『職員から年次有給休暇を時間単位で取得したいと希望があった場合の対応』
1.時間単位年休の制度
年休は暦日(0時~24時)単位で取得することが原則であり、通達で半日単位での取得も認められています。今回のような時間単位年休は、労使協定を締結することにより、1年に5日を上限として取得することができます。
時間単位年休を認める際の労使協定では、
①時間単位年休の対象となる職員の範囲、②時間単位年休の日数、③時間単位年休の1日の時間数、④1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数、の4項目について締結します。
2.導入前に確認しておきたい事項
今回、3名の職員から時間単位年休の導入の要望が出ていることもあり、要望には何らかの背景があるかもしれません。例えば、育児や家族の介護のために、致し方なく遅刻や早退が発生したり、定期的な通院が必要となったりするなどして、その時間に充てたいといったものです。
時間単位年休の導入は法令で義務付けられているものではないため、個人的な事情にどこまで配慮するかは判断に迷うところですが、制度を導入することで、仕事と職員の個人的なやむをえない事情とを両立するための方策の一つになるかもしれません。
一方で、単に「寝坊による遅刻を時間単位年休で充てられると安心」というような、医院が配慮すべきではない理由があるかもしれません。このようなケースでの取得が重なれば、職場が混乱する状況になります。
そのため、導入に当たっては要望の背景を確認しつつ、まずは1年間に1日や2日の時間単位年休を導入することが考えられます。労使協定では1年間の有効期限を設け、1年経過した時点で時間単位年休の制度を廃止するのか、継続するのか、継続する場合には何日にするのかといった検討をすることも考えられます。
労働力人口が減少する中で、働きやすさは人材の定着や採用にも影響が出ます。医院ができる範囲で、職員の個人的な事情への配慮を検討したいものです。