院長先生にぜひ知っててほしい!賞与を比較して疑問をもつ職員への対応

賞与の明細を職員同士が見せ合い、経験年数が違うのに、どうして賞与が同じなのかという質問を受けた時にどのように答えるでしょうか。

1,まずは、給与と賞与の支給意義の違いを理解してもらう必要があります。

金銭で支払われる報酬には毎月払われる給与と年に何度か支払われる賞与が有ります。

賞与は必ず支払わなければならない報酬ではありませんが、我が国の一般慣行として支払うことが一般的と言えます。ただ、給与と賞与では支払い意義(なぜ支払われるのか=何に対して支払われる金銭報酬か)について職員に理解してもらう必要があります。

毎月支払われる給与は、職員の能力や本人のキャリアパスに応じた長期的な視野で支払われる基本的な金銭報酬です。従って、クリニックによって支給基準の違いはありますが、世間相場を踏まえつつ毎月安定的に支払われます。

また、降給は一般的でなく、ある程度の水準まで昇給することが一般的となってます。但し、昇給額は職種や人事評価によって個別に決まるのが通常であり、昨今では、降給の仕組みや一定の水準になったら昇給を据え置く仕組みを採り入れるクリニックもあります。

一方、賞与はその時々の業績などを中心とした短期的視野で支払われる報酬です。支給基準は任意であり、年に何回支払うか、毎回どの程度支払うかはクリニックによって異なります。

賞与の実際の賞与額を決める際には、まずはクリニックの業績によって賞与支払い総額(原資)を決定し、これを個々の職員の成果や業績(人事評価や貢献度)をもとに個別に配分するという方法をとることが一般的です。

賞与と給与は上記の通り全く性質の異なる報酬なので、給与額が同じだからと言って賞与額が同じになるとは限りません。

2,賞与決定のプロセスを理解してもらう

賞与の決め方には主なパターンとしては、①支給月数を用いて決定する方式 ②人事評価を用いて決定する方式があります。

①支給月数を用いて決定する方式

例)賞与=賞与基礎給(例えば基本給)×支給月数

②人事評価を用いて決定する方式

例) 賞与=評価ポイント×ポイント単価

*評価ポイントは職員等級と評価結果を掛け合わせて貢献度を決める方式等

民間企業では、賞与の分配方式について①を基本賞与 ②を成果賞与として区分した上で、それを合算して支給するスタイルが増えてきました。つまり、①で生活保障的な要素を、②において成果主義的な要素を持たせるというものです。

人事評価をもとに賞与額を決めるにしても、算出方法はクリニックごとの任意です。だからと言って職員毎の差を院長の裁量だけで決めてしまうと、支給基準について職員から説明を求められた際に説明に苦慮することにもなりかねません。

計算法など決定プロセスを明確に説明できるよう、考え方を職員にきちんと伝え理解してもらうことが必要です。

3,パートへの賞与支給は、扶養範囲にも留意する

クリニックではパート職員にも賞与や寸志を支給する場合があります。

パート職員は扶養の範囲内での勤務希望が多いので、年間の支給総額が規定の金額を超えないよう、勤務スケジュールと支給額に留意する必要があります。

以上

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