能力不足のクリニック職員に退職を勧めるときの注意点

まずは職員の現状を客観的事実としてエビデンスを残し、退職やむなしという結論に至った段階で、退職勧奨を実施することになります。

1.まずは客観的事実から判断すること

退職勧奨にて職員に退職を選択してもらうことは、少なからずその職員の人生に影響を及ぼしますので、慎重に実施を検討しなければなりません。

仕事の能力が著しく劣っていることが理由の場合には、客観的事実を整理確認することが先決です。状況を正確に把握せず、一時的な感情で退職勧奨をすることは、絶対に許されるものではありません。

客観的な確認とは、ミスやトラブルを客観的事実で列挙しておくことです。

その際、注意して頂きたいのは、その方の役割や業務をしっかりと把握し、説明することです。そこが曖昧ですと、具体的にどのように能力が劣っているのかを説明することがで出来ません。また、客観的事実を列挙するときには、院長や他の職員の感情や主観を入れてはいけません。

客観的事実が確認整理出来たら、中長期的にみて今後の仕事に支障をきたす可能性が大きいことや、本人の成長に関する可能性などを院長が総合的に判断します。

2.退職勧奨は原則として院長が実施する

退職勧奨(退職を選択してもらうように説得すること)は院長が実施することが望ましいでしょう。退職勧奨は1回の面談で合意までもっていく必要はありません。1回で強引に結論をだそうとすると、それは「解雇された」という印象を持たれる可能性もあるので注意です。もちろん、あまり長引かせても双方にメリットはありませんが、2回~3回ぐらいの面談で合意できればいいのではないでしょうか。

3.退職勧奨について

基本的な面談の進め方は次の通りですが、面談にあたり、院長は事前に、面談の技法を習得し、法的な観点から問題にならないようにしっかり専門家から支援をうけるようにしてください。

退職勧奨は、長い目で見た時の職員の幸せ(新しい職場での能力発揮)を念頭において、実施することがポイントになります。

(参考)退職勧奨について
  • 解雇は会社が一方的に従業員を辞めさせることであるのに対して、退職勧奨は、会社が従業員に退職を促すことを意味します。
  • このように退職勧奨は、あくまで従業員の退職を促す行為であるため、原則として解雇権濫用法理のような法による規制はありません。したがって、会社は、退職勧奨を解雇に比べて自由に行うことができます。
  • 但し、退職勧奨は「本人との交渉」になるため、交渉のシナリオが必要となります。
(参考)退職勧奨のシナリオ(本人への伝え方)
  1. 退職勧奨することの表明(解雇ではない旨説明)
  2. 退職勧奨する理由の説明(客観的事実の説明)
  3. 退職条件の説明
  4. 退職合意書の交付
  5. 退職勧奨を拒否された場合の対応

 ⇒クリニック・医療業界の経営 | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)

お電話でのお問い合わせ

03-6435-7075(平日9:00~18:00)

営業時間外のお問い合わせはこちらから

相談・ご依頼の流れはこちら