労働基準法の休業手当と休業補償の違い

このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式で分かりやすくお伝えします。

 

総務部長
新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」という)の拡大に伴い設けられていた雇用調整助成金の特例措置も変更されていますね。
社労士                                                                                                                    そうですね、雇用情勢を見極めながら縮小の幅が決められています。次第に「Wit h コロナ」の時代に移行していることを感じます。
総務部長                                                                                                                                            当社でも雇用調整助成金を利用した期間もあり、助成金に助けられたという想いを持っています。ちなみに、その際に「休業手当」という表現と「休業補償」という表現を耳にしたのですが、これらは違うものですか?
社労士                                                                                                                        はい、異なります。休業手当は労働基準法第26 条で「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100 分の60 以上の手当を支払わなければならない」と定められています。そのため、従業員が働くことができる状態なのに、会社が従業員にやらせる仕事がなく、休業とするときには休業手当の支払いが必要になります。
総務部長                                                                                                                                            なるほど。会社都合の休業ということですね。
社労士                                                                                                                        一方の休業補償は、労働基準法第76 条において、従業員が業務上負傷したり疾病にかかったりした場合で、「療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中、平均賃金の100分の60 の休業補償を行わなければならない」と定められています。
総務部長                                                                                                                                           なるほど、労災(業務災害)で働くことができないときにその賃金を補償するということですね。
社労士                                                                                                                       はい、そのとおりです。言葉は似通っていますが、支払う目的が大きく異なります。また、休業手当は社会保険や労働保険において報酬や賃金として扱われますが、休業補償は報酬や賃金としては扱われません。
総務部長                                                                                                                                            確かに休業手当を支払ったときは、定時決定(算定基礎)で報酬として取扱い、給与計算では休業手当も含んで雇用保険料を計算した覚えがあります。
社労士                                                                                                                                             その他、所得税の取扱いも異なるようですので、国税庁のホームページを参照したり、税理士の方にご確認いただければと思います。

 

ONE POINT                                                                                                ①休業手当は会社都合で従業員を休ませる場合に支払うべきものであり、休業補償は業務災害による負傷・疾病で働くことができない場合に支払うものである。
②休業手当と休業補償は、社会保険や所得税で取扱いが異なる。

 

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