2040 年の訪問看護ビジョン案を取りまとめ
事業所の規模拡大や多機能化などを柱とする訪問看護のビジョン案をまとめた。
高齢化と生産年齢人口の減少が一層進む2040年に向けて医療と介護双方のニーズを持つ人た
ちの療養生活を支える訪問看護の提供体制を整備する必要があるとして、日本看護協会など 3
団体は、事業所の規模拡大や多機能化などを柱とする訪問看護のビジョン案をまとめた。
40 年に向けた訪問看護のビジョン案は、日看協のほか日本訪問看護財団、全国訪問看護事業
協会による「訪問看護推進連携会議」がまとめた。3 団体は、14 年に作った「訪問看護アクシ
ョンプラン2025」の後継版に新たなビジョンを位置付ける方針だ。
ビジョン案では、地域の実情に応じて訪問看護の提供体制を整備して、40 年にかけて増加が
見込まれる医療と介護双方のニーズを持つ人たちの療養生活を支える必要性を指摘し、それを
実現するために訪問看護事業所が実践すべきことを▽事業所の基盤強化▽訪問看護の機能拡大
▽訪問看護の質向上▽地域包括ケアシステムの深化・推進-ごとにまとめた。
訪問看護事業所の基盤強化のメニュー
訪問看護事業所の基盤強化のメニューには安定的な人材確保のための仕組み作りを挙げ、多
様な背景を持つ訪問看護師が安心して仕事を続け、離職を防止できるようにするため、ワーク
ライフバランスを考慮した勤務体制の整備や処遇改善を呼び掛けた。
また、看護職員1人1カ月当たりの訪問回数は小規模な事業所ほど少なく24時間対応が難し
い状況にあるといい、事業所の規模拡大も訴えた。地域によっては事業所間や関係機関との連
携・協働を含めて規模拡大を進め、訪問看護の提供体制を整備するとしている。
一方、訪問看護の機能を拡大するための取り組みとしては、地域のニーズに応じた包括的な
ケアの提供を挙げた。サービスの効果的な提供と経営の安定につなげるため、訪問看護事業所
は療養通所介護や定期巡回・随時対応型訪問介護看護、看護小規模多機能型居宅介護(看多機)
などを併設して多機能化するとしている。
看多機は利用者の
状態に応じて柔軟に提供する地域密着型サービス。
看多機(看護小規模多機能型居宅介護)は、通い・泊り・訪問による介護・看護を利用者の
状態に応じて柔軟に提供する地域密着型サービス。
看多機の事業所は13年以降増えているが、地域差がある上に、今後は利用者数の増加が見込
まれるといい、ビジョン案では、どのような地域でもサービスを利用できるだけの提供体制の
整備を呼び掛けた。
機能拡大の具体策としてはほかに、訪問看護指示書や訪問看護報告書、シフトを作成できる
ソフトの活用など医療・介護DXによる業務の効率化と情報連携の強化も挙げた。(MMPGより)