メンタル疾患の疑いがある職員への対応
最近、ある職員の言動がおかしく、メンタル疾患のような気がします。院長(責任者)として、病院に行くことを勧めたり、休職について話をしてもよいのでしょうか?
1.職員の異変は早期に発見する
例えば職員が「眠れない」「イライラする」と口にしたり。「~できません」「どうせ私は~」などマイナス思考の言動が目立つ場合に、メンタル疾患の可能性が考えられます。そのような場合、職員の承諾を得て、専門医などに見てもらってください。院長(責任者)が一人で抱え込むことはけっしてしないようにしてください。「いつもと違う」といった「予兆の把握」の注意点には下記のような点があります。
仕事面の変化
- 遅刻、早退、欠勤が増える
- 無断欠勤する
- ミスの増加、能率の低下(成果が出なくなる)
- 積極性、自発性の低下
様子の変化
- 元気がなくなる / 過剰に元気なときがある
- 会話が減る / 過剰に多弁になることがある
- 感情のアップダウンが目立つようになる
- 服装の乱れ(無頓着になる)
- 表情の豊かさがなくなる、単調な話し方になる
「いつもと違う」職員の様子にいち早く気付くためには、日ごろから職員に関心をもち、性格や特性、最近のミスやトラブルなどを把握しておく必要があります。また職員の異変に気付いたとしても、日ごろの信頼関係が築けていなければ
職員はなにも話してくれません。院長は職員の変化に気付くという重大な役割を負っているという認識をまず持っていただきたいと思います。
2.職場環境の問題点の把握と改善について具体的な行動(職場でのラインケア)
話を聴く
- プライバシーが守られる部屋を用意する
- 声をかける
「最近はどうですか」「調子はどうですか」「きちんと食事・睡眠はとっていますか」など、心配していますということを伝えましょう。このとき相手の話をよく聴く(傾聴)ことが大切です。 - 事実の伝達
「職場はあなたの健康状態を心配しています」ということを穏やかに伝え、受診の動機を高めましょう。 - 受診のすすめ
「ストレス病は身近な病気だから、一度産業医(または専門医)に診察してもらったらどうか」と直接受診を勧める。
「何もなければそれに越したことはないから」と付け加えておく。
食欲不振や不眠など身体症状が出ていないか聞いて、「心療内科」を勧める。
話すことの効果
~話すことで、気が済むこともある
- 気分が楽になる
悩みを抱え込むほどつらいことはありません。 - 新しい解決方法が見つかる可能性がある。
自分一人では、つい偏った考え方になりがち。
人に話すことで、自分が思いもつかなかった解決案が見つかる可能性があります。 - 案外、それほど重要でないことに悩んでいることに気づくことがある
周囲の人に話をすると、些細なことで悩んでいたことに気付くことがあります。もっと気楽に考えればいいことに気付くだけで、気持ちが楽になります。
3.休職の適用について制度的な確認を取ってから本人に伝える
疾患の疑いがある職員に、安易に「休職して休養したら」などと話してはいけません。休職制度を適用するかどうかは、慎重に検討し、適用するにしても、ステップを追って準備を進める必要があります。例えば、「休職中の社会保険料」や「休職期間」についてもきちっと合意しておく必要があります。





