消費税増税に向けた介護事業者の心構えと事前準備について

2012年11月17日(Sat) 16時57分に投稿された介護経営のコンサルなら東京の社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティングの活動日誌

東京:港区の社会保険労務士は介護のコンサルに抜群

2012年11月17日(Sat) 16時57分:投稿者は社会保険労務士 林正人

医療事業者様向け情報

平成24年9月7日、社会保障審議会 介護給付費分科会にて「介護保険サービスにおける消費税の取り
扱いについて」というテーマについて話し合いが始まりました。
2012年8月10日、参議院本会議で社会保障・税一体改革法案が可決され、これらを背景に2014年(平成
26年)4月1日から消費税が5%から8%に、2015年(平成27年)10月1日から消費税が8%から10%に上がること
が確定しているのは皆様もご存知の通りです。今回のニュースレターでは、この増税が私たち介護事業者
の経営に与える影響について考えていきたいと思います。


介護事業は、サービスによっては経費の中に課税対象のものが多く含まれているにも関わらず、売上の中
で大きな割合を占める介護保険報酬は非課税、という経営環境にあります。
例えば、消費税が8%アップするという事は、少なくとも課税対象経費の支出が3%アップすることとほぼ同義
であり、経営的に少なからず厳しい状況に追い込まれるであろうことは間違いありません。
また、他方では、現代の環境の中で、各家庭の収入がこの数年間で上昇するとは考えにくく、増税は結果
的に可処分所得の減少、という事態を生み出す可能性が高い、と考えるのが現実的でしょう。
そうなると、介護サービスの利用を現状より控えざるを得ない、という家族が出てくることも十分に想定され、
先ほどの経費増とあいまって、自社の経営が大きく圧迫される深刻な事態に陥る可能性も出てきます。
一方、こんな話をすると、「消費税アップって、社会保障の充実の為にやるって聞いていたのに、ますます
介護事業の経営が厳しくなるなんておかしいんじゃないの?少なくとも報酬は上がるんでしょ?」と思われ
る方もいらっしゃるかもしれません。そこで、次は報酬増額の可能性について見ていくことにしましょう。


2012年8月10日に成立した改正消費税関連法では、「医療機関等における高額の投資に係る消費税の
負担に関し、新たに一定の基準に該当するものに対し、区分して措置を講ずることを検討し、医療機関等
の仕入れにかかる消費税については、診療報酬等の医療保険制度において手当をすることとし」という文
言が記載されています(事実、1989年に消費税が創設された際には医療の診療報酬は0.76%、税率が3%
から5%にアップした97年4月には0.77%が上乗せされ、影響が大きいと考えられる項目の報酬単価は引き
上げられています)。介護も「医療機関等」に含まれることを考えると、イレギュラーなタイミングではある
ものの、2014年4月の増税に伴い、介護報酬も増額される、と考えるのが自然でしょう。では、今回の増税
で、果たして報酬増加に十分な資金余剰が生まれるのでしょうか?具体的に数字を見ていきましょう。
今回の増税(5%アップ)に伴い、約13.5兆円の税収が生まれると言われていますが、その内、社会保障の
充実に充てられるのは2.7兆円(=5%アップの内の1%分に相当)であるとされています。しかし、その「2.7兆
円」という数字も単純な予算ではなく、内訳としては「充実策として3.8兆円」「重点化・効率化で-1.2兆円」
差額で約2.7兆円の予算、という構図になっています。即ち、増税に伴い、報酬増加も各分野毎の状況を
見ながら実施しつつ、一方では「重点化・効率化」という大義のもと、報酬減額も同時に検討・実施する、と
いうことが明言されていることに我々は注目する必要があります。
また、「社会保障」と言ってもその範囲は幅広く、中には子育てや医療・介護・年金等の分野があります。
そこで、上記の「3.8兆」「-1.2兆」という数値の中から介護分野の部分だけの数値を抜き取ってくると、
「在宅介護の充実等」という名目で2800億円の予算が計上されている一方で、「介護予防・重度化予防・
介護施設の重点化(在宅への移行)」で-1800億円、という予算も計上されています。
介護分野に回ってくるお金の少なさにも驚かされますが、実質マイナス改正とも言われた前回の法改正に
引き続き、この増税時においてですら、サービスによって増額も減額も有り得る、という事実に釈然としない
方も多いのではないでしょうか。
しかし、増税、という国民に痛みを強いる施策を実行する以上、社会保障各分野に対して何の見直しも実
施せずに「聖域」として扱い、一律増額を行う、ということでは、国民の納得を得られるはずもありません。
その意味では、介護報酬の改正には、これまで以上に国民から厳しい視線が注がれてくる、と考えるのが
自然であり、将来の財源枯渇の可能性も踏まえると、「増」「減」が発生するのは、或る意味「当然の流れ」
だと理解せざるを得ないのではないでしょうか。


増税に伴う報酬充実策の実施は、課税対象経費が比較的大きな割合を占める(≒人件費率が低い)サー
ビスや分野において重点的に行われると予測できるものの、予算面から考えても、それらによるプラスの
影響は限定的であり、経営的には大きなインパクトを見込めない、と考えておいた方が賢明でしょう。
また、上記以外にも報酬改正のタイミングの問題や(=増税のタイミング毎に改正に着手するとなると、
2014年4月、2015年4月、2015年10月、と短期間に3回の改正を実施しなければならず、事務方が大
混乱する)、そもそも介護報酬を非課税のままにするのかしないのか、という大きな課題も残っています。
少なくとも、今回触れさせていただいた「経費増大」「サービス利用控え」「報酬増額だけでなく、減額の見
直しも同時に行われる」という問題は2014年後以降に確実に発生するものと思われますので、経営者の
皆様としてはそれこそ「聖域」を設けず、コストダウン対策やサービスモデルの見直し、ご利用者満足のア
ップ等、然るべき打ち手を早めに準備しておくことに意識を向けられることをお奨めします。
我々CB-TAGとしても、今後、最新情報が入り次第、皆様へ発信させていただくように致しますし、有効な
手立てがあれば積極的にご提案をさせていただくようにしたいと思います。


| 2012年11月17日(Sat) 16時57分 | 投稿: 社会保険労務士 林正人 | カテゴリ: 介護経営ニュースレター バックナンバー | コメント(0) | ▲TOP |

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