有期契約労働者を雇用する際の注意点
期間の定めのある労働契約(有期労働契約)については、契約更新を繰り返し、一定期間雇用をしていたにも関わらず、突然、契約更新をせずに期間満了をもって退職させるなどして、トラブルになることが少なくありません。以下では、有期契約労働者を雇用する際の注意点をとり上げます。
契約締結時の労働条件の明示
有期契約労働者と労働契約を締結する際には、労働契約期間とあわせて、契約更新の有無と更新する際の判断基準を明示する必要があります。更新の判断基準については、例えば以下のようなものが挙げられます。
• 契約期間満了時の業務量により判断する
• 労働者の勤務成績、態度により判断する
• 労働者の能力により判断する
• 会社の経営状況により判断する
• 従事している業務の進捗状況により判断する
労働条件通知書が実態とあった内容となっているかを確認し、必要に応じ見直しをしましょう。
雇止めにおける手続き
労働契約を更新してきた有期契約労働者を、現在の労働契約をもって更新せずに終了する「雇止め」を行う場合には、契約期間が満了する少なくとも30日前までに伝える必要があります(雇止めの予告)。この雇止め予告の対象は、以下のいずれかに該当する人です。
① 有期労働契約を3回以上更新している人
② 1年以下の契約期間の労働契約を更新し、1年を超えて雇用している人
③ 最初から1年を超える契約期間の労働契約を締結している人
なお、現在の労働契約をもって契約更新をしない旨が明示されている場合は、この雇止め予告を行う必要はありません。
雇止めに係る証明
雇止めの予告をした後に、有期契約労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合、会社は遅滞なくこの証明書を交付する必要があります(雇止めの理由の明示)。また、雇止めの後についても、有期契約労働者から請求があれば証明書の交付が必要です。
明示する雇止めの理由は、契約期間の満了とは別の具体的な理由とすることが必要です。例えば以下のようなものが挙げられます。
• 前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていたため
• 契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約はその上限に係るものであるため
• 担当していた業務が終了・中止したため
• 事業縮小のため
• 業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
• 職務命令に対する違反行為を行ったため