2023 年4 月より50 万円に増額される出産育児一時金

今後、政府では「異次元の少子化対策」への取り組みを進めるとしています。社会全体で子育てができるようにするための更なる働き方改革も行われることが想定されることから、高い関心を持つ必要があります。これに先行するような形で2023 年4 月から出産育児一時金が増額して支給されるため、その内容を確認します。

出産育児一時金の制度

 正常な分娩(出産)は、病気やケガではないため、医療機関の窓口等で健康保険証を提示することでの医療費の自己負担額が原則3 割となる療養の給付制度が利用できず、全額自己負担する必要があります。そのため、従業員とその家族(健康保険の被扶養者に限る)が出産したときは、出産費用を補てんするための出産育児一時金が支給されます。

出産育児一時金の金額と支給額の変更

 2023 年2 月現在の出産育児一時金の額は42 万円で、この中には出産した子どもに脳性麻痺が発生したときに補償が受けられる産科医療補償制度の掛金である1.2 万円が含まれています。そのため、産科医療補償制度に加入していない医療機関等で出産した場合は40.8万円となります。
 出産育児一時金の支給により、出産費用の負担は軽減されるものの、出産費用の平均額は年々増加しており、出産育児一時金の金額を超えるような出産費用を支払うケースもあります。そのため、2023 年4 月から出産育児一時金の支給額が50 万円(産科医療補償制度の掛金を含む)に引き上げられることになりました。
 なお、出産育児一時金は、従業員やその家族が出産した医療機関等が、直接、協会けんぽ等の保険者に請求をすることで医療機関等に支払われる「直接支払制度」が設けられています。直接支払制度を利用することで、出産費用を従業員の方で立て替える必要がなく、出産費用が出産育児一時金の支給額を上回ったときには、その差額を医療機関等に支払えばよい仕組みになっています。

協会けんぽの申請書の変更

 2023 年1月より協会けんぽの申請書の様式が変更になりました。出産育児一時金は直接支払制度を利用することが多いため、利用する機会は少ないかもしれませんが、直接支払制度を利用しない場合や、出産育児一時金の支給額を下回り、差額を請求する場合には、新しい様式を使ってスムースな手続きができるようにすることをお勧めします。

 

今回、出産育児一時金の引上げは8 万円と大幅なものになりましたが、子どもが誕生することで間違いなく生活費の負担は増えます。出産祝金や家族手当等の見直しを検討することで、従業員の満足度を向上させることを考えてもよいかもしれません。

 

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