管理監督者も対象となる労働時間の状況把握

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で分かりやすくお伝えします。

 

総務部長
管理監督者は、労働基準法の労働時間や休憩、休日等の規定が適用されないため、細かな労働時間の管理は行っていません。この取扱いで問題ないですよね。
社労士                                                                                                                          労働時間の把握については、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(2017年1月20日策定)」(以下、「労働時間の適正把握」という)に基づいて行うことになりますが、管理監督者はこの把握すべき対象者から除かれています。その点では、労働時間の管理は不要ということになりますが、深夜労働(午後10 時から翌朝5時まで)の割増賃金は支払い義務があります。深夜労働の管理はどのようにされていますか?
総務部長                                                                                                                                            午後10 時以降に業務をする場合、一般の従業員と同様に申請を行うよう指示しています。先月、1名の管理監督者から多くの申請が出てきました。長時間労働になっていると思われることから心配しています。
社労士                                                                                                                    なるほど。実は、労働基準法では管理監督者について、労働時間の管理は必要とされていませんが、労働安全衛生法では「労働時間の状況の把握」が求められています。
総務部長                                                                                                                                            労働時間の状況はどのように把握するのでしょうか?
社労士                                                                                                                    労働時間の適正把握と同様に、タイムカードでの記録やパソコンのログの記録など客観的な方法や、その他適切な方法により行うことが求められています。どのような時間帯にどの程度の時間、労務を提供し得る状態にあったかを把握するものになります。
総務部長                                                                                                                                             そうなると、健康管理面から管理監督者にもタイムカードの打刻をしてもらうということが考えられますね。
社労士                                                                                                                      そうですね。時間外・休日労働が1ヶ月あたり80 時間を超えた場合、従業員本人にその旨を通知する必要がありますが、この対象者には管理監督者も含まれます。これに加え、長時間労働者に対する面接指導についても実施する必要があります。
総務部長                                                                                                                                                 これまで労働基準法ばかりを意識していましたが、労働安全衛生法についても確認して、長時間労働を防止するとともに、万が一長時間労働になっているようであれば適切な対応ができるよう取り組みたいと思います。

 

ONE POINT
①管理監督者についても健康管理の側面から労働時間の状況の把握が必要となる。
②労働時間に関する通知、長時間労働者に対する面接指導の対象に、管理監督者も含まれる。

 

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