Q 行動に余裕がなく、日常会話や安全なケアに支障がある職員への対応

Q まじめなで一生懸命な職員なのですが、利用者への対応、職員同士でも、人と目が合わせられず、日常の会話でも動揺したようになってしまい、必要な受け答えができません。ケアの上でも、自分がしていることで手いっぱいで、利用者が不快や苦痛を訴えても、まるで目に入りません。長い目で見守ろうと1年待ちましたが、改善が見られません。また、彼女にできる仕事に限定して配置する余裕は、当施設にはありません。これは解雇の理由になるのでしょうか?

A そもそも解雇というのは、事業主から一方的に契約を解除する、ということですから解雇された職員にしてみれば、生活保障がなくなってしまう、という緊急事態に落ちってしまうわけです。また、いかなる理由があるにせよ、解雇は他にも影響が出やすいものだという認識が必要です。まず、今いる職員も「わたしもいつか解雇されるかもしれない」という後ろ向きな発想から、活気ある職場がつくれなかったり、採用活でも悪いうわさが流れて職員が確保できなくなったり、またそのほかにも地域での風評被害など、マイナスの影響が懸念されます。
解雇をめぐる2つの重要な争点
 解雇をめぐる判例はたくさんありますが、次の2点は重要な争点になります。①就業規則の解雇規定が具体的に記載されているかどうか(限定列挙)②採算指導していたにも関わらず改まらなかったかどうか。もちろん他にも争点はたくさんありますが、指導もしていないのにいきなり解雇は処分が重過ぎる、ということであれば金銭で解決する可能性もあります。
次に管理者のとるべき具体的な行動についてです。
まずは、当該職員に続ける意思の確認が必要です。例えば「今後も介護職員としてやっていく気があるか」を確認する必要があります。管理者だけがやる気になっても本人がやる気がなければ始まりません。やる気がなければ、この質問に「実は、向いていないと思っていて、辞めようかと悩んでいたところです」というような回答が返ってくることもあるでしょう。そこで、やる気はあるが、やり方がわからず困っているといのであれば、それは管理者が一緒に改善していく問題です。そんな時には、例えば「あなたが本気で改善していく意思があるのならば、こちらも一緒に今まで以上に本気で教えていきます。それで1か月、まずは目標に向かってできるようにしていきましょう。これは最後のチャンスです。それで、もし成果が出なければ、あなた自身で自分をよく見つめなおした方がいいと思います。あなたと利用者さんの幸せのために、あなたが安全にケアができるように本気の指導をしていきますからね。すべてはあなたの頑張り次第です。
次に管理者は、徹底して目標管理を行い、「何ができるようなって」「何が出来ていないのか」
など記録を残しておくことです。また毎日間違いを繰り返す場合には「改善案」を文書で出させましょう。すべて記録で残すことは、のちのリスク回避にも必要となります。
ここで大切なのは、「再三にわたる指導」があっての改善が見られないという記録です。ここでいう「再三」とは、内容にもよりますが1回から2回程度ではなく、5回から10回程度は必要と考えておいた方がいいでしょう。

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