介護経営ニュースレター 7月号

ケアマネジャーをめぐる現状と課題


平成24年3月、社会保障審議会 介護給付分科会は、ケアマネジャー(以降、ケアマネ)の資質の向上と今後のあり方についての検討会を立ち上げました。課題の整理、養成カリキュラム・研修体系のあり方等について、今秋を目途として中間的に整理することを目標に議論が進んでいます(6月23日時点で計3回が終了)。

今後、特にケアマネジメントに係る課題の定義、及び解決策の模索について議論が進むわけですが、現在、課題検討の視点としては、次の3つが特にクローズアップされています。

1.自立支援型ケアマネジメントの推進、
2.ケアマネジメントの公平性・中立性、
3.地域のネットワーク作りと医療等との連携

ケアマネが行うケアマネジメントは、利用者が介護サービスを利用するにあたりその根幹に置かれ、多職種の介護サービスの実施にも影響を及ぼすものです。また、今後の地域包括ケアの中核的な役割を担う存在がケアマネであることを考えると、今後の議論の流れをしっかりと見据え、情報をキャッチし、未来を予測しながら準備を進めていくことが、今後、ケアマネは勿論、ケアマネと密接に連携しながらサービスを進める介護事業者にとっても必要となってくるでしょう。

そんな中、本検討会の中で、利用者に対するリハビリテーションについて議論が交わされました。


介護において、リハビリテーションの意義は急速に大きくなってきており、既に先進的な事例も出てきています。
例えば、兵庫県の中・西播磨圏域では、平成18年から医療と在宅での介護サービスの連携に保健所が間に入り、ネットワークを作り上げています。具体的には、患者として入院したとほぼ同時に担当ケアマネとの契約、介護認定への申請を行い、病院の地域連携室とケアマネとの密な連携により、在宅に戻る際にスムーズにサービスが導入できるよう関係機関・多職種のサービス事業者との調整に取り組んでいるようです。

その中でもリハビリは最も重要な要素を占めています。病院や介護でのリハビリの現状として、リハビリを求めているのは、60歳以上の方が半数以上を占めており、男女比率では男性が3/4と圧倒的に多くなっています。さらに、疾患別を見てみると、脳器質性障害(脳梗塞・脳内出血等)の方が60%を占めています。

一方、リハビリプログラムの内容のマッチングとその満足度は、医療面でのリハビリは高く評価されているものの、介護面でのリハビリの評価は残念ながら医療と比較するととても低い結果になっているようです。その原因としては、

・そもそも受け入れ先がない(少ない)
・制度上困難である(医療保険上のリハビリと介護保険上のリハビリは同時に受けることができない)
・情報がない(窓口が分からない、誰に相談していいのか分からない)

といったことが挙げられています(ご利用者や家族、ケアマネからのヒアリング調査より)。

利用者本人の在宅復帰にあたってのリハビリへの要望としては、心身機能やADLに加え、自主運動に対する指導やアクティビティ―指導が増加しています。特に、料理や買い物、犬の散歩という手段的ADL、散歩、旅行、書道、花の世話などの趣味や社会参加に要望が高まり、そうしたリハビリを行うことにより、対象者の意欲の向上や満足度につながっている傾向も明らかになっています。
ケアマネとしては医療・介護の両面から今まで以上にリハビリ・機能訓練に対する知識・見識を身につける必要が出てくることを想定し、今からしっかりと自覚を持って活動を進めていくことが必要だと言えそうです。

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