっこ」
これらの活動は、子どもにとって「水って気持ちいい」「濡れても大丈夫」という安心感を育てる導入的な意味があります。
同時に、肌トラブルや風邪などの体調リスクを抑える配慮も込められているのです。
保護者の戸惑いも。「早い」と感じる声への対応
6月からの水遊びスタートに戸惑う保護者が多いのも事実です。
- 「まだ肌寒い日もあるのに、大丈夫?」
- 「水着を急に準備するよう言われて困った」
- 「うちの子は肌が弱いので不安…」
こうした声に対し、園では事前に水遊びのねらいや活動内容を丁寧に伝える努力を重ねています。
中には「6月中は肌着+タオル遊びで様子を見る」など、段階的に進める園もあります。
また、プールカード(健康チェック表)や体調確認メモの提出をお願いすることで、
「その日の体調に応じて休める」「無理に参加しなくていい」という柔軟さも重視されています。
“遊び”だけじゃない。水遊びの発達的な意味
水遊びには、子どもにとってこんな発達的メリットがあります。
- 感覚統合の促進(冷たい・流れる・跳ねるなどの感覚刺激)
- 手指の発達(水をすくう・絞る・握るなど)
- 想像力・社会性(水を使ったごっこ遊びや協力遊び)
- 自律性の育成(「冷たい」「もうやめたい」など自分の気持ちに気づく)
猛暑で8月に戸外にでられなくなってきた
保育園では熱中症対策として暑さ指数(WBGT)を導入している園が多くあります。
熱中症指数が28の厳重警戒以上になると、熱中症リスクがあがるためそもそも水遊びの実施をとりやめる園も多いです。
この28という指数、7月になればほぼ毎日のように簡単に超えてきてしまう数字。
暑すぎて戸外に出られないからこそ、水遊びを6月に前倒したり、9月まで継続するという園が年々増えています。
「早い」のではなく「ちょうどいい」スタートを
水遊びが6月に前倒しされている背景には、変わりゆく気候と、子どもたち一人ひとりの様子に寄り添いたいという保育士の思いがあります。
準備物や家庭での協力をお願いする場面も増えますが、それはすべて、子どもたちが安全に、快適に、そして楽しく夏を迎えられるようにするための配慮でもあります。
「えっ、もう水遊び?」ではなく、
「暑い時期をのびのび過ごすための、保育園ならではの工夫なんだな」と、
少し気持ちをラクにして見守っていただけたら嬉しいです。