職員から有給休暇の申請があり、2日後に旅行に出かけるとのこと。業務の一番忙しいときなので拒否して問題ないでしょうか。
有給休暇の取得を拒否することは原則、できませんが、取得する日を変更させることは可能です。ただ、その変更は、単に業務が忙しいというレベルではなく、代替え要員がどうしても確保できない場合などに限られます。
変更は事業の正常な運営を妨げるという事情がある場合に限り認められます。
事業の正常な運用が妨げられる場合とは次のような事情です。
- シフト制で勤務管理をしている場合で、シフト変更の調整をしてみたが代替え要員の確保ができないとき
- 有給取得者がその日に数名重なり代替え要員の確保ができないとき
- 有給を取得する以外の職員では、代えがたい重要な業務をしなければならないとき
- その日に研修・教育訓練の実施がある、もしくは出張業務があるとき
上記のような事情があるときでなければ、有給の変更は認められませんので、管理者(院長など)は、業務が忙しいということで安易に変更を行わないように留意が必要です。
この権利は使用側に認められた権利なので、上記の事情があれば強制的に変更ができることになりますが、実際には話し合いによって変更を依頼するほうが良いと思われます。
職員に有給を取得するときのルールとマナーを理解してもらう
一般的には、就業規則に有給を取得するときの申請方法や申請期限を設け、いつまでに、何を、どこへ提出するのかを定めて、職員にそのルールを徹底する必要があります。
また有給を取得するときには、同僚に迷惑がかからないよう「代替え要員の確保」「周囲に迷惑をかける度合い」「有給休暇中の業務引継ぎ」「余裕をもっての申請」などについて職員にあらためて指導することをお勧めいたします。
また、有給休暇の申請期限について労基法では特に定めはありませんが、判例では「合理的な範囲内」というものがあります。したがってあまり長い期間を設定するのは合理的な範囲内とはいえません。例えば7日前というルールは、合理的で、実務上でも必用な期間であると考えられます。