多くの制度変更が見込まれる政府の異次元の少子化対策

昨年の出生数が80万人を割ったことの衝撃は大きく、今後、出生率改善に向けた様々な政策が行われることになりそうです。ここでは、3月にこども政策担当大臣により取りまとめられた「こども・子育て政策の強化について(試案)–次元の異なる少子化対策の実現に向けて–」の内容を確認します。

男性の育児休業の取得率目標

 厚生労働省が公表した調査結果によると、2021年度の男性の育児休業の取得率は、13.97%という結果になりました。以前はこの取得率を2025年までに30%に引上げる政府目標が示されていましたが、試案では、2025年に50%にするとしており、さらに2030年に2021年度の女性の育児休業取得率相当である85%にするとしています。
 なお、2023年4月より、従業員数1,000人超の企業に対し、男性の育児休業の取得率の公表を義務化していますが、この制度の拡充の検討も試案に盛り込まれています。

育児休業給付の給付率引上げ

 育児休業を取得し、一定の要件を満たした場合には、育児休業中の所得補償として、雇用保険から育児休業給付が従業員に支給されます。
 現在の育児休業給付の給付率は支給開始から180日目までが67%、181日目以降は50%ですが、試案では支給開始から28日間の給付率を80%に引上げることが検討されています。80%の給付率は、同給付金が非課税であることや、社会保険料の免除があることを考えると、育休取得前の手取りの100%相当と想定されています。

短時間勤務等の柔軟な働き方の拡充

 現在、育児・介護休業法では、所定労働時間を原則6時間とすることができる育児短時間勤務制度の対象を、3歳未満の子どもを養育する従業員としています。
 これに関連し、育児期を通じた柔軟な働き方を推進する目的で、子どもが3歳以降小学校就学前までの場合において、短時間勤務、テレワーク、出社・退社時刻の調整、休暇など柔軟な働き方を職場に導入するための制度が検討されることになっています。
 また、「子の看護休暇」についても、子どもの世話を適切に行えるようにする観点から、取得できる子どもの範囲について、現状の小学校就学前までとなっているところ、子どもの年齢や
休暇取得事由の範囲などについて検討されることとなっています。

 

 

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