長時間労働者に対して求められる労務管理

新型コロナウイルス感染症が5 類感染症に移行し、一部の企業においては、需要の急回復による人手不足から長時間労働にならざるを得ないような状況が見られます。以下では、企業が長時間労働者に対して求められている労務管理の内容についてとり上げます。

医師の面接指導

 医師の面接指導の対象となる従業員は、法令で時間外・休日労働時間が月80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者と定められています。従業員自身が疲労の蓄積があり、面接の申し出をした場合に、医師の面接指導を受けさせる必要があります。
 なお、対象となる従業員は、正社員やパート・アルバイトだけでなく、管理監督者も含まれます。

労働時間に関する情報の通知

 面接指導の申出を促す目的から、時間外・休日労働時間の算定を行い、この時間が月80時間を超えた従業員に対して、会社は速やかに超えた時間に関する情報を、通知する必要があります。通知は、労働時間に関する情報だけでなく、面接指導の実施方法・時期などの案内も併せて行うことが望まれます。
 この通知は、給与明細に時間外・休日労働時間数を記載している場合は、これを労働時間に関する情報の通知としても差し支えありません。また、労働時間の適用除外となっている管理監督者であってもこの通知の対象となっています。
 労働時間の状況の把握は、割増賃金の計算の目的以外の健康管理のためにも、必要かつ重要です。

産業医等に対する必要な情報提供

常時使用する労働者数が50人以上の事業場は、産業医を選任する義務があります。そして、会社はこの産業医に対して、従業員の健康管理等に必要な情報を提供する義務があり、この必要な情報には、「時間外・休日労働時間が月80時間を超えた従業員の氏名」と、「その従業員の超えた時間に関する情報」が含まれています。
 また、月80時間を超えた従業員がいなかった場合も、該当者がいなかった旨の情報を産業医に情報提供する必要があります。この情報提供の漏れがないように、連絡する定例日を決めるなどして、確実に実施していきましょう。

 

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