パートタイマーに対する労働条件の明示
このコーナーでは、人事労務管理で問題になるポイントを、社労士とその顧問先の総務部長との会話形式でわかりやすくお伝えします。
総務部長
弊社では10 月がパートさんの雇用契約の更新時期となっています。労働条件通知書を改めて交付することになりますが、ひな型を見たところ、正社員にはない昇給や賞与、退職金について「支給する・しない」という項目がありました。正社員には明示しなくてもよいのでしょうか。
社労士 労働条件の明示事項は労働基準法第15 条で定められています。これに加え、パートタイマーについてはパートタイム• 有期雇用労働法で、①昇給の有無、②退職手当の有無、③賞与の有無、④相談窓口の4 項目を明示することになっています。
総務部長 なるほど、根拠となる法律が異なっていて、パートさんにはより多くの項目を明示する必要があるということですね。ところで、4 つ目の「相談窓口」とはどのようなものでしょうか?
社労士 パートタイマー等からの苦情を含めた相談を受け付ける窓口ですね。例えば、「明示された労働条件と実態が違う」という問い合わせや「同一労働同一賃金について不明点があるので説明をしてほしい」というような相談が寄せられることが考えられます。相談を受けた場合には、当然その内容や状況に応じた適切な対応が求められます。
総務部長 なるほど。現在は総務課長の氏名を記載しているのですが、これは特定の人の氏名を記載する必要があるのでしょうか。
社労士 相談担当者の氏名を明示することも考えられますが、相談担当者の役職、相談担当部署等でも差し支えありません。特定の人の氏名の記載までは求められていませんが「誰に相談すればよいのか」ということをわかるようにしておくことで、相談しやすくなると思います。
総務部長 なるほど。何か課題があり、「誰に相談すればよいかわからなかったので退職します。」となるのは残念ですからね。ところで、今回の契約更新から、労働条件通知書を書面で渡すのではなく、電子メールで送付することにしたいと思います。
社労士 書面での交付が原則となっていますが、従業員が希望した場合で、書面に印刷することができれば、電子メール等での交付もできることになっています。よって事前に対象となる方に書面ではない交付について希望を確認する必要があります。
総務部長 承知いたしました。会社からは全員に対してメールアドレスを発行していますし、会社のパソコンから印刷することもできるので、希望を確認して進めることができそうです。
ONE POINT
①パートタイマーや有期雇用労働者には、労働条件を明示する際に、正社員とは異なる明示項目がある。
②労働条件の明示は、従業員が希望した場合に電子メール等で行うことも可能である。
⇒
社会保険労務士顧問業務 | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)
報酬基準 | 社会保険労務士法人ヒューマンスキルコンサルティング (hayashi-consul-sr.com)