態度等を注意するとすぐに「パワハラ」だと騒ぎ、「自分は褒められて伸びるタイプなので、叱らないでほしい」と主張します。どのように対処すればいいでしょうか?
適正な指導はパワハラではない
そもそも適正な指導はパワハラではありません。
雇用契約には指導されることも含めれているので、遠慮せず他の職員と同様に業務指導を行うべきです。
本人に対して「パワハラではなく指導である」ことをきちんと伝えるとともに「叱らないでください」という主張は無視してください。
仮にその職員を叱ることなく放置していると、問題行動を起こした場合、指導をしてこなかったため懲戒処分や解雇が出来なくなります。
叱らなくてはならない時はきちんと叱らないといけません。
パワハラについてよくある誤解
パワハラか否かを、セクハラのように受け手(本人)の感じ方で判断するとどうなるでしょうか。
適切な業務指導であっても受ける側は、一定の精神的な負荷は受ける(嫌な思いをする)ものです。
それを本人がパワハラと感じたら、パワハラ行為に該当する、としたならば、本来上司がすべき職場の秩序維持・職員の能力向上の為の業務指導が出来なくなります。
つまりパワハラに該当するか否かは、受け手がどう感じたかではなく、事実として指導方法(言い方等)にパワハラに該当する言動があったかどうかで判断されます。
従って、上司は、部下の業務指導はその性質上パワハラ的要素は含まれるものであること知ったうえで、指導方法(言い方等)に注意する事が必要となります。
パワハラの正確な理解と留意点
業務上正しいことを命令し、指導する場合であっても、感情的、高圧的、攻撃的に行われた場合には、パワハラに該当する場合もあるので、その言動に注意することが重要です。
例えば、新人を指導するために個室に呼び、指導を行っただけの場合は「業務上の適切な範囲」であって、パワハラとは言えないとしています。
また部下の失敗に対して上司が「何やってんだ」と叱るだけなら指導の範囲でしょうが、更に加えて「だからお前とは仕事をしたくないんだ」「噂通り役立たずだな」「仕事しなくていいから帰って寝てろ」といった言動が日常的に繰り返されると、パワハラ行為となり得るのです。
パワハラを指摘された場合、それがパワハラに該当するのかどうか冷静に判断する必要があります。
問題ないと感じても、実は大きな問題発言を繰り返していたということもあります。
ハラスメント研修の必要性
経営者と職員の間でパワハラの認識に違いがあることでトラブルに発展するケースは増えています。
こうしたトラブルを回避するためには院長を含めて管理者を対象にしたハラスメント研修をきちんと行って、現在のハラスメントに関する判例がどのようになっているか等を把握しておくことは重要です。
個人の考える正義と法律は違いますので、裁判でどのように判断されているのかを知っておくことが必要です。