意外に多い部下から上司へのパワハラ
パワハラは上司から部下に対するものと考えがちですが、部下から上司へも意外に多いものです。
先輩部下と新任上司
部下から上司へのパワハラとして多いパターンは、職場に長年勤務している人が新任で業務に明るくない上司に対するものです。当然ながら業務については上司より詳しく、それを盾に「こんなことも分からず所長が務まるのですか」「何度も同じことを聞かないでください」などと執拗(しつよう)に責め立てます。
発覚しにくい
パワハラは多くの場合、トップに気付かれないように行われますから発覚しにくいのです。その場に居合わせた従業員も加害者からの報復が怖いので口をつぐみます。
こうなると、もはや無法地帯です。例えば、上司と部下3人程度の営業所などでは特に起きやすくなります。新任の上司が短期に潰される場合は要注意です。
自分を正当化するためにストーリーをつくる
パワハラ被害者を装う加害者は、自分を正当化するためのストーリーをつくります。具体的にはトップ等の関係者に対して、さも自分が上司からパワハラを受けており、その上司を排除しないと自分が潰されるようなストーリーです。こうして上司のパワハラにじっと耐えている被害者を演じるわけです。
上司は地雷を踏まないかビクビク
一方、被害者である上司は、部下が突然ヒステリックに怒りださないか、いわば地雷を踏んでしまわないか常にビクビクです。特に新任の上司にしてみれば、新しい仕事も覚えなくてはならないし、いつ怒りの地雷を踏んでしまうのかという不安からメンタルがやられかねません。誰にも話せない上司にとっては、まさに地獄の日々です。
ではどうしたら良いのか
パワハラ防止規程を整備する
これは、パワハラ防止規程を使って何かをしようというより、このような規程があることにより一定の抑止効果があります。パワハラ加害者の多くはその認識がありません。ですから、加害者への罰則などを具体的に規程化して会社の本気度を伝えます。ポスターの掲示も有効です。もちろん、パワハラが発覚したら規程に則って対応します。
当事者双方と第三者の話を聴く
多くの場合、パワハラ被害者を装う加害者は、自分が被害者であることを訴えるため必要以上にしゃべります。
そのような話のほうが会社に入りやすいです。ですから、必ず当事者双方と第三者(職場にいる他の従業員)の話を聴きます。こうやって3人の話を聴いてみると、話のつじつまが合わなかったりして何となく状況が分かります。
パワハラの証拠を集める
パワハラ被害を受けている上司には、可能な限りその現場を録音してもらうようにします。パワハラ被害者を装う加害者は、自分が被害者であるストーリーをつくっていますから、証拠なしでは否を認めません。ですから、客観的な記録として録音をしてもらいます。その内容を聴いたうえで、パワハラに該当すると判断した場合は断固とした対応をします。
パワハラ被害者だと思っていた人が、実は加害者であることあります。ですから、一方だけの話を鵜のみにすることなく、当事者双方と第三者から話を聴くなどの対応が必要です。